トルクコンバータ式のメリット・デメリットは?今後、トルコン式ATはどうなる?

トルクコンバータ

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昨今多段DCTなども台頭してきて非トルクコンバータのオートマチックトランスミッションが増えてきました。それらはダイレクトなシフトフィーリングをもち、MTライクでスポーティな走りを見せてくれる優れものですが、滑らかな走り、静かでスムーズな走りという面ではトルクコンバータも少なからず良さがありそうです。今改めてトルクコンバータの効果に触れてみます。
Chapter
そもそもトルクコンバータってどんなもの?
トルクコンバータ式のメリット、デメリット
トルコン式オートマチック、最近の傾向
今後のAT事情、どのようになっていく?

そもそもトルクコンバータってどんなもの?

トルクコンバータとは自動車用オートマチックトランスミッション用「フルードカップリング(流体継手」の総称で、そのフルードカップリングのなかにトルクを増幅させる仕組みが入って初めてトルクコンバータと呼ばれます。

湯たんぽのような容器の中で羽根車が複数存在し、エンジン側の羽根車の回転をATFの粘性を利用してトランスミッション側の羽根車に動力として伝達する、これはざっくりとした作動形態の説明になります。

もちろん、ロックアップといって、直結クラッチも備えていますから、状況によって、ATFの粘性だけではなく機械的にクラッチ直結状態を作り出すこともできて、じつは他のクラッチ付きATと同様の走行状態を作り出すこともできます。

トルクコンバータ式のメリット、デメリット

トルクコンバータのメリットはなんといってもイージードライブではないでしょうか。滑らかなトルク伝達とクリープ現象の発生で他のトランスミッションではギクシャクしがちなシーンでもスムーズに走行できるというのが大きな魅力。

また、シフト時のショックも少なくすることができるのも、うまくトルクコンバータが段差を吸収してくれるためでもあり、この形式のトランスミッションのメリットとして挙げられます。たとえば今のような6段7段という多段ATになる前、3段4段が当たり前の頃は、ギア同士のステップ(高低差)が広く、シフトショックが出やすかったものです。

それは同じ高さを段数の少ない階段で登る大変さを想像してみるとわかりやすいです。その一段ごとの落差とショックをトルクコンバータは吸収しやすかったわけですね。またそうした際の制御技術も蓄積されていて、対処も容易でした。

逆に、多段ATにおいてはスムーズな発進にトルクコンバータは寄与しつつも、変速後は直ちにロックアップ状態を作り出し、ダイレクトに走る、という使い方になっています。階段の段数が多いからギア同士のステップも狭くトルクコンバータの介入が少なくて済むというわけですね。

デメリットとしては、流体継手ゆえのスリップとそれに伴うロス、また重量増なども挙げられます。ただ、どのようなクラッチにもスリップはあり、また乾式クラッチであってもデュアルクラッチとその作動システムを抱え込むと考えれば重量増も目くじらを立てるほどではないかもしれません。

トルコン式オートマチック、最近の傾向

たとえば現行型クラウンなどでは8段オートマチック、中には9段まであるものも存在する昨今の多段ATですが、そんな多段ATの最近の傾向とはどんなものなのでしょうか。

クラウン・アスリート2.0ターボでは、8つもギアがあるためきわめて忙しくシフト動作を行ない、しかもそれらすべてがきわめて滑らかかつスムーズ、しかもすばやく完了するという完成度の高さです。もちろん発進時や低速時、渋滞時のマナーのよさも以前と変わりなく、実に扱いやすい仕上がりになっています。

同時に、先にも記しましたようにステップが狭いためトルコンをいたずらにスリップ(半クラッチ状態に)させずに済むというメリットと、短時間でスリップを抑えロックアップを早期に作動させることでダイレクトでMTライクな走りも実現させています。またそのことで、もちろん燃費にも大きく寄与しているわけですね。

こうしたソツの無い洗練された仕上がりを見ているとトルクコンバータ式オートマチックトランスミッションもまだまだ生き残る余地があると感じさせくれる、というより、独自の進化を脈々と続けている、そんな印象も強くなってくるように思えます。

今後のAT事情、どのようになっていく?

今回のトルクコンバータ式オートマチックトランスミッション、またデュアルクラッチ式トランスミッション、CVT、そしてもちろんクルマ好きには外せないマニュアルトランスミッションと、様々あります。主流はトルクコンバータ式オートマチックから、この日本ではCVTに移る傾向にありますよね。

CVTは燃費性能を確保するためにメリットの多い形式といわれていますが、その走行フィーリングはどこか馴染めないとおっしゃる方も少なくないようです。またプーリーの制御に必要とする高い油圧を生むためのロスも、じつは少なくないといわれていて、そのためにエンジンの馬力を食い、ひいては燃費にも影響しているといわれます。必ずしも死角なしというわけではなさそうです。

もちろんトルクコンバータ式においてもロスはあるのですが、しかし、それはオートマチックトランスミッションである以上、どこかでロスやスリップは発生していて、少なからずロスはあるものと考えていただいていいと思うのです。

また、デュアルクラッチ式ではマニュアルライクなダイレクト感が大きな魅力ですが、車種によってはまだ制御技術が進んでいない面もあってギクシャク感が残るものもまだあるようです。加えてまだ新しい技術のため、耐久性や信頼性、どのような故障例が出るのかといったデータ蓄積もこれからでしょう。

そう考えたときに、運転のイージーさや実際にギアが噛んで駆動する確かさ、トルクコンバータの制御技術の蓄積の多さ、ノウハウの豊かさといった面でトルクコンバータ式オートマチックトランスミッションも捨てがたいところではないでしょうか。となればやはり今後もトルクコンバータ式は生き残り、車種ごとの性格やTPOに合わせて使い分けられていく、そんな予想ができます。

今回はトルクコンバータ式オートマチックトランスミッションを見直してみよう、というテーマで書きましたが、皆さんはどのタイプのトランスミッションに魅力をお感じになりますか?
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