フォルクスワーゲンの乾式7速DSGと湿式6速DSGは何が違うのか?

VW・DSG
手動変速機を二枚のクラッチを使って自動化したDCT(デュアルクラッチトランスミッション)は、メーカーによって名称が異なる場合があり、フォルクスワーゲンの「DSG」もそのひとつです。そのフォルクスワーゲンのDSGには乾式7速と湿式6速がありますが、その違いはなんでしょう?
Chapter
フォルクスワーゲンの「DSG」
量販車初のDCTだったVWの湿式6速DSG
簡易化でコストダウンを図り開発された乾式7速DSG
環境への耐久性で問題の出た乾式DSG

フォルクスワーゲンの「DSG」

MT(マニュアルトランスミッション、手動変速機)を油圧アクチュエーターなどを使って自動化する2ペダルMT,あるいはセミATミッションが増えています。

シングルクラッチ式で単純にMTを自動化したスズキのASGやアルファロメオのセレスピードもありますが、現在の主流はBMWやホンダ、VW(フォルクスワーゲン)が採用する、デュアルクラッチ式です。

2枚のクラッチディスクを駆使して、一方が駆動伝達している間、もう一方は変速している事で駆動の切れ目を無くした、自動化だけでなく効率化を求め、燃費向上にも大きく貢献しているデュアルクラッチ式ミッションは、「DCT(デュアルクラッチ式トランスミッション)」と呼ばれます。

DCTは大きく分ければBMWなどが採用するゲトラグ製、日産などが採用する愛知機械製のボルグワーナ式、そしてホンダなどが内製しているシェフラー式などがあるのです。VWが作っていて「DSG(ダイレクトシフトギアボックス)」と呼ばれるDCTも、ホンダと同じくシェフラーと共同開発したもので、クラッチシステムは基本的に同じです。

量販車初のDCTだったVWの湿式6速DSG

VWが2003年から採用した世界初の量販車用DSG(DCT)は、湿式多板クラッチ6速でした。

複雑で重く高価な反面、クラッチを切っている間の空走距離が存在し、かつMTとは異なりドライバーの意思でその時間やタイミングの制御ができないシングルクラッチ式セミATに比べ、瞬時に変速しロスが極限され、ダイレクト感に溢れたDSGは大いに歓迎されます。

初搭載されたゴルフR32の走行性能とあいまって、それまで「MTでなければダイレクトなレスポンスを味わえない」と言っていたMT信者に対し、オートマ派が「DSGならAT限定免許でも乗れるし、シフトチェンジのスピードでMTには負けない!」と大きく力づけられたものです。

その湿式6速DSGは何が湿式かというと多板クラッチの冷却機構で、6.5Lもの大量のオイルを循環させる事で、デュアルクラッチシステムを冷却しています。これにより発熱によるトラブルから守られるので、ハイパフォーマンスモデルの大トルクにも耐える事ができました。

そのため、現在でも2リッターTSIエンジンで280馬力、38.8kg-mを発揮する「ゴルフR」のような高性能エンジン搭載モデルには、湿式6速DSGが使われています。
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簡易化でコストダウンを図り開発された乾式7速DSG
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