4WDと4輪操舵を使った安定感溢れる走りを実現 トヨタ クラウン(クロスオーバー)のパワートレインと走行性能【プロ徹底解説】

クラウン

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2022年秋から販売開始となった最新のクラウン(クロスオーバー)。どのようなパワートレインが搭載されているのか。そして、それぞれの特徴はどのように異なるのか。また、パワーや燃費性能が、どうなっているのかを解説します。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
2.5リッターと2.4リッターのエンジンを使う2種類のハイブリッド
主流となる2.5リッターのハイブリッドシステム
RSグレードに搭載されるパワフルな2.4リッターのハイブリッド
走りを支えるプラットフォームとシャシー
4輪操舵機能による走行性能の向上
2種類の4WDシステム

2.5リッターと2.4リッターのエンジンを使う2種類のハイブリッド

新型クラウン(クロスオーバー)に搭載されているパワートレインは2種類。2.5リッターのエンジンとモーターを組み合わせた、2.5リッターハイブリッドシステム。そして、2.4里リッターのターボ・エンジンとモーターを組み合わせる2.4リッターターボデュアルブーストハイブリッドシステムです。2.4リッターターボデュアルブーストハイブリッドシステムは、トヨタとして初めて採用されたものとなります。
駆動方式としては、すべてが前輪をエンジンとモーターのハイブリッドシステムが駆動し、後輪をモーター駆動とする4WDとなっています。

グレード名としては、2.5リッター版が「X」と「G」、2.4リッターターボ版が「RS」となります。

主流となる2.5リッターのハイブリッドシステム

2.5リッターハイブリッドシステムには、2.5リッターの直列4気筒の自然吸気エンジンが使われています。高圧縮比、ロングストロークが特徴で、吸気バルブの開閉タイミングを最適化するVVT-iE機構や、直噴とポート噴射を使い分けるD-4Sインジェクターを採用します。レギュラーガソリン仕様となります。
駆動用の二次電池には、コンパクトかつ高出力なバイポーラ型ニッケル水素電池を採用。低速域でのレスポンスを高め、中速~高速域でのダイレクトな加速感を実現しています。

エンジンとモーター駆動をあわせたシステムの最高出力は172kW(234PS)。燃費性能は22.4km/l(WLTCモード)。パワフルさと、低燃費を両立しています。

RSグレードに搭載されるパワフルな2.4リッターのハイブリッド

「RS」グレードに搭載されたのが新開発の2.4リッターターボデュアルブーストハイブリッドシステムです。特徴は、エンジンとモーター、そしてDirect Shift-6ATという6速ATの3つが、2つのクラッチにて直列に繋がっていることです。遊星ギヤを使った従来のトヨタハイブリッドシステム(THSⅡ)とは、まったく異なった機構となります。エンジンとモーター、6速ATを直列につなげることで、動力をよりダイレクトにタイヤに伝えることができるのが特徴です。
2.4リッターの直列4気筒ターボ・エンジンは、センター直噴システムと、高効率ツインスクロールターボを組み合わせることで、高いトルクと力強い伸びのある加速を実現しています。燃料はプレミアムガソリンを使います。また、高出力なバイポーラ型ニッケル水素電池もレスポンスの良い加速に貢献します。

システム最高出力は257kW(349PS)。燃費性能は15.7km/l(WLTCモード)。パワフルかつリニアで伸びの良い気持ち良い加速が魅力となります。

走りを支えるプラットフォームとシャシー

新型クラウン(クロスオーバー)は、改良されたTNGAプラットフォームが使われています。ボディには、「レーザースクリューウエルディング(LSW)」や構造用接着剤などの技術が使われ、より強固なものとなりました。

また、新開発された高剛性マルチリンク式リヤサスペンションを採用。フル防振サブフレームは、ボディにマウントするポイントを前後に大きくとることで、剛性を確保しながら上質な乗り心地に貢献します。

「RS」グレードには、サスペンションにNAVI-AI-AVSが採用されています。これは状況に応じてダンパーの減衰力を変化させるサスペンションシステム「AVS」と、カーナビゲーションを融合させるというもの。ナビゲーションから車両前方のコーナーの情報を得て、あらかじめダンパーの減衰力を最適に変化させて準備。コーナーリングの安定感を高めるというものです。

4輪操舵機能による走行性能の向上

新開発された高剛性マルチリンク式リヤサスペンションにはDRS(ダイナミック・リヤ・ステアリング)という機能が備えられています。これは車速に合わせて、後輪の向きを変化させることのできる機能です。いわゆる4輪操舵が新型クラウン(クロスオーバー)には採用されています。

低速域では、より小回りが利くようになり、中速域ではハンドリングの軽快さ、高速走行時はどっしりとした安定感を生み出します。最小回転半径は5.4mを実現しています。

2種類の4WDシステム

新型クラウン(クロスオーバー)は、全グレードで後輪にモーター(eAxle)を搭載することで、すべてが4WDとなります。ただし、その内容は、2つあります。

2.5リッターハイブリッドシステムに搭載されるのがE-Four(電気式4WDシステム)です。走行状況にあわせて、前輪と後輪のトルク配分を100:0~80:20に調整します。また、コーナーリング中は後輪の駆動力を高めることで、燃費と車両の安定性を高めています。

2.4リッターターボデュアルブーストハイブリッドシステムには、E-Four Advanced(電気式4WDシステム)が搭載されています。こちらは100:0~20:80という、より後輪への駆動配分が大きくなっているのが特徴です。優れたトラクション性能と伸びやかな加速感が得られるようになっています。
新型クラウン(クロスオーバー)には、2種類のハイブリッドシステムが搭載されています。その特徴は、言ってみれば走りと燃費性能をバランスさせた2.5リッター版と、パワフルで気持ち良い走りを提供する2.4リッターターボ版という内容でした。はっきりとキャラクターが異なるため、ユーザーとしては非常に選びやすい内容と言えるでしょう。
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