ホンダ フィットのエクステリアデザインは「用の美」を目指した優しいルックス【プロ徹底解説】

フィットRS

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ホンダを支える主力モデルのひとつがコンパクトカーのフィットです。現行モデルは2020年2月に登場し、2022年10月にマイナーチェンジを実施しました。この新しいモデルのエクステリアデザインは、どのようなものなのかを解説します。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
コンセプトは「用の美・スモール」
「親しみ」「安心感」「走り」を感じさせるデザイン
特徴的な優しいフロントフェイスが基本
初代から継承されるモノフォルム
5つのデザイン・バリエーションを用意

コンセプトは「用の美・スモール」

フィットは2001年に初代が誕生しました。初代モデルは広々とした室内空間と使いやすさ、そして燃費の良さで大ヒットモデルとなります。そうした基本的な魅力は、2020年に登場した第4世代のフィットにも受け継がれています。
そうしたフィットの歴史を継承しつつ、新しい第4世代のフィットのコンセプトとされたのが「用の美・スモール」というものです。「用の美」とは大正時代に「生活に根ざした民衆的工芸には、用に則した健全な美が宿っている」という考えから生まれたもの。

ホンダは、これを「用(機能)に優れ心地よさを極めた日常の道具には、人の心を満たす美しさが宿る」ととらえました。使える機能=用を進化させ、そこに「心地よい体験」という価値を加え、そして「用の美」に通じる無駄のない美しさで包み込んだスモールカー。それが新型フィットの「用の美・スモール」というコンセプトとなります。

「親しみ」「安心感」「走り」を感じさせるデザイン

エクステリアデザインの具体的なコンセプトは「日常に最も心地よいパートナー」というもの。その実現のために「親しみ」「安心感」「走り」をキーワードとし、誰からも愛されるようなデザインを目指しています。
「親しみ」は、シンプルで優しいフロントフェイスや、車全体の段差のない表面によって表現されています。「安心感」は、初代から続くモノフォルムの強い塊感や乗員を包み込むような造形で表されます。「走り」は、前傾したフロントピラーや張り出したフェンダーによってアピールされます。

特徴的な優しいフロントフェイスが基本

第4世代のフィットのデザインの最大の特徴は、そのフロントフェイスにあります。その狙いは「親しみ」です。その実現のために、グリルを小さくしたグリルレスフロントフェイスが採用されました。ボンネットの先端が、車の正面にまで垂れ下がったようなデザインです。一般的に、グリルが大きいほど、威圧的な雰囲気になるため、グリルを小さくした新型フィットは、その分、威圧的ではない=優しく穏やかなイメージとなります。
その新型フィットの優しさや穏やかさを強調するのがヘッドライトです。フルLEDヘッドライトでは、光源以外の内部が黒く塗られており、デイタイムランニングライトとターンシグナルが、人の目の縁取ったように配置されています。その結果、ヘッドライトが、まるで瞳のようにみえるのです。

つぶらな瞳に、グリルレスフロントフェイスによって、新型フィットのフロントビューは、親しみある小動物の顔のようになっています。

ただし、2022年10月のマイナーチェンジでは、グリルが上側にやや大きくなりました。それにあわせて、上部にメッキ加飾の水平ラインが加えられました。その結果、グリルレスフロントフェイスの印象が薄まっています。

また、「RS」と「CROSSTAR」の2グレードは、グリルが備わっていて、他と違う雰囲気となっています。

初代から継承されるモノフォルム

フィットの初代から続く特徴は、モノフォルムのサイドビューです。ボンネットが短く、ルーフが車体の後ろ端まで伸びていて、一つの塊のようになっているのです。新型モデルでも、そのフォルムは踏襲されています。また、新型では、ボディ横にあるキャラクターラインの数が減らされており、より塊感が強くなっています。
後ろからの姿は安定感を感じさせるものとなっています。低い位置にあるリアコンビネーションランプや厚みあるリアバンパーも安定感アップに貢献しています。

5つのデザイン・バリエーションを用意

4代目のフィットは、グレードによってエクステリアデザインが異なることも特徴です。現在、販売されているのは5タイプ。基本となるのはシンプルな「BASIC」。快適性を高めた「HOME」。洗練と上質な「LUXE」。アクティブな「CROSSTAR」。走りにこだわる「RS」。
このうち「BASIC」「HOME」「LUXE」はデザインの違いは少なく、「CROSSTAR」と「RS」は専用アイテムを数多く採用されています。また、「RS」は、2022年10月のマイナーチェンジで新たに追加されたグレードとなります。
第4世代となるフィット。そのデザインの特徴は、初代から続くフィットらしさを踏襲しつつも、優しい顔つきを採用したところにあります。また、ユーザーの目的にあわせて5種類のグレードを用意して、デザインも、それぞれに合わせたものとなっているのも特徴です。より幅広いユーザーにマッチするような配慮がされているのです。
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