海外自動車メーカーのエンブレムの由来を解説します【目指せ雑学王!】
更新日:2024.09.09
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車のエンブレムの形の意味や由来まで気にされたことがない方は多いのではないでしょうか?でも、エンブレムのデザインやマークを調べてみると、度々の変更や歴史があったりと、面白いもの。今回は、そんな海外自動車メーカーのエンブレムにまつわる雑学や豆知識を紹介しましょう。
文・西山昭智
文・西山昭智
- Chapter
- 海外自動車メーカーBMW(ビー・エム・ダブリュー)のエンブレム
- 海外自動車メーカーVolkswagen(フォルクスワーゲン)のエンブレム
- 海外自動車メーカーAudi(アウディ)のエンブレム
- 海外自動車メーカーMercedes Benz(メルセデス・ベンツ)のエンブレム
- 海外自動車メーカーPORSCHE(ポルシェ)のエンブレム
- 海外自動車メーカーVOLVO(ボルボ)のエンブレム
- 海外自動車メーカーCITROEN(シトロエン)のエンブレム
- 海外自動車メーカーPEUGEOT(プジョー)のエンブレム
- 海外自動車メーカーJAGUAR(ジャガー)のエンブレム
- 海外自動車メーカーALFA ROMEO(アルファ ロメオ)のエンブレム
海外自動車メーカーBMW(ビー・エム・ダブリュー)のエンブレム
BMWは「Bayerische Motoren Werke(バイエリッシュ モトーレン ヴェルケ) AG」を略したもので、日本語に訳せば「バイエルン発動機株式会社」となります。そのエンブレムは青と白が十字で切り返されたおなじみのデザインですが、このマークにはいったいどんな意味が隠されているのでしょうか。
BMWといえば自動車メーカーとして知られていますが、もともとは航空機を製造していたメーカーとして1916年に創業。当時はBMWではなくBFW(Bayerische Flugzeug Werke=バイエルン航空機製造会社)という名前でした。
その翌年に、社名をBMWに変更、同年10月にエンブレムが商標登録されました。その由来は、かつて航空機メーカーだったということもあり、プロペラが回転している姿を正円で描き、そのなかに青空と白い雲を連想させる配色を組み合わせたデザイン、とまぁもっともらしい理由が、長年語り継がれてきたのですが、じつは本当の由来はほかにありました。
BMWの前身のBFWは、ラップ発動機製造(Rapp Motorenwerke GmbH)とグスタフ・オットー航空機工業(Gustav Otto Flugmaschinenfabrik)が合併してできた会社でした。そのラップ発動機のエンブレムと、バイエルンの州旗に使われているカラーを組み合わせたもの。それがBMWエンブレムの由来なのです。
BMWといえば自動車メーカーとして知られていますが、もともとは航空機を製造していたメーカーとして1916年に創業。当時はBMWではなくBFW(Bayerische Flugzeug Werke=バイエルン航空機製造会社)という名前でした。
その翌年に、社名をBMWに変更、同年10月にエンブレムが商標登録されました。その由来は、かつて航空機メーカーだったということもあり、プロペラが回転している姿を正円で描き、そのなかに青空と白い雲を連想させる配色を組み合わせたデザイン、とまぁもっともらしい理由が、長年語り継がれてきたのですが、じつは本当の由来はほかにありました。
BMWの前身のBFWは、ラップ発動機製造(Rapp Motorenwerke GmbH)とグスタフ・オットー航空機工業(Gustav Otto Flugmaschinenfabrik)が合併してできた会社でした。そのラップ発動機のエンブレムと、バイエルンの州旗に使われているカラーを組み合わせたもの。それがBMWエンブレムの由来なのです。
海外自動車メーカーVolkswagen(フォルクスワーゲン)のエンブレム
「volks=国民」「wagen=自動車」つまりフォルクスワーゲンとは、国民の自動車という意味になります。
1934年、ヒトラー率いるドイツ労働者党によって進められた「国民車構想」から生まれた自動車が、フォルクスワーゲンでした。
”volks=国民”、”wagen=自動車”。つまり、国民の自動車という意味になります。設計者は、あのフェルディナンド・ポルシェ博士です。VとWを縦に配置したエンブレムのデザインは、この時代に出来上がっています。
このヒトラーの国民車計画は第2次大戦によって立ち消えとなりますが、戦後すぐの1945年にイギリス軍管理のもと製造工場が復活。フォルクスワーゲン社を命名され、車両も新たにフォルクスワーゲン タイプ1として製造が開始しました。
1934年、ヒトラー率いるドイツ労働者党によって進められた「国民車構想」から生まれた自動車が、フォルクスワーゲンでした。
”volks=国民”、”wagen=自動車”。つまり、国民の自動車という意味になります。設計者は、あのフェルディナンド・ポルシェ博士です。VとWを縦に配置したエンブレムのデザインは、この時代に出来上がっています。
このヒトラーの国民車計画は第2次大戦によって立ち消えとなりますが、戦後すぐの1945年にイギリス軍管理のもと製造工場が復活。フォルクスワーゲン社を命名され、車両も新たにフォルクスワーゲン タイプ1として製造が開始しました。
海外自動車メーカーAudi(アウディ)のエンブレム
丸いリングが4つ、横につながっていることから「フォーリングス」と呼ばれるアウディのエンブレム。このフォーリングスは、4つの会社が集まって設立されたことに由来しています。
フォーリングスが生まれたのは1932年。アウディ(Audi)、ホルヒ(Horch)、DKW、ヴァンダラー(Wanderer)という4社集まってアウトウニオン(Auto Union AG)が設立されます。このときのエンブレムは、フォーリングスの内側にそれぞれのロゴが入ったデザインでした。
その後、3度の変更を受け、1994年にフォーリングスが復活。現在まで使用されています。
フォーリングスが生まれたのは1932年。アウディ(Audi)、ホルヒ(Horch)、DKW、ヴァンダラー(Wanderer)という4社集まってアウトウニオン(Auto Union AG)が設立されます。このときのエンブレムは、フォーリングスの内側にそれぞれのロゴが入ったデザインでした。
その後、3度の変更を受け、1994年にフォーリングスが復活。現在まで使用されています。
海外自動車メーカーMercedes Benz(メルセデス・ベンツ)のエンブレム
スリーポインテッドスターという名前で知られるのが、メルセデス・ベンツのエンブレムです。
メルセデス・ベンツの前身であるベンツ&カンパニーは、1926年にダイムラー モトーレンと合併を行います。両社のエンブレムは、ベンツ&カンパニーが月桂樹の葉を配したもの、ダイムラーは環のないスリーポインテッドスターで、その2つを組み合わせた新しいエンブレムも考案されました。
スリーポインテッドスターは、世界で初めて内燃機関(エンジン)を製作したゴットリープ ダイムラーが、みずからのエンジンの飛躍を夢見て「陸・海・空」すべてにおける頂点をあらわしたマークだといわれています。
現在は、環にスリーポインテッドスターを合わせたエンブレムと、月桂樹の葉を配したエンブレムが、車種はボディ形状によって使い分けられています。
メルセデス・ベンツの前身であるベンツ&カンパニーは、1926年にダイムラー モトーレンと合併を行います。両社のエンブレムは、ベンツ&カンパニーが月桂樹の葉を配したもの、ダイムラーは環のないスリーポインテッドスターで、その2つを組み合わせた新しいエンブレムも考案されました。
スリーポインテッドスターは、世界で初めて内燃機関(エンジン)を製作したゴットリープ ダイムラーが、みずからのエンジンの飛躍を夢見て「陸・海・空」すべてにおける頂点をあらわしたマークだといわれています。
現在は、環にスリーポインテッドスターを合わせたエンブレムと、月桂樹の葉を配したエンブレムが、車種はボディ形状によって使い分けられています。
海外自動車メーカーPORSCHE(ポルシェ)のエンブレム
まるで王家の紋章のような形をしているポルシェのエンブレム。真ん中にある跳ね馬が印象的ですが、こちらにもきちんとした由来があります。
ポルシェのお膝元といえばドイツ南西部にあるシュトゥットガルトですが、そのシュトゥットガルトがあるバーデン=ヴュルテンベルク州のクレスト(紋章)と、シュトゥットガルト市のクレストをアレンジして組み合わせたのが、ポルシェのエンブレムです。
かつてバーデン=ヴュルテンベルク州にはヴュルテンベルク王国があり、その当時使われていた紋章に鹿の角が描かれていたこともあって、ポルシェのエンブレムにはよく見ると鹿の角が使われています。また、黒と赤のカラーリングもヴュルテンベルク王国の国旗のデザインに由来しています。
ポルシェのお膝元といえばドイツ南西部にあるシュトゥットガルトですが、そのシュトゥットガルトがあるバーデン=ヴュルテンベルク州のクレスト(紋章)と、シュトゥットガルト市のクレストをアレンジして組み合わせたのが、ポルシェのエンブレムです。
かつてバーデン=ヴュルテンベルク州にはヴュルテンベルク王国があり、その当時使われていた紋章に鹿の角が描かれていたこともあって、ポルシェのエンブレムにはよく見ると鹿の角が使われています。また、黒と赤のカラーリングもヴュルテンベルク王国の国旗のデザインに由来しています。
海外自動車メーカーVOLVO(ボルボ)のエンブレム
1924年に北欧スウェーデンで誕生したボルボ。20世紀末にフォードに資本譲渡が行なわれ、現在は中国吉利汽車の傘下にある自動車メーカーです。
ボルボのエンブレムというと、シルバーの丸い輪っかの中にVOLVOの文字が描かれていると思われている方が多いかもしれませんが、よく見るとシルバーの環の右上に矢印が飛び出しています。
この丸に矢印を組み合わせたデザインは、スウェーデンで古くから用いられてきた「鉄」を意味するマーク。別名”アイアンマーク”とも呼ばれており、これはボルボの生まれ故郷であるスウェーデンが製鉄の盛んな国で、スウェーデンの鉄は錆びにくいと評価を集めていたことに由来しています。そんなスウェーデンの矜持が、ボルボのエンブレムには隠されているのです。
ボルボのエンブレムというと、シルバーの丸い輪っかの中にVOLVOの文字が描かれていると思われている方が多いかもしれませんが、よく見るとシルバーの環の右上に矢印が飛び出しています。
この丸に矢印を組み合わせたデザインは、スウェーデンで古くから用いられてきた「鉄」を意味するマーク。別名”アイアンマーク”とも呼ばれており、これはボルボの生まれ故郷であるスウェーデンが製鉄の盛んな国で、スウェーデンの鉄は錆びにくいと評価を集めていたことに由来しています。そんなスウェーデンの矜持が、ボルボのエンブレムには隠されているのです。
海外自動車メーカーCITROEN(シトロエン)のエンブレム
ダブルシェブロンと呼ばれる、矢印が上下に2つ並んだシトロエンのエンブレム。こちらのデザインは、創業者であるアンドレ シトロエンが生み出したV字型の歯車(ヘリカルギア)をモチーフにしています。
シトロエンはこのヘリカルギアで財を成し、シトロエンという自動車メーカーを創業したという歴史が。そのため、彼の原点であるヘリカルギアをブランドのロゴマークにしたのです。
シトロエンはこのヘリカルギアで財を成し、シトロエンという自動車メーカーを創業したという歴史が。そのため、彼の原点であるヘリカルギアをブランドのロゴマークにしたのです。
海外自動車メーカーPEUGEOT(プジョー)のエンブレム
世界最古の量産自動車メーカーとして知られるプジョー。もともとは自動車ではなく金属製造業を生業にしており、同社の自転車やペッパーミルは現在でも有名です。
そんなプジョーのエンブレムにはライオンが使われていますが、これはプジョーが自動車生産を始めるより前の1857年に考案されたマークです。当時、製造していたノコギリや刃物などの品質の高さをあらわしたデザインだといわれています。その後、1933年ごろから本格的に自動車のボンネットモチーフやエンブレムとして使われるようになります。
このライオンは時代によってカタチを変えており、第2次大戦中には(ナチスへの抵抗の意味を込めて)右を向いていたこともあるそうです。
そんなプジョーのエンブレムにはライオンが使われていますが、これはプジョーが自動車生産を始めるより前の1857年に考案されたマークです。当時、製造していたノコギリや刃物などの品質の高さをあらわしたデザインだといわれています。その後、1933年ごろから本格的に自動車のボンネットモチーフやエンブレムとして使われるようになります。
このライオンは時代によってカタチを変えており、第2次大戦中には(ナチスへの抵抗の意味を込めて)右を向いていたこともあるそうです。
海外自動車メーカーJAGUAR(ジャガー)のエンブレム
名前の通り、エンブレムにジャガーを使用しているのがこちら。ウィリアム ライオンズとその友人によって1923年に設立され、当時はコーチビルダーとして自動車を手がけていました。その後1945年にジャガーと社名を変更。これは同社が1935年に製造して大ヒットを記録したジャガーというモデルに由来しています。
猫科でヒョウの一種であるジャガーの敏捷性や運動能力の高さ、そしてスマートなスタイルからジャガーという名前がモデル名となり、ついにはメーカーの名前にまで起用されたのです。そんなジャガーの躍動感をあらわしたボンネットマスコットや顔がエンブレムとして使用されています。
猫科でヒョウの一種であるジャガーの敏捷性や運動能力の高さ、そしてスマートなスタイルからジャガーという名前がモデル名となり、ついにはメーカーの名前にまで起用されたのです。そんなジャガーの躍動感をあらわしたボンネットマスコットや顔がエンブレムとして使用されています。
海外自動車メーカーALFA ROMEO(アルファ ロメオ)のエンブレム
戦前のモータスポーツ界において八面六臂の活躍を見せたアルファロメオのエンブレムもじつに個性的です。
白地に赤い十字架と蛇を組み合わせたデザインは、アルファロメオの創業地であるミラノ市の紋章に由来しています。白地に赤い十字はかつてこの地にあったミラノ公国の国旗で、蛇(ビショーネ=人喰い蛇)は、もともとミラノ公国の僭主だったヴィスコンティ家に伝わる紋章に使われていたもの。
このビショーネとミラノ公国の国旗を組み合わせたものは、15世紀に建てられたスフォルツァ城に残されています(赤十字が右、蛇が左)。その配置を逆にしたマークが、アルファロメオのエンブレムと言われています。
白地に赤い十字架と蛇を組み合わせたデザインは、アルファロメオの創業地であるミラノ市の紋章に由来しています。白地に赤い十字はかつてこの地にあったミラノ公国の国旗で、蛇(ビショーネ=人喰い蛇)は、もともとミラノ公国の僭主だったヴィスコンティ家に伝わる紋章に使われていたもの。
このビショーネとミラノ公国の国旗を組み合わせたものは、15世紀に建てられたスフォルツァ城に残されています(赤十字が右、蛇が左)。その配置を逆にしたマークが、アルファロメオのエンブレムと言われています。
エンブレムひとつにも歴史や逸話が詰まっている海外メーカー。歴史に添った経緯や雑学もあり、調べてみると自動車以外のことにも、詳しくなれそうですね。