ロードスターRFやフェアレディZとの相性抜群?コンチネンタルタイヤ「マックス・コンタクト MC7」を山田弘樹がレポート!
更新日:2024.09.09
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コンチネンタルタイヤからの新製品 マックス・コンタクト MC7(MaxContact MC7)の試乗会がオーストラリアのシドニーで開催され、モータージャーナリストの山田弘樹さんが参加されました。
マックス・コンタクト MC7は、アジア・パシフィック地域で発売されるスポーツタイヤとのことで、GRヤリスやフェアレディZとも相性が良さそうとのこと。
では実際、マックス・コンタクト MC7はどんなタイヤだったのか、解説します。
文:山田弘樹 / 写真:コンチネンタルタイヤ / 編集:CarMe編集部
マックス・コンタクト MC7は、アジア・パシフィック地域で発売されるスポーツタイヤとのことで、GRヤリスやフェアレディZとも相性が良さそうとのこと。
では実際、マックス・コンタクト MC7はどんなタイヤだったのか、解説します。
文:山田弘樹 / 写真:コンチネンタルタイヤ / 編集:CarMe編集部
「マックス・コンタクト MC7」はアジア・パシフィック地域をメインに展開する
コンチネンタルタイヤ マックス・コンタクト MC7(マックス・コンタクト エムシーセブン 以下MC7)の試乗会がオーストラリアのシドニーで開催されました。
試乗会がこの地で開催された理由は、MC7がアジア・パシフィック地域で発売されるスポーツタイヤだからです。
ちなみにコンチネンタルタイヤのスポーツタイヤとしては、その頂点に「スポーツ・コンタクト 7」があります。そしてMC7は性能グラフ的に見るとこの下に位置するタイヤなのですが、コンチネンタルとしてはこれを単なる廉価グレードと捉えていない点が非常に興味深いポイントです。
試乗会がこの地で開催された理由は、MC7がアジア・パシフィック地域で発売されるスポーツタイヤだからです。
ちなみにコンチネンタルタイヤのスポーツタイヤとしては、その頂点に「スポーツ・コンタクト 7」があります。そしてMC7は性能グラフ的に見るとこの下に位置するタイヤなのですが、コンチネンタルとしてはこれを単なる廉価グレードと捉えていない点が非常に興味深いポイントです。
なぜならAPAC地区のユーザーは、たとえスポーツタイヤであってもそこに「静粛性」や「乗り心地」といったコンフォート性能を求める傾向が、欧州よりも強いからです。
そこでコンチネンタルは、同地区が欧州よりも速度レンジが低い分のマージンを使って、これを快適性に振り分けたのでした。
そこでコンチネンタルは、同地区が欧州よりも速度レンジが低い分のマージンを使って、これを快適性に振り分けたのでした。
「マックス・コンタクト MC7」は決してディフュージョンモデルではない
こうした経緯からMC7は、決して安価な素材を使って作られたディフュージョンモデルではなく、立派なコンフォート志向のスポーツタイヤだというのが、彼らの主張です。
市場価格がスポーツ・コンタクト 7に比べて安価なのは、生産拠点をアジアに置き、ロジスティクス(輸送)のコストによって、その価格を抑えているからなのだと現地のエンジニアは筆者に教えてくれました。
そんなMC7のルーツは2004年に登場した「ComfortContact」(コンフォート・コンタクト)で、その快適性にスポーツ性能を加えることでマックス・コンタクト MC5が誕生しました。
そして、マックス・コンタクト MC6から実に今回7年ぶりのフルモデルチェンジとして、このたびマックス・コンタクト MC7が登場したのです。
市場価格がスポーツ・コンタクト 7に比べて安価なのは、生産拠点をアジアに置き、ロジスティクス(輸送)のコストによって、その価格を抑えているからなのだと現地のエンジニアは筆者に教えてくれました。
そんなMC7のルーツは2004年に登場した「ComfortContact」(コンフォート・コンタクト)で、その快適性にスポーツ性能を加えることでマックス・コンタクト MC5が誕生しました。
そして、マックス・コンタクト MC6から実に今回7年ぶりのフルモデルチェンジとして、このたびマックス・コンタクト MC7が登場したのです。
コンチネンタルタイヤのお家芸とも言えるウェット性能は「マックス・コンタクト MC7」も妥協なし
MC7のテストは2日間に渡って開催され、初日はニューサウスウェールズ州にある「ラデナム・レースウェイ」で、その運動性能を確認しました。
ウェット路面を時速80km/hからフルブレーキングしてその制動距離を確認するテストでは、2台のBMW 330iにMC7とメーカーの名前を伏せたライバルタイヤ(おそらくティア1相当のプレミアムスポーツタイヤ)が用意されていました。
ウェット路面を時速80km/hからフルブレーキングしてその制動距離を確認するテストでは、2台のBMW 330iにMC7とメーカーの名前を伏せたライバルタイヤ(おそらくティア1相当のプレミアムスポーツタイヤ)が用意されていました。
このテストは各タイヤで2回ずつ計4回行われましたが、MC7はそのどちらにおいてもライバルタイヤから1m強の差を付けて短く止まりました。
その差は実にわずかではありましたが、これによってMC7がスポーツタイヤながらも、ドライ性能に特化したキャラクターではない、ということを確認することができました。
その差は実にわずかではありましたが、これによってMC7がスポーツタイヤながらも、ドライ性能に特化したキャラクターではない、ということを確認することができました。
さらにウェット路面のカーブでは、アンダーステアが出たときのコントロール性を確認するユニークなテストが行われました。
車両は同様にBMW330iで、その方法は下り坂を全開で走りながら、上り勾配のコーナーへブレーキなしでターンインするというものでした。
このときライバルのタイヤは、一度滑り始めると接地感がなかなか回復しませんでした。
対して、MC7は、アンダーステアを出しながらも、タイヤが路面を捉えようとし続けました。その滑り方はとても穏やかで、ステアリング角を戻していくとそのグリップは速やかに回復しました。
車両は同様にBMW330iで、その方法は下り坂を全開で走りながら、上り勾配のコーナーへブレーキなしでターンインするというものでした。
このときライバルのタイヤは、一度滑り始めると接地感がなかなか回復しませんでした。
対して、MC7は、アンダーステアを出しながらも、タイヤが路面を捉えようとし続けました。その滑り方はとても穏やかで、ステアリング角を戻していくとそのグリップは速やかに回復しました。
レスポンス性を選ぶなら「スポーツ・コンタクト 7」、コントロール性を選ぶなら「マックス・コンタクト MC7」
このようにウェット路面でもタイヤが路面に追従し続けるのは、シリカを多く含んだ「リフレックスコンパウンド」のおかげです。
また、このコンパウンドはブレーキングや操舵で大きな力が加わると、そのエネルギーを素早く熱交換し、グリップ力を高めてくれる特性を持っています。
排水面では「ノイズブレーカー3.0」という技術が貢献しています。これは排水溝に組み込まれるシステムで、通常時はこの溝を通る空気を絞り込み、気柱共鳴音を減衰します。
そして、ウェット路面では溝を通る水の流速を早め、その排水性を高めてくれるのです。
さらにトレッド中央には、主溝につながる「スターサイプ」と「ライトニングサイプ」、そして一番内側のブロックには、大型パターンへとつながる「アクアサイプ」が搭載されています。
これらは全て3D構造となっており、トレッド表面の水をそれぞれの溝へと導いてくれます。そしてタイヤの表面積を減らすことなく、排水性を高めてくれるのです。
また、このコンパウンドはブレーキングや操舵で大きな力が加わると、そのエネルギーを素早く熱交換し、グリップ力を高めてくれる特性を持っています。
排水面では「ノイズブレーカー3.0」という技術が貢献しています。これは排水溝に組み込まれるシステムで、通常時はこの溝を通る空気を絞り込み、気柱共鳴音を減衰します。
そして、ウェット路面では溝を通る水の流速を早め、その排水性を高めてくれるのです。
さらにトレッド中央には、主溝につながる「スターサイプ」と「ライトニングサイプ」、そして一番内側のブロックには、大型パターンへとつながる「アクアサイプ」が搭載されています。
これらは全て3D構造となっており、トレッド表面の水をそれぞれの溝へと導いてくれます。そしてタイヤの表面積を減らすことなく、排水性を高めてくれるのです。
全体的にウェット路面におけるMC7のキャラクターは、穏やかでコントローラブルだと言えます。そしてこの特性が、ドライ路面でもうまく生かされているのには、とても感心しました。
筆者の経験から言うとタイヤ全体の剛性感は、確かにMC7よりもスポーツ・コンタクト 7の方が高いでしょう。実際にタイムやコーナリングGを比較すれば、その差は数値としてはっきりと表れると思います。
一方、MC7の良さはドライ路面でもウェット路面でも変わらずその滑り出しが穏やかで、かつその滑り量も適度に抑えられていることでしょう。
ブレーキングではタイヤ全体で制動Gをゆっくりと受け止め、ターンインへと穏やかにつなげてくれます。またコーナーでは最後まで粘りながら、上手に横Gを発散させてくれるから、コントロールがしやすいのです。
一方、MC7の良さはドライ路面でもウェット路面でも変わらずその滑り出しが穏やかで、かつその滑り量も適度に抑えられていることでしょう。
ブレーキングではタイヤ全体で制動Gをゆっくりと受け止め、ターンインへと穏やかにつなげてくれます。またコーナーでは最後まで粘りながら、上手に横Gを発散させてくれるから、コントロールがしやすいのです。
MC7がドライ路面でこのようなバランスの良い剛性感と操縦性を得ているのは、アウト側に配置されたマクロブロックがしっかりと踏ん張ってくれるからです。
ちなみにその細い溝の中にはスタビライザーバーが装備されていて、ブロックの倒れ込みも抑制してくれています。
ちなみにその細い溝の中にはスタビライザーバーが装備されていて、ブロックの倒れ込みも抑制してくれています。
「マックス・コンタクト MC7」はGRヤリスやフェアレディZなどの日本のスポーツカーにもマッチする
ただし、その静粛性を高めるべくタイヤ全体の剛性は過剰に高まってはいないため、車側にもある程度のステアリングレスポンスやサスペンション剛性があった方が、そのグリップが引き出しやすいでしょう。
そういう意味でもマッチングが良いのは、スポーツカーまたはスポーツセダンです。
今回の試乗車にはBMWの他にフェアレディZも用意されましたが、このほかにもロードスターRFといった、ハンドリングを楽しめる国産スポーツカーにも合うはずです。
そういう意味でもマッチングが良いのは、スポーツカーまたはスポーツセダンです。
今回の試乗車にはBMWの他にフェアレディZも用意されましたが、このほかにもロードスターRFといった、ハンドリングを楽しめる国産スポーツカーにも合うはずです。
また、GRヤリスやGRカローラのような本格的なレーシングスポーツでも、そのパワーに負けないキャパシティがあると思います。
それでいて普段の乗り心地が快適になるので、サーキットでタイムを狙うような使い方でなければむしろ、トータルパフォーマンスは高いかもしれません。
それでいて普段の乗り心地が快適になるので、サーキットでタイムを狙うような使い方でなければむしろ、トータルパフォーマンスは高いかもしれません。
「マックス・コンタクト MC7」は一般道のロングツーリング性能も追求
2日目のテストでは、シドニーからハンターバレーまでの約250kmをロングツーリングしました。
一般道で最も特徴的だったのは、快適さの高さです。MC7はザラザラとした路面でも音と振動を、実によく抑えていました。
そして、良好な路面では、とてもスポーツタイヤとは思えないほど滑らかに転がります。
一般道で最も特徴的だったのは、快適さの高さです。MC7はザラザラとした路面でも音と振動を、実によく抑えていました。
そして、良好な路面では、とてもスポーツタイヤとは思えないほど滑らかに転がります。
サーキットでは“しなやか系”だと感じたタイヤの剛性感は、Gの掛かり方が低い一般道では、しっかり感を増します。高速巡航時は直進安定性が高く、レーンチェンジもピタッと決まります。
絶品だったのは、ワインディングロードでのハンドリングでした。
操舵に対する反応はリニアなのに、グリップの立ち上がり方にまったく角がない。
荒れた路面からの入力をしっとりとダンピングしつつ、“止まる・曲がる・トラクションを掛ける”がきちんとできるのです。
絶品だったのは、ワインディングロードでのハンドリングでした。
操舵に対する反応はリニアなのに、グリップの立ち上がり方にまったく角がない。
荒れた路面からの入力をしっとりとダンピングしつつ、“止まる・曲がる・トラクションを掛ける”がきちんとできるのです。
超高速域での安全性や、サーキットでのタイム、そしてスポーツタイヤとしてのハンドリングレスポンスを重視するなら、スポーツ・コンタクト 7が最適でしょう。
また、正直に言えばスポーツ・コンタクト 7でも、想像以上に快適な乗り心地や静寂性が得られます。ではあえてMC7を選ぶ魅力が何なのかといえば、それは"懐の深さ"だと思います。
それがスポーティな走りにおいてはコントロール性の向上、日常の走りにおいてはSC7を超えた快適性につながるのだと思います。
確かにコンチネンタルの言う通り、マックス・コンタクト MC7は、非常に日本人好みなスポーツタイヤに仕上がっていると言えるでしょう。
また、正直に言えばスポーツ・コンタクト 7でも、想像以上に快適な乗り心地や静寂性が得られます。ではあえてMC7を選ぶ魅力が何なのかといえば、それは"懐の深さ"だと思います。
それがスポーティな走りにおいてはコントロール性の向上、日常の走りにおいてはSC7を超えた快適性につながるのだと思います。
確かにコンチネンタルの言う通り、マックス・コンタクト MC7は、非常に日本人好みなスポーツタイヤに仕上がっていると言えるでしょう。