スバル「レヴォーグ レイバック」のエクステリア – 都市型クロスオーバーの豊かで洗練された世界観【プロ徹底解説】

レヴォーグ レイバック

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スバルの人気ステーションワゴンである「レヴォーグ」に新たな兄弟が誕生しました。それが都市型クロスオーバーの「レヴォーグ レイバック」です。2023年10月25日に発表されました。ここでは、そのエクステリア・デザインの特徴を解説します。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
レイバックのコンセプトと誕生背景
デザインコンセプトは「凛 × 包」
エクステリアデザインの特徴(フロント・サイド・リヤ)
空力性能へのこだわり
ボディカラーは7色
エクステリアの装備と機能性
最新モデル:「ブラックセレクション」の追加
競合モデル比較 – 都市型クロスオーバーSUVの中での位置づけ
トヨタ・カローラクロス
マツダ・CX-5
ホンダ・ヴェゼル(ZR-V含む)
まとめ:豊かさと洗練を纏った新世代クロスオーバー

レイバックのコンセプトと誕生背景

「レヴォーグ レイバック」は、スバルの人気ステーションワゴン「レヴォーグ」から派生した新しいクロスオーバーモデルです。2023年10月25日に発表され、「都会的なフォーマル性(土の香りがしない)」「SUVでも運転が愉しく安心できること」「ステータス性より基本性能重視」といったコンセプトで開発されました。
元来レヴォーグが持つ先進安全性能・スポーティさ・ワゴンの実用性はそのままに、SUVならではの自在性と都会向けの上質感をプラスした、唯一無二のSUVとして位置づけられています。

モデル名「レイバック(LAYBACK)」は英語の “Laid back(くつろいだ、ゆったりした)” に由来し、上質でくつろげる空間と豊かな日常を提供する相棒になることを目指したネーミングです。都市生活に映えるデザインと、郊外へのお出かけもこなせる走行性能を両立した、新しい都市型クロスオーバーSUVです。

デザインコンセプトは「凛 × 包」

レヴォーグ レイバックのデザインテーマは「凛(りん)× 包(ほう)」。これはベース車であるレヴォーグが持つ引き締まった「凛」とした佇まいに対し、レイバック独自の豊かさと温かみで包み込むという発想です。
従来のレヴォーグは先進的で硬質・クールな印象がありましたが、レイバックではそこに「ゆとり」「柔らかさ」を加えることで、都会派SUVらしい上質で穏やかな雰囲気を演出しています。この「凛と包む」デザイン哲学により、都会の洗練と落ち着きを感じさせるエクステリアに仕上げられているのが特徴です。

エクステリアデザインの特徴(フロント・サイド・リヤ)

レイバックの外観デザインは、フロントからサイド、リヤまで各部に独自の工夫が凝らされています。まずフロントマスクですが、グリル形状はベースのレヴォーグが採用していた六角形グリルとは大きく異なります。レイバックではフロントバンパー全体をひとつの大きな立体として捉え、中央のグリルから左右のヘッドランプまで横に伸びる伸長ウイング(翼状の意匠)を配置しました。

これにより幅広さと伸びやかさが強調され、全く異なる表情のフロントフェイスを実現しています。バンパー下部には緩やかな曲面を多用し、一体感のある造形で上質さを演出しています。さらにウイング部分にはサテンメッキ加飾をあしらい、SUVらしい力強さの中にさりげない高級感を添えています。ボンネット上にはレヴォーグ伝統のエアインテーク(ダクト)も健在で、ターボ車らしいスポーティさを主張します。

ヘッドライトおよびフォグランプは先進的なフルLED仕様で、暗所での視認性とデザイン性を両立しています。特に特別仕様車「ブラックセレクション」ではヘッドライト内部がブラックベゼル化され、精悍な印象を高めています。
サイドビューでは、まず目を引くのがホイールアーチを縁取る黒いフェンダーモール(クラッディング)です。スバルはこれを「サイドクラッディング」と呼んでおり、あえて十分な厚みを持たせることでボディの量感を強調しつつも「土臭さ」を感じさせない都会的なアクセントとしています。

無塗装ブラックの樹脂パーツはデザイン上のアクセントになるだけでなく、小石跳ねなどからボディを保護する実用性も担っています。またドア下部のサイドスカート形状にも曲面が採用され、乗降のしやすさに配慮しつつ空力性能にも貢献する造形となっています。
足元には18インチの専用アルミホイールを装着。レイバック専用デザインの切削光輝仕上げホイールで、高輝度のスーパーブラックハイラスター塗装が施され、黒基調ながら光の当たり方で表情を変える質感が特徴です。このダークでシャープなホイールデザインにより、レイバックは土の香りより都会の香りを漂わせる世界観を表現しています。
リヤデザインは一見レヴォーグに近いワゴンスタイルですが、細部で差別化が図られています。リアビューではまずバンパー形状が異なり、上下方向の厚み(縦のボリューム感)がより強調されています。これによりSUVらしいどっしりとした安定感が後姿に与えられ、ワゴンというよりクロスオーバーSUVらしい力強さが感じられます。

リアバンパー下部にもブラックのガーニッシュとシルバーのスキッドプレート風デザインが組み合わされ、タフさと上質さを演出。両側に配されたエアアウトレット風の意匠はリアビューを引き締め、サイドクラッディングとの連続性で一体感を持たせています。

テールランプはレヴォーグ譲りの横長型ですが、点灯パターンなど細部が調整され、夜間には広がり感のある光のシグネチャーを描きます。リアゲート右下には「LAYBACK」のエンブレムが付き、専用モデルであることを主張。なおボディ後端の造形は空力も考慮されており、ルーフスポイラーやCピラー周辺の形状で乱流を抑え、高速走行時の安定性に寄与しています。
寸法面では、レイバックは全長4770×全幅1820×全高1570mmと、レヴォーグ(全長4755×全幅1795×全高1500mm)に比べ一回り拡大されています。幅は+25mmでワイドスタンス化、車高も+70mm高くなりました。その結果最低地上高は200mmを確保し、ベース車より55mmもアップしています。

この200mmという数値はステーションワゴン派生の車種としては異例の高さであり、多少の段差や悪路でも底を擦りにくく、雪道や未舗装路での走破性も大きく向上しています。それでいて全高は一般的なSUVより抑えめなため、都市部の立体駐車場などでも扱いやすいサイズ感を両立しています。ホイールベースは2670mmでレヴォーグと同一のため、走行安定性と室内空間はキープしながら、外装のみをSUVテイストに仕立てたバランスの良さが光ります。

空力性能へのこだわり

SUVルックへの進化にあたっても、レイバックはスバルらしく空力(エアロダイナミクス)性能に配慮した設計がなされています。外観上の各パーツはデザイン性だけでなく空力的な機能も持ち合わせています。例えば新形状のドアミラーは、造形を見直すことで見栄えと視界確保に加え、走行風の乱れを抑えて空力性能を高める役割も果たしています。

車両前面では、フロントバンパーの開口部やアンダースポイラー形状を最適化し、走行時の空気抵抗低減とエンジン冷却効率の両立を図っています。

リアエンド周辺も空気の剥離をコントロールする形状とし、後方乱流を減らすことで燃費性能の確保にも寄与しています。さらに、18インチホイールのデザインもスポーク間隔や断面形状まで計算され、ブレーキ冷却と風切り音低減のバランスを追求しています。これらの見えない部分の工夫によって、レイバックは車高が高めながらも滑らかな空気の流れを実現し、高速域での安定性と静粛性を確保しているのです。

ボディカラーは7色

スバル・レヴォーグ レイバックのボディカラーは全7色が用意されており、新開発色を含む豊富なラインナップでユーザーの個性を際立たせます。中でも新色のアステロイドグレー・パールは濁りのない上質なグレーで、黒い外装パーツと好相性を見せつつ、昼夜や天候によって色味が変化する洗練されたカラーです。イグニッションレッドは3コート塗装による深みと艶のある高発色レッドで、角度や光によって陰影が変化し、スポーティさと華やかさを兼ね備えています。セラミックホワイトは混じり気のない純白で、クラッディングとのコントラストが映えるとともに、小傷や汚れが目立ちにくい実用性も持っています。

アイスシルバー・メタリックは青みを帯びた爽やかなシルバーで、都会的で知的な印象を与えると同時に、汚れが目立ちにくいのも魅力です。マグネタイトグレー・メタリックは日中はグレー寄り、夜は黒に近い重厚な表情を見せるダークグレーで、スポーティさと上質さを両立しています。クリスタルブラック・シリカは微細なシリカ粒子が光を反射し、夜空の星のように輝く漆黒で、存在感と高級感を兼ね備えています。そしてサファイアブルー・パールは宝石のように深みのある青で、昼は鮮やかに、夜はシックな紺色に変化する二面性を楽しめるカラーです。

なお、アステロイドグレー・パール(33,000円高)とイグニッションレッド(55,000円高)はメーカーオプションの有料色ですが、その他の5色は標準設定で追加費用なしに選べます。いずれの色も都市の景観にも自然の中にも調和し、昼夜や天候で異なる表情を見せるのが特徴です。

エクステリアの装備と機能性

レイバックは洗練された見た目だけでなく、日常で感じられる使い勝手の良さや先進技術もエクステリアに数多く織り込んでいます。まず照明機器では、フルLEDヘッドライト(ロービーム/ハイビーム)を標準装備し、夜間走行時の明るさと省電力を両立しています。

また、フロントフォグランプリアコンビランプハイマウントストップランプまでLED化され、点灯応答性や被視認性が高められています。ドアミラーにはLEDターンインジケーター(ウインカー)を内蔵し、視認性とデザイン性を両立。

外装の細部にも機能性が光ります。フロントウインドシールド上部には3眼カメラ方式の最新「アイサイトX」カメラが内蔵されており、外観からはルームミラー付近のカメラユニットとして確認できます。これはレイバックの先進安全装備の要で、車外デザインに溶け込む形で搭載されています。フロントグリルの六連星エンブレムの内部にはレーダーが隠されており、これも安全技術とデザインを両立させた例と言えるでしょう。

フロントバンパーには超音波センサーが組み込まれており、駐車時の障害物検知や先進駐車支援のために機能しますが、バンパーと一体化した意匠で目立たないよう処理されています。

カーゴルーム容量は561L(後席使用時、サブトランク含む)と大容量で、ワゴン譲りの積載力はレイバックの大きな強みです。このようにレイバックはデザインと実用性のバランスに優れ、都市生活からレジャーまで幅広いシーンで活躍できるよう工夫されています。

最新モデル:「ブラックセレクション」の追加

発売から1年余りを経て、レイバックには2024年末に特別仕様車「Black Selection(ブラックセレクション)」が追加設定されました。最上級グレードLimited EXをベースに、内外装にブラック加飾を施した特別モデルです。「ブラックセレクション」では18インチアルミホイールが専用ブラック塗装となり、ドアミラーやルーフアンテナもボディ同色から光沢ブラック塗装に変更。さらにリアの「LAYBACK」エンブレムやAWDオーナメントもラスターブラック仕上げとなり、引き締まった印象を高めています。

ヘッドライト内部もブラックベゼル仕様となり精悍さがアップ。ボディカラーは限定ではなく全色選択可能ですが、ブラック系(クリスタルブラック・シリカやマグネタイトグレー)との組み合わせでは特に統一感あるシックな雰囲気を醸し出します。インテリアも含め細部まで黒基調で統一されており、大人の落ち着きを追求したモデルと言えるでしょう。

安全面ではドライバーモニタリングシステムとドライバー異常時対応システムの連携強化や新機能追加など、2025年モデルに相応しいアップデートも盛り込まれています。

ブラックセレクションの登場により、レイバックはエクステリアの個性をさらに広げ、より上質志向なユーザーにもアピールできるラインナップとなりました。

競合モデル比較 – 都市型クロスオーバーSUVの中での位置づけ

2022 カローラクロス Z

2022 トヨタ カローラクロス

トヨタ・カローラクロス

全長約4490mm×全幅1825mm×全高1620mm程度のコンパクトSUVで、レイバックより一回り小さめですが、都内の取り回しや燃費性能に優れた実用派SUVです。カローラクロスのデザインはクセのないオーソドックスなSUVスタイルで、老若男女幅広いユーザーに受け入れられる無難で万人受けする方向性となっています。

個性よりもファミリーユースでの使い勝手や価格重視の層に訴求しており、ハイブリッド仕様の燃費や経済性も強みです。一方レイバックはより伸びやかなワゴン的プロポーションと上質感に重きを置いており、価格帯も上です。デザイン面ではレイバックの方が洗練され落ち着いた印象で、都会志向の大人のユーザーに響くテイストと言えるでしょう。カローラクロスが「実用的で没個性的」とすれば、レイバックは「実用性も備えつつ大人の個性を主張するクロスオーバー」と位置づけられます。

マツダ・CX-5

全長4545mm×全幅1840mm×全高1690mm前後のミドルクラスSUVで、初代登場以来そのエレガントなデザインと走りで人気を博すモデルです。CX-5のエクステリアはマツダ独自の「魂動(こどう)」デザインによる躍動感あるフォルムと豊かな曲面処理が特徴で、高級感のある精悍なデザインとの評価が多いです。

特に30~50代の男性から「力強くかっこいい」という声が多く、SUVらしい力強さとマツダらしい洗練を両立したデザインです。レイバックと比べると車高が高く伝統的なSUVシルエットですが、その分見下ろし視点の運転感覚や悪路対応力に優れます。一方レイバックは全高を抑えワゴン的でスポーティなシルエットを持つため、高速安定性や乗用車ライクなハンドリングに強みがあります。

デザインテイストで見ると、CX-5が曲面美と迫力で勝負するのに対し、レイバックは直線基調と抑制の効いた上質さで勝負しており、派手さは控えめだが品格を感じる都会派SUVという評価です。インテリア質感や装備の充実度も双方甲乙つけ難いですが、安全装備に関してはレイバックのアイサイトXが国産トップレベルとされるなど、最新技術面ではレイバックがリードしています。

ホンダ・ヴェゼル(ZR-V含む)

ホンダの小型~中型クロスオーバーで、ヴェゼル(全長4330mm)や上位のZR-V(4560mm)あたりもレイバックの購入検討層と重なる車種です。ヴェゼルはクーペライクなシャープさと端正さを備え、若々しく洗練されたデザインで支持されています。

派手すぎずシンプルすぎない絶妙なバランスとの声もあり、20代〜ファミリー層まで幅広く受け入れられるスタイルです。対してレイバックはヴェゼルほどコンパクトではなく、どちらかと言えばもう一回り大きいZR-Vに近いサイズですが、ZR-Vよりも全高が低く独特のワゴンシルエットを持つ点で異なります。

ホンダ勢はハイブリッドの燃費性能が強みですが、レイバックは1.8Lターボ+AWDによる安定走行や高速でのゆとりが魅力です。デザイン面では、ヴェゼルが若年層含めた幅広い好みに合うシャープでモダンな路線、レイバックはより大人びた上品さを湛えた路線と言えるでしょう。

まとめ:豊かさと洗練を纏った新世代クロスオーバー

スバル・レヴォーグ レイバックのエクステリアは、「凛とした芯の強さ」を保ちつつ「包み込むような温かみ」で覆った、従来にないアプローチのSUVデザインでした。都市型クロスオーバーらしく洗練され落ち着いた世界観を纏いながら、随所に専門的な工夫(空力デザイン、最新照明技術、塗装技術など)が施されています。

発売から時間が経った2025年現在でもそのデザインは色褪せることなく、特別仕様車の投入などで魅力が深化しています。レイバックは日常からレジャーまで豊かな日常を演出するパートナーとして、都会に調和する上質なスタイルとスバルならではの安心・愉しさを提供してくれるでしょう。

商品詳細