ポルシェが開発したメルセデス500Eって知ってる?

メルセデス、BMW、ポルシェは、レースの世界でもしのぎを削ったドイツを代表する自動車メーカーです。そういったライバル関係にあったメーカー同士が協力してクルマをつくるということは、あまり考えられないのではないでしょうか。しかし、メルセデスには興味深いクルマがあるのです。

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わが道を往くメルセデス…過去にはポルシェとの興味深いコラボがあった!?
ポルシェが携わった「メルセデス・ベンツ 500E」
500E、まさに「別物」のクオリティ
珍しい他メーカーとの共作だが、近年でも行われている

わが道を往くメルセデス…過去にはポルシェとの興味深いコラボがあった!?

現在のドイツ御三家といえば、メルセデス、BMW、アウディ。このなかのアウディは、フォルクスワーゲングループ傘下であり、その技術やリソースをVWと共有しています。

さらに言えば、ポルシェもVWグループであることをご存じの方も多いでしょう。

さて、メルセデスといえば唯我独尊イメージのある押しも押されぬ高級車ブランド。当然、エンジンを含めて自社開発できるメーカーです。

しかし歴史を紐解くと、ポルシェが開発に関わったモデルがある。そんな事実も浮かびあがってくるのです。

ポルシェが携わった「メルセデス・ベンツ 500E」

1990年代前半、ポルシェ社は北米での販売不振により経営難に陥っていたといわれています。

その一方でメルセデスは、R129型500SLの北米での販売が好調。また、4ドア仕様のニーズが高かったことから、ミディアムクラスのW124型セダンに500SL(R129型)のエンジンを搭載するというプランが発生します。

このミディアムスポーツサルーンの開発にあたり、白羽の矢を立てられたのがポルシェでした。つまり、W124とR129というメルセデスのリソースを活用して、ポルシェにチューニングを依頼するというカタチです。

当時、メルセデスとポルシェは、資本提携などない状況でしたから、本当にイレギュラーな展開だったといえるでしょう。そしてその結果、生まれたモデルが「メルセデス・ベンツ 500E」です。

500E、まさに「別物」のクオリティ

500Eは、外観こそW124との共通性を感じられますが、最大でも3.0L 直6エンジンしか搭載していなかったW124に、500SLの5.0L V8エンジンをそのまま搭載することは出来ず、ボディの前半部分は作り直しがなされました。

生産は、一部のみながらポルシェのツッフェンハウゼンで行われ、それをメルセデスの工場に戻して完成させるという手法で行われていました。一部では、このポルシェ工場の生産は初期モデルのみとされているようですが、どうやらそれは間違いのようです。

そうして完成した500Eは、ポルシェならではの調律が施され、見事なドライビングプレジャーを得られるモデルに仕上げています。

ちなみに500Eのハンドリングの煮詰めを行ったのは、当時ザウバーに在籍していたジャン-ルイ・シュレッサーが担当したと言われています。シュレッサーは、ウィリアムズF1や、メルセデスのCカーで活躍したレーシングドライバーです。

このようにポルシェとの協業により生まれた500E。商業的には日本以外の国では大きな成果が得られなかったとされていますが、現在でも特別なモデルとして語り継がれています。

■メルセデス・ベンツ 500E
エンジン:M119型 V型8気筒DOHC 4,973cc
最高出力:330(325)ps/5,600rpm
最大トルク:50.0(49.0)kg-m/3,900rpm
全長4,755mm×全幅1,795mm×全高1,410mm、ホイールベース2,800mm
車両重量1,700(1,730)kg
※()内は排ガス規制後の後期型のスペック 

珍しい他メーカーとの共作だが、近年でも行われている

※写真はアバルト124 スパイダー

メルセデス500Eは、業績が低迷していた当時のポルシェと、その技術力を買ったメルセデスとの利害一致した異色のコラボといえるものでした。その後のポルシェは、ボクスターのヒットで経営を盛り返します。

このような資本提携のないメーカー同士のコラボは珍しいことですが、最近ではフィアットとマツダによる「アバルト124スパイダー」が存在しますね。もちろんフィアットとマツダは資本提携にない関係なので、今回紹介した500Eに若干近い構図といえるかもしれません。

クルマの開発コストというのは想像以上にかかるものです。しかし、リソースを上手く活用することでコストを抑えられるのはいうまでもありません。

また、ベースモデルを持っているメーカー(この場合はマツダ)にとっても、自社のリソースを広く展開することによるメリットが期待できます。

こうしたWin-Winの関係で、素晴らしいモデルが提供されるのであれば、ユーザーにとって歓迎すべきことでしょう。今後もこうしたコラボモデルを、見てみたいものですね。