軽自動車なら車庫証明はいらない?納車までの手続き完全ガイド

車庫証明書

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車を購入するときには通常「車庫証明」(正式名称:自動車保管場所証明書)が必要です。多くの地域で車庫証明がないと車の登録や納車ができない決まりになっています。

しかし一方で、「車庫証明なしでも車を買えるケースはあるのか?」「駐車場をまだ契約していなくてもディーラーで納車してもらえるのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。本記事では、車庫証明制度の基本から、車庫証明なしで車の購入・納車が可能となる条件や例外パターンを詳しく解説します。制度の背景にある理由や豆知識も交えながら、読者の疑問に丁寧にお答えします。

CARPRIME編集部

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Chapter
車庫証明とは何か?制度の目的と必要性
車庫証明の取得方法・費用(自分で取得できる?)
申請書類を用意
警察署へ申請
証明書・標章の受取り
車庫証明なしで車の購入・納車は可能か?
公道を走らない車の場合(登録自体不要)
車庫証明が不要な地域に居住している場合
軽自動車の場合:車庫証明不要だが届出義務あり
違法な「車庫飛ばし」は厳禁!
車庫証明が間に合わない・取れない場合の対処法
まとめ:車庫証明の有無と納車のポイント

車庫証明とは何か?制度の目的と必要性

写真は車庫証明書(保管場所証明)の標章です。警察署で発行される円形のステッカーで、確保した駐車場所を証明するものです。新車・中古車を問わず車を購入する際や、他人から譲り受けて名義変更する際には、この車庫証明書の提出が法律で義務付けられています。

車庫証明制度は昭和37年(1962年)に始まり、その目的は路上や他人の土地への違法駐車を防止することにあります。つまり「購入する車をきちんと保管できる場所を持っています」という証明を行う仕組みです。

車庫証明を取得するには、あらかじめ自宅近辺で駐車場を確保しておく必要があります。賃貸の場合は月極駐車場などを契約し、自宅や事業所から直線距離で2km以内という条件を満たす必要があります。

この距離制限はかつて500m以内でしたが、現在は2kmに緩和されています。車庫の場所は自宅から遠すぎず、車両が支障なく出入りでき、車体がすべて収まるスペースでなくてはなりません。条件を満たした駐車場所が用意できて初めて、所轄警察署に車庫証明を申請することができます。

なお、車庫証明を取得すると「保管場所標章」(車庫証明ステッカー)が交付され、車のリアウインドウなどに貼付します。この標章には使用者の住所地の町名などが記載され、他の車と使い回すことはできません。法律上貼付が義務とされていますが、貼らなくても直接の罰則はありません(いずれにせよ車庫証明自体は取得しておく必要があります)。

車庫証明の取得方法・費用(自分で取得できる?)

車庫証明の申請手続きは自分でも可能です。多くのディーラーや中古車販売店では代行申請サービスがありますが、手数料として1〜2万円ほどかかるのが一般的です。自分で警察署へ申請すれば、数千円程度(証紙代2,000~3,000円程度)で済みます。以下に、車庫証明を自分で取得する大まかな流れと必要書類をまとめます。

申請書類を用意

車庫の所在地を管轄する警察署で所定の用紙を入手し、必要事項を記入します。申請に必要な主な書類は次の通りです。

  • 自動車保管場所証明申請書(2通提出)
  • 保管場所標章交付申請書(2通提出)
  • 保管場所の所在図・配置図(駐車場の位置や周辺見取り図)
  • 使用権原証明書(駐車場の契約書や土地の賃貸契約書。自己所有地なら自認書)

警察署へ申請

平日昼間に警察署の窓口へ書類一式を提出します。不備がなければ受理され、申請手数料として証紙代を納付します。申請後、警察署による現地調査が行われます(申請内容どおりの場所に駐車できるか確認されます)。

証明書・標章の受取り

申請から交付まで通常3~7日ほどかかります。問題がなければ警察署で車庫証明書と保管場所標章が交付されます。これらをディーラー等に提出して、車の登録手続きを進めてもらいます。
補足: ディーラーに依頼する場合でも、駐車場を自分で用意しておくことは必要です。月極駐車場を契約する際には、管理会社や地主から「保管場所使用承諾証明書」を発行してもらいます。この書類がないと車庫証明申請ができないため、契約時に忘れずにもらいましょう。なお月極駐車場契約時には礼金・敷金など初期費用も発生するため、車購入前にあわせて検討しておくと安心です。

車庫証明なしで車の購入・納車は可能か?

結論から言えば、ほとんどの場合、車庫証明なしで車を登録したり納車したりすることはできません。車庫証明がないままではナンバープレート(登録)が交付されず、公道を走行できないからです。

ディーラーで購入契約を結ぶ時点では駐車場が未契約でも手続き自体は可能ですが、契約後から実際の納車までの間に車庫証明を取得しなければなりません。もし納車予定日までに間に合わない場合、ディーラーと相談して納車日を遅らせてもらうのが一般的な対処となります。それでも早めに駐車場探しを進め、納車に備える必要があります。

ただし、以下に挙げるような例外的なケースに該当すれば、車庫証明なしで車を購入・納車できる場合があります。

公道を走らない車の場合(登録自体不要)

購入した車を公道で一切運行しない場合は、極端な話、車庫証明どころかナンバー登録や車検・自賠責保険、自動車税の支払いも不要です。例えば「コレクションとして自宅ガレージに飾っておくだけの車」や「私有地内で農作業や競技用途に使う車」は、このケースに当てはまります。

公道を走らせない限り法的な登録義務は生じません。ただし現実には、ナンバー未登録車は公道走行が一切できず制約が大きいため、一般ユーザーがこの形で車を買うケースは稀でしょう。あくまで理論上可能な例外パターンとして覚えておいてください。

車庫証明が不要な地域に居住している場合

法律では地域によっては車庫証明の提出が免除されているエリアがあります。多くの市町村では義務ですが、人口が少ない地域などでは「適用除外地域」として車庫証明が不要になっています。

具体的には、住所(使用の本拠地)が「村」などに該当する場合や、かつて村だった地域が市町村合併後に町名だけ変わったようなケースなどです。該当エリアでは警察署への車庫証明申請手続き自体が免除され、車庫証明なしで車の登録・納車ができます。

ただし注意したいのは、「住所地」と「駐車場所在地」が異なる場合の扱いです。車庫証明の要否はあくまで使用者の住所(使用の本拠)側の地域区分によって決まります。たとえばご自身の住所が車庫証明必要な都市部なのに、借りた駐車場が田舎の不要地域にある場合でも、車庫証明は提出が必要です(逆に、住所が免除地域なら駐車場が都市部にあっても不要扱い)。この点は誤解しやすいので気を付けましょう。

では具体的にどんな地域が「車庫証明不要」とされているのでしょうか。一例を挙げると、東京都では大島・八丈島を除く伊豆諸島などの離島部は車庫証明が不要です。

また全国的に見ると意外に多くの村や離島が免除対象になっています。一方、同じ「村」でも茨城県那珂郡東海村や富山県舟橋村など一部例外的に車庫証明が必要な地域もあります。免除地域かどうか迷う場合は、各都道府県警のウェブサイトで「車庫証明不要地域一覧」を公開しているので確認すると良いでしょう。

なお、都市部では信じられない話かもしれませんが、免除地域では道路や土地に余裕があり駐車場事情も良好なため、車好きにとっては天国のような環境と言えます。

軽自動車の場合:車庫証明不要だが届出義務あり

軽自動車を購入する場合、普通車とは手続きのタイミングが異なります。軽自動車には厳密には「車庫証明」という制度がなく、代わり「保管場所届出」と呼ばれる申請を行います。

しかもこの届出は車のナンバー取得(登録)後に行えばOKとされています。つまり軽自動車は購入時点では車庫証明不要でディーラーから納車してもらえますが、納車後15日以内に所轄警察署へ保管場所(駐車場)の届出を出さなければならないという決まりです。

軽自動車の場合でも、所在地によって届出が必要か不要か分かれます。2017年現在の基準では人口10万以上の都市およびその周辺地域など全国126市区町村で届出義務があり、それ以外の地域では届出が免除されています。

例えば東京23区や政令指定都市、県庁所在地などに住んでいる場合は軽自動車でも届出が必要ですが、東京都の福生市・羽村市など人口の少ない市では軽自動車の保管場所届出は不要といった具合です。ご自身の地域が届出義務の対象かどうか、引っ越しの際などには確認しておきましょう。
重要: 軽自動車は購入時に車庫証明(届出)が不要なため見落としがちですが、義務地域で届出を怠ると罰則があります。軽自動車の届出義務地域に住んでいながら届出をしなかった場合、10万円以下の罰金が科される可能性があります。また、住所や駐車場所を変更した際に届出をしなかった場合や、虚偽の届出をした場合も同様です。軽だからといって安心せず、必要な地域では期限内に確実に届出するようにしてください。

違法な「車庫飛ばし」は厳禁!

「車庫飛ばし」とは、本来の使用場所とは異なる住所地で登録し車庫証明を不正に回避する行為です。例えば都市部に住んでいるのに実家の田舎を住所として偽り、車庫証明を免除させるといったケースがこれに当たります。

このような虚偽申請は明確な違法行為であり、発覚すれば20万円以下の罰金等の厳しい罰則が科せられます。また、車庫証明の不届け(未申請)や虚偽の届出をした場合も10万円以下の罰金が規定されています。絶対にこのような不正は行わないでください。

車庫証明が間に合わない・取れない場合の対処法

現実には、「車は購入したが駐車場がまだ見つからず、車庫証明が取れない」ケースもありえます。繰り返しになりますが、普通車で車庫証明がない限りナンバー登録ができないため納車もできません。

そのため、まずは販売店に事情を相談し、納車スケジュールを調整してもらいましょう。ディーラーによっては契約から納車まで1ヶ月以上の余裕を持たせてくれる場合もありますので、その間に駐車場を確保して車庫証明を取得します。

どうしても自宅近隣で駐車場が見つからない場合は、エリアを広げて探すことも検討しましょう。自宅から2km以内であれば少し遠くても条件は満たします。また、一時的に月極を契約して車庫証明を取り、後でより近い駐車場が見つかったら契約変更するという方法もあります(※新しい保管場所が見つかった際には再度車庫証明の変更手続きが必要です)。インターネットの駐車場検索サイトや不動産会社への問い合わせ、現地周辺の看板確認など、できる限りの手段で早めに探しましょう。

もし申請しても駐車場の条件不備で車庫証明が取得できない場合(例:駐車スペースが狭すぎる、距離が2km超など)は、残念ながらそのままでは車を登録できません。別の適合する駐車場を用意する他なく、場合によっては購入自体を見直す必要も出てきます。くれぐれも契約前に車を停める場所を確保し、余裕を持って手続きを進めることが大切です。

まとめ:車庫証明の有無と納車のポイント

車庫証明は原則として車の購入・登録に不可欠な書類であり、ほとんどのドライバーにとって避けて通れない手続きです。この記事で解説した通り、車庫証明なしで車を買える・納車できるのはごく限られた状況(公道を走らない場合、車庫証明不要地域、軽自動車の届出後回し可など)に限られます。多くの方にとってはやはり事前に駐車場を確保し、速やかに車庫証明を取得することが安心・確実な道と言えるでしょう。

最後に、これから車を買おうと考えている方は「購入予定の車に見合った駐車場を早めに探す」ことを強くおすすめします。納車直前になって慌てないよう、自宅周辺の駐車場状況をチェックし、候補があれば契約手続きを進めておきましょう。車庫証明の申請には日数がかかりますし、書類不備があれば再提出で更に時間を要します。余裕を持って準備し、スムーズに新しい愛車を迎え入れてください。
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