トヨタ「アルファード」のパワートレインは?乗り心地と快適性を高めるための工夫が!【プロ徹底解説】

トヨタ アルファード

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トヨタのミニバン上級モデルとなる「アルファード」。兄弟車である「ヴェルファイア」と共に、2023年6月にフルモデルチェンジし、第4世代が発売されています。その心臓部となるパワートレインと走りのこだわりを解説します。

 文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
パワートレインの内訳
エンジンごとのスペック比較
快適な乗り心地を目指しての改良の数々
“心地よい静けさ”の追求

パワートレインの内訳

新しい「アルファード」のパワートレインは、2種類が用意されています。ひとつが2.5リッターのガソリン・エンジンにCVTを組み合わせたもの。もうひとつが2.5リッターのハイブリッド。最上位グレードの「Executive Lounge」は、ハイブリッドのみでエンジン車はありません。すべてのグレードにFFと4WDが用意されていますが、エンジン車は普通のプロペラシャフトを備えた4WDなのに対して、ハイブリッド車は後輪をモーター駆動する「E-Four」と呼ばれる方式となっています。
また、兄弟車である「ヴェルファイア」は、パワートレインのうちエンジン車が2.5リッターではなく、2.4リッターのターボとなります。通常グレードはエンジン車とハイブリッドで、最上位グレードはハイブリッドのみ。そして、全グレードにFFと4WDが用意されています。

エンジンごとのスペック比較

「アルファード」のエンジン車に搭載されるのは、型式「2AR-FE」の2493㏄の4気筒のガソリン・エンジン。最高出力が134kW(182PS)/6000rpm、最大トルクが235Nm/4100rpm。燃費性能は、FF車で10.6km/l(WLTCモード)、4WDで10.3㎞/l(WLTCモード)。FFモデルは75リッター、4WDモデルは65リッターの燃料タンクを搭載しています。

ハイブリッド車は、型式「A25A-FXS」の2487㏄エンジンにTHSⅡを組み合わせたもの。システム最高出力は184kW(250PS)。燃費性能はFFモデルで最高17.7km/l(WLTCモード)、4WDモデルで最高16.7km/l(WLTCモード)となります。ハイブリッドの燃料タンクはFFも4WDも60リッターとなります。
パワーと燃費を比較すれば、当然のようにハイブリッドが勝っています。ただし、車両重量は、エンジン車に対してハイブリッドは同グレードで100㎏ほども重くなり、最上位グレードになると、さらに70㎏ほども重量が増しています。つまり、エンジン車と最上位グレードでは170㎏もの重量さが生じています。

ちなみに「ヴェルファイア」のエンジン車は、型式「T24A-FTS」の2393㏄の4気筒のガソリン・ターボ・エンジン。最高出力が205kW(279PS)/6000rpm、最大トルクが430Nm/1700~3600rpm。燃費性能は、FF車で10.3km/l(WLTCモード)、4WDで10.2㎞/l(WLTCモード)。FFモデルは75リッター、4WDモデルは65リッターの燃料タンクを搭載しています。

快適な乗り心地を目指しての改良の数々

新型「アルファード」の車としてのコンセプトは、乗る人すべてに「快適な移動の幸せ」を提供すること。そのため運転手に対するドライバビリティの良さはもちろん、同乗するすべての人のために、快適な乗り心地を実現する必要があります。

そんな快適な乗り心地を実現するために、新型「アルファード」は、ボディの剛性を先代よりも50%も向上しています。新しくGA-Kプラットフォームを採用するだけでなく、ボディ全体への環状骨格構造、床下のロッカーストレート構造、後輪まわりの床下V字ブレースを採用。最上位グレードと、「ヴェルファイア」には、路面からの入力する揺れの周波数にあわせて減衰力を変化させる周波数感応型ショックアブソーバーを採用しています。
また、シートレールとシートクッションフレームの間に防振ゴムを配置することで、ボディから伝わる振動を遮断。シートパッド表皮のすぐ裏に低反発ウレタンパッドを採用して、20Hz以上の微振動を吸収。シートの背中と座面に異なる硬さのパッドを使い分けることで、振動吸収と乗員の頭が揺れることを抑制しています。これらの結果により、乗員が感じる後席の振動を、従来型の3分の1にまで低減しています。

 

“心地よい静けさ”の追求

人は、静かすぎると、逆に不安感を抱いてしまうもの。防音室に入った経験のある人であれば、ある程度、イメージすることができるのではないでしょうか。そのため、新型「アルファード」の開発では、静かさを追求するのではなく、人が心地よく感じる周波数帯はそのままにして、不快に感じる周波数を狙って低減する取り組みが実施されています。特に重点的に狙ったのが「ロードノイズ」と「風切り音」でした。

ロードノイズの対策としては、徹底したボディシールと専用タイヤの採用が実施されています。ボディシールは、車のまわりを煙で覆い、車内に進入する煙を追いかけて、音の侵入経路を探し出し、ひとつずつ丁寧に穴をふさいでいます。専用タイヤは、乗り心地と静粛性を両立するものが新開発されました。
風切り音対策は、ドアミラーとフロントピラーの工夫です。ドアミラーは、ボディ側面のガラス部分と隙間を広げることで、走行時の空気の乱れを抑制。フロントピラーは走行時にピラーに当たる風が剥離せずにピラーに沿って流れるようなピラー形状としています。これらの工夫により、風切り音を低減しています。
新型「アルファード」は、十分なパワーと低燃費を備えたパワートレインと、快適な乗り心地と、優れた静粛性を身に着けているのが特徴です。トヨタ最上級のミニバンに相応しい内容と言えるでしょう。
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