なぜ、Eセグメントと言われる車は少ないのか?

ベンツ Eクラス

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クルマのクラス分けをするのに使われる「セグメント」。ことさら「Cセグメント」は激戦区、とよく言われています。ところが、「Eセグメント」クラスの車種が非常に少なくなっているようです。
Chapter
そもそも「セグメント」って?
セグメントの種類
Eセグメントの苦悩…
環境意識がもちこんだパラダイムシフト

そもそも「セグメント」って?

今更ではありますがEセグメントに触れる前に「セグメント」、というワードを紐解いてみたいと思います。日本車の世界ではあまり親しみのないワードですよね。

「segment」は「部分、断片、分割」などの意味。クルマの分野で使う「クラス、車格」という意味と取ればよいでしょうか。もとより欧州は階級社会であり、クルマに関してもこうした「格付け」をしてわかりやすくカテゴリ分けしているといえます。

日本車では排気量や雰囲気で「なんとなく暗黙のクラス分け」がされています。それもなんだか日本らしいな、と感ずるところ。しかし欧州は前述のように、パキンと格付けをしてしまう。ここが文化の違いといえるでしょうね。

しかし、ユーザーからすると数多ある車種の中から選択するときに「わかりやすい基準」であるといえますし、合理的なのかもしれませんね。

セグメントの種類

ご存じのように「セグメント」はA~Lまであります。Eセグメントの次が「Lセグメント」とアルファベットを飛ばしているのは「LUXURY」のLをとっているといわれています。つまり、Lセグメントはトップグレードという理解ですね。

A 3.7m以下      超小型車(VW UP!、SMART、FIAT 500他)
B 3.7m~4.2m   コンパクトカー(VW POLO、MINI、AUDI A1)
C 4.2m~4.5m   大きめのコンパクトカー(VWゴルフ、BMW1シリーズ、ベンツ A・Bクラス他)
D 4.5m~4.8m  小型セダンクラス(BMW 3シリーズ、ベンツ Cクラス、AUDI A4等)
E 4.8m~5.0m 中大型セダンクラス(BMW 5シリーズ、ベンツ Eクラス、AUDI A6のみ)
L 5.0m以上       大型セダンクラス(BMW 7シリーズ、ベンツ Sクラス、AUDI A8等)

ざっくり表記するとこんな形でしょうか。最激戦区はVWゴルフやベンツのA・BクラスのいるCセグメント、といえます。車格、価格、性能のバランスが取れており、また市場ニーズも大きい事からも激戦区になっているといえますね。

そしてLセグメントは「無差別級」であり、価格も1000万円~がごろごろいるクラス。各メーカーが最新技術を奢ったフラッグシップマシンを投入しており、庶民には縁遠いながらも世界的に注目を浴びるクラスでもあり、一定のニーズもあります。

さて、ようやく今回話題にする「Eセグメント」について触れますが、あまり元気がないといえるクラスなのです…。

Eセグメントの苦悩…

クルマには当然、運動性能が重視されますが、現在ではトータルパッケージが重んじられています。動力性能、積載性能、そして環境性能、あるいは乗りやすさ・扱いやすさ。こうしたパッケージングにより非常に完成度が高くなったのがVWが注力した「Cセグメント」といえます。ダウンサイジングをVWが真っ先におこなった事からもそれが伺えますね。

車体を大きくすれば車重が増える、動力性能を確保する為に排気量を上げる、そうすると燃費が悪化、開発・生産コストも増加していく…。車格を上げるほど開発にはそうしたジレンマが発生します。

Cセグメントが一番ニーズが高いとすれば、「Dセグメント」はCセグメントから頭ひとつ抜け出す「豊かさの象徴」ともいえます。価格帯は350万~600万円あたりで、このセグメントからFR駆動が増えてきますね。また車内空間と動力性能のバランスがとれたセグメントとして成立しているといえるかもしれません。

C、Dセグメントの人気が高い中で、DセグメントとLセグメントに挟まれてしまっているのが「Eセグメント」。このセグメントの車種は、比較的「おとなしめ」のコンフォート路線が強いと言えるでしょう。もちろん高級車のセグメントですが、上にLセグメントがある故に、微妙な立ち位置になってしまっているといえます。

そして主流となってきたダウンサイジングも、「Eセグメント」の立ち位置をややこしくしているのかもしれません。実際、現在の「Eセグメント」は、ベンツEクラス、BMW5シリーズ、アウディA6のみの状況なのです。

環境意識がもちこんだパラダイムシフト

かつては「大きなクルマに乗るのがステータス」という価値観でした。

しかし、環境問題が広く取り上げられるにつれ、「環境に配慮する意識を持っている」という事も、社会で評価される価値基準となりました。欧州の価値観である「ノブレス・オブリージュ=責任ある立場の者には社会への責任が伴う」がまだ残っているのかもしれません。

このように非常に難しい立ち位置の「Eセグメント」。現在販売されているのが3車種ほど、といった現状がそれを色濃く反映しているといえます。

一定のニーズはあると考えますが、価格帯も1000万円~の「Lセグメント」に近くなっていますし、EセグメントとLセグメントが統一される、という流れもあるかもしれませんね。

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