ブレーキタッチを向上させる!? マスターシリンダーストッパの効果とは?

ブレーキを制御する「マスターシリンダー」という装置と、これを補助する「マスターシリンダーストッパ」という部品があります。普段走行している時には、正直気にならない装置ですが、マスターシリンダーストッパを付けると、走りの質感が少し変わります。マスターシリンダーとストッパの働きとは?

Chapter
まずはマスターシリンダー
ブレーキングで大切なブレーキタッチ
マスターシリンダーを固定する部品
市販車に付いていない理由とは?

まずはマスターシリンダー

マスターシリンダーは、ブレーキペダルと繋がっている部品で、運転席の前やエンジンルームに設置されています。マスターシリンダーは、ブレーキを制御するため、ポルシェ911のようにリアにエンジンがあったり、ハイエースのように運転席の下にエンジンがある車でも、運転席の前にあります。

マスターシリンダーには、ブレーキオイルが入っており、ブレーキペダルを踏むとマスターシリンダー内のオイルが各キャリパーに送り込まれ、制動力が発生します。ブレーキペダルと繋がっており、オイルを送り出す動きをするため、エンジンルームと運転席を隔てる隔壁部分(バルクヘッドと言います)にしっかりと取り付けられています。

しかし、ブレーキを踏むという動作をする都合上、その強さによっては多少、しなっています。

ブレーキングで大切なブレーキタッチ

brake cylinder

一般道を普通に走っている分には、ブレーキタッチを気にすることは少ないでしょう。信号で停止する場合も、ある程度、手前からアクセルを抜いて減速が始まっているところに、徐々にブレーキを踏み込んでいくため、おそらくバルクヘッドがしなる感触を感じることはないかと思います。

しかし、スポーツ走行、特にサーキット走行であれば話は別です。ストレートエンドなど、高速域からブレーキングを行いコーナーに進入していくことは多々あり、このハイスピード域からのブレーキング時に感じやすい現象と言えます。

ブレーキもアクセルも、踏むか離すか、という操作ではなく、徐々に踏み込んだり、踏み足したりするケースが多々あります。特に、踏み込んだ時に、踏み込んだ量と制動力が思いの外、釣り合わないなどの違和感を感じることがあります。これが、ブレーキタッチの不良です。

レースの場合、このブレーキタッチがより明確な方が速く走れるため、ブレーキタッチをしっかりさせる部品が必要になります。

マスターシリンダーを固定する部品

detail_brake cylinder

マスターシリンダーは、ブレーキの踏み込みと共に、前に向かって押し出されます。バルクヘッドに固定されていますが、バルクヘッドも一緒に前に向かって歪むことがあり、これが、ブレーキタッチを悪化させる要因です。

そこで、ストラット取り付け部分などにマスターシリンダーを運転席とは反対側から挟み込むように固定する製品がマスターシリンダーストッパ。踏み込む方向とは逆方向から押さえつけますので、当然ですがカチッとしたブレーキタッチになり、ブレーキを踏み込んだ時の感触をよりつかみやすくなります。

一般的に公道を走る上で必要な部品ではありません。その為、多くの場合サーキット走行も見据えられたようなスポーツモデル向けに、サードパーティ製品としてリリースされているモノがほとんです。

非常に簡単な部品のため、ある程度強度のあるステーなどを使えば、自作することも不可能ではありません。製品によってはタワーバーにマスターシリンダーストッパの機能を備えたものもあります。

市販車に付いていない理由とは?

当然ですがデメリットがあります。マスターシリンダーストッパを付けることで、バルクヘッドとストッパの間にマスターシリンダは挟まれることになります。これ自体はブレーキタッチやフィーリングを向上させてくれるため、悪いことはないようにも思います。

問題はマスターシリンダを構成する素材です。主要部品はスチールをはじめとした金属部品ですが、パイプなどの接合面も多く、比較的強度の低いパーツが存在します。ストッパが付いている場合、これらの強度の低い部分にストレスがかかり、微妙なオイル漏れが発生することがあります。

特に、サーキット走行など、激しいブレーキングが増えれば増えるほど、マスターシリンダはダメージを負うことになります。微妙なオイル漏れは、なかなか気が付かないケースも多く、知らない内に制動力が落ちることも…。そのため、純正で装着するような部品ではないと言えます。

車の基本的な動作である、「走る」「曲がる」「止まる」を構成する部品の一つでもある、ブレーキマスターシリンダー。ブレーキタッチはよりカチッとしたほうが感触が良く、ストッパーを付けると非常に判りやすく改善できます。

とはいえ、最近の車ではバルクヘッドの強度も上がっているため、必要ない場合も多いかもしれませんね。