車のオルガン式とつり下げ式のペダルは何が違うのか?

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クルマのペダルは上からぶら下がっているものを踏みつけるタイプが多いですが、下から生えているペダルを踏みつけるオルガン式もあります。その違いはどこにあるのでしょう?
Chapter
圧倒的に多いのは吊り下げ式ペダル
オルガン式の方が踏みにくい車は少ない
電子制御スロットルやオートマの増加による影響

圧倒的に多いのは吊り下げ式ペダル

大抵の人は「吊り下げ式ペダル」しか見た事無いので、オルガン式と言われてもピンと来ません。そもそも「ペダルなんてこんなものだ」くらいの気持ちで、上からぶら下がっているか、下から生えているかなど考えた事も無い人の方が多いのではないでしょうか。

実際のところ、圧倒的に多いのは吊り下げ式ペダルの車です。

なぜかと言えば、エンジンやミッション、ブレーキブースターなどが収められているのはほとんどの車でフロントのエンジンルームなので、そこからワイヤーでバルクヘッド(隔壁)に開けた穴を通して、そのままペダルの根元にワイヤーを繋げた方が構造的には簡単になります。

ワイヤーで繋げたところからレバーを下に伸ばし、レバーの中間にバルクヘッドやシャシーから伸ばしたステーを繋げば、一番下のペダルを踏む事でレバーをシーソーのように動かす事で、ペダルの反対側に繋いであるワイヤーを引っ張ったり伸ばしたりできます。

この方式だと構造は簡素ですし、動く部分が内装の内側などで引っかかるものが少ないというメリットもあるんですね。

※画像はイメージです

オルガン式の方が踏みにくい車は少ない

一方、下からペダルが生えているオルガン式の場合は、少し難しい構造になります。床下にワイヤーを張るために、余分なリンケージ類を追加しないといけませんので、多少コストが増えます。

そのため、ポルシェ911のようにリアエンジン式の車など、元からエンジンがフロントに無く、面倒なワイヤーのリンケージ機構が必須な車でオルガン式が採用される事が多い傾向です。

とはいえ、どの方式を採用しても同じような手間はかかるので、わざわざ他の車種と異なるオルガン式を使わず、ペダルのコストの問題で吊り下げ式を採用しているケースも。また、オルガン式の場合は床に穴を開けてペダルを生やしている事になるので、どうしてもその穴にゴミが詰まってペダルに引っかかり、戻らなくなるなどのトラブルの原因になります。

ただ、オルガン式には「踏みやすい」という大きなメリットがあります。踏み込んだ時のペダルの軌跡が、踏み込む時の足の軌跡と同じなので、慣れなくとも違和感無く踏めるのです。

吊り下げ式の場合は、踏み込んだ足の軌跡に対してペダルもそのまま下に踏み込まれるわけではなく、横方向に動いたりしますし、吊り下げ位置が上過ぎたりして、慣れないとペダルを踏むのに違和感を感じる車種も…。

そのため、フロントにエンジンがあっても、コストをかけてオルガン式にしているケースもあります。

電子制御スロットルやオートマの増加による影響

吊り下げ式とオルガン式…それぞれにメリットとデメリットはあるものの、コスト面が大きな課題があるというのは、実はそれぞれのペダルがワイヤーを使ってエンジンやクラッチに繋がっているという前提ゆえの話。

ただ、最近はそれらにワイヤーを使って機械的に直接接続されるケースが減っています。

まずオートマ車の場合は、そもそもクラッチペダルがありません。代わりにパーキングブレーキペダルが装着されているケースもありますが、電動パーキングブレーキを使えばペダルではなくスイッチで十分なので、ワイヤーで直接操作する必要も無いのです。

アクセルも電子制御スロットルが増えたので、エンジン側のスロットルとアクセルペダルが直接接続されなくなりました。残るはブレーキのみで、こればかりは電気的な接続だけですと、いざという時にブレーキペダルを踏んでも何も起きない!という事を防ぐため、なかなかワイヤーによる機械的接続は減らないかもしれません。

とはいえ、そのブレーキにしても最近では実際にドライバーが踏んでいる、いないに関わらずABSやさまざまな電子制御デバイスが勝手に制御している場合は徐々に増えてきています。それらが完全に故障した時でも、ブレーキペダルとブレーキが機械的に接続されていれば最悪の事態が回避される可能性は高まります。そもそも「何もかも故障したら、自動的にブレーキをかけて安全に停止させる」というフェイルセーフ機構を組み込めば済む話でもあります。

今はまだ昔ながらの機構の名残で吊り下げ式ペダルが多いですが、今後は自由なレイアウトが許されて、自然に踏めるオルガン式が増えてくるかもしれませんね。
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