スバル「クロストレック」新旧比較!それぞれの魅力や違いを紹介【プロ徹底解説】

クロストレック

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スバルで最も小さいクロスオーバー/SUVとなるのが「クロストレック」です。2022年暮れに価格が公開されて、日本での販売が開始となっています。新型モデルと先代との違いは、どのようなものなのかを解説します。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
スバル クロストレック新旧比較表
新型「クロストレック」のこれまでの歴史
先代モデルと新型のコンセプトの違い
プラットフォームとサイズはどう違っているのか
スバル共通のダイナミック×ソリッドを採用
2つのパワートレインからパワートレインの違い
マルチファンクションディスプレイが廃止になり大きなディスプレイに
アイサイトの進化
価格の違い

スバル クロストレック新旧比較表


2022年モデル2017年モデル
新車価格266.2〜328.9万円213.8〜295.9万円
中古車価格280.5〜394.8万円43.7〜279.9万円
ボディタイプSUVSUV
全長4.5m4.5m
全幅1.8m1.8m
全高1.6m1.6m
燃費WLTCモード15.8~16.4km/L13.3~15km/L
燃費JC08モード--
ドア数5ドア5ドア
乗車定員5名5名
排気量1,995cc1,599~1,995cc
トランスミットマニュアルモード付CVTマニュアルモード付CVT、CVT
ハンドル
最小回転半径5.4m5.3m〜5.4m
ホイールベース2.7m2.6m〜2.7m

新型「クロストレック」のこれまでの歴史

新型「クロストレック」のルーツは、2010年に登場した「インプレッサ」の派生グレードの「インプレッサXV」にあります。その派生グレードの発展形として、2012年9月に「スバルXV」という独立したモデルが発売されました。これが初代の「スバルXV」です。そして、2017年に「スバルXV」は第二世代へフルモデルチェンジを実施。これが先代モデルとなります。

そして、2022年の第三世代へのフルモデルチェンジにあたり、「スバルXV」は、名称を「クロストレック」に改称します。これは世界市場で「スバルXV」と「クロストレック」の名称が並行して使われていたのを、フルモデルチェンジを機会に統一しようというのが狙いでした。

先代モデルと新型のコンセプトの違い

2017年4月に発売が開始されたのが先代モデルの2代目「スバルXV」です。その商品コンセプトは「Fun Adventure」というものでした。実は、2012年デビューの初代モデルのコンセプトは「Urban Adventure」という街を意識したクロスオーバー/SUVというもの。第2世代に進化にあたり、街に限らず、愉しさのフィールドをもっと広げる車というコンセプトが採用されたのです。

その特徴は「街中で映える、使いやすいデザイン」「行動範囲を広げるツーリング性能」「Fun to Driveを盛り上げる快適空間」「アクティブライフを充実させる実用性」「実感できる実用燃費の良さ」というものでした。「日々の生活をよりアクティブに愉しむ時も、冒険と感動を求めて旅に出る時も、いつもユーザーのソバにいて、さらなる感動を提供する存在」というのが、先代モデルの開発の狙いでした。

一方、新型「クロストレック」のコンセプトは「休日が待ち遠しくなる、アウトドア・アクティビティの相棒」というもの。キーワードは「FUN=愉しさ」です。「実用性・安全性の高さ」「特徴的なスタイリング」「本格的なSUV性能」という部分は、先代のものを踏襲し、さらに磨き上げつつ、その上で「アクティブ」という個性を強化したと、スバルは説明しています。

プラットフォームとサイズはどう違っているのか

先代モデルの特徴のひとつが、スバルグローバルプラットフォームという新しいプラットフォームの採用でした。この採用により、先代モデルは走行性能を確実にワンランクアップすることに成功しました。その寸法は、全長4465×全幅1800×全高1595mm。最小回転半径は5.4mというものでした。

一方、新型「クロストレック」は、同じスバルグローバルプラットフォームを継承しますが、製造方法などを変更しました。製造時に、アッパーとアンダーボディを別々に作って、その後に組み立てていた先代モデルから、新たに骨格を先に作ってからパネルを後に溶接する、フルインナーフレーム構造を採用。それ以外にも細かな改良を加えることで、車体のねじり剛性は先代よりも10%向上しています。ただし、新型モデルの寸法は全長4480×全幅1800×全高1575mmであり、先代モデルとほとんど変わっていません。最小回転半径5.4mも先代のまま。見た目や寸法は変わっていませんが、中身は着実に進化を果たしているのです。

スバル共通のダイナミック×ソリッドを採用

先代モデルは、エクステリアデザインに他のスバル車と共通する「ダイナミック×ソリッド」と呼ぶデザインフィロソフィーを採用しました。ラギッドなSUVらしい“ダイナミック”さと、“ソリッド”な流麗さをミックスさせたもの。スバルは、そのスタイルを「スポーツカジュアル」を略して「スポカジ」と呼びました。

新型「クロストレック」のデザインはどうかと言えば、「頼もしくありながら、身軽で躍動的なスタイリング」というコンセプトです。“頼もしさ”と“身軽で躍動的”というもの。それは先代のダイナミック×ソリッドを継承し、さらに発展させたものととらえることができるでしょう。

2つのパワートレインからパワートレインの違い

先代モデルのパワートレインは、1.6リッターと2リッターの2種類が用意されていました。駆動方式はすべてが4WDです。そのうち、2リッター版は、2018年の改良でハイブリッド化されます。つまり、1.6リッターのエンジン車と、2リッターのハイブリッドというラインナップでした。1.6リッターのエンジン車の最高出力は85kW(115馬力)・最大トルク148Nm。2リッターのハイブリッドの最高出力は107kW(145馬力)・最大トルク188Nmで、モーターの出力は10kW(13.6馬力)・最大トルク65Nmでした。

一方、新型「クロストレック」は、2リッターのハイブリッドのみというラインナップに。スペックは先代のまま。ただし、新型にはFFモデルを用意しているのが違いとなります。

マルチファンクションディスプレイが廃止になり大きなディスプレイに

インテリアの変化で大きいのがセンターディスプレイです。先代モデルでは、8インチのナビゲーションシステムが採用されていました。汎用カーナビゲーションと同じ横長の画面です。また、インパネセンター部の一番上には各種情報を表示するマルチファンクションディスプレイがあったのも特徴です。

新型「クロストレック」では、センターディスプレイは11.6インチのマルチインフォメーションディスプレイとなり、画面も縦型となります。それに伴い、新型ではマルチファンクションディスプレイが廃止となっています。また、新型では、ドライバーモニタリングシステムが採用され、ディスプレイの上端にカメラが設置されるようになりました。

アイサイトの進化

スバル車の予防安全機能を支える技術がアイサイトです。先代モデルでは、当時の最新のアイサイト(ver.3)が搭載されていました。また、リヤバンパーにレーダーを内蔵することで、自車の後側方から近付く他車両を検知する機能が備わったのも当時のトピックです。

最新の「クロストレック」には、先代のアイサイト(ver.3)よりも、さらに新しい新世代のアイサイトが採用されています。特に新型モデルでは、従来のステレオカメラだけでなく、広角単眼カメラを追加。より広く周囲を識別できるようになり、プリクラッシュブレーキを作動できる状況が拡大。より高い安全性を手に入れています。

価格の違い

先代モデルが発売となった2017年4月での価格は、1.6リッターが213万8400円からでした。消費税を抜くと車両本体価格は198万円。なんと200万円を切っていたのです。そして、2.0リッターの上位モデルの最高価格は273万2400円でした。ちなみに、すべてが4WDモデルとなります。

それに対して、新型「クロストレック」の価格は、FFの266万2000円から。4WDの場合は、288万2000円から。そして上位グレードの最高価格は、328万9000円となります。約5年もの歳月が流れたということで、価格帯は若干、上がってしまったようです。
先代の「スバルXV」から、新型「クロストレック」への進化は、主にプラットフォームやシャシーの改良、そしてインフォテイメント系とアイサイトの進化と言えるでしょう。また、パワートレインがハイブリッドだけになったのも大きな変化です。
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