買い求めやすい旧型か?進化を遂げた新型か?スバル BRZの新旧モデルをジャーナリストが比較する

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トヨタとの共同開発により、2012年3月にデビューしたスバル BRZ

絶滅しかかっていた国産スポーツカー・カテゴリーに登場した、2メーカーによるコラボモデルは大きな話題となった。

度重なる改良を受け熟成を続けてきたBRZだが、2021年7月、9年ぶりにフルモデルチェンジされた2代目が登場。

初代との違いは? その進化は? 徹底的に比較してみよう。

河西啓介|かわにし けいすけ

「NAVI CARS」「MOTO NAVI」「BICYCLE NAVI」などの編集長をつとめ、その後フリーランスの編集者、モータージャーナリストとして活動。自動車のハードウェア面だけでなく、衣・食・住を含めたライフスタイル商品として捉えるという視点を重視する。同時にアーティスト、タレントとしての活動も行っており、テレビ、ラジオ、イベントなどへの出演も多い。

河西啓介
Chapter
スバル BRZってどんなクルマ?新旧比較しながら徹底解説
「国産スポーツカーを絶やさない」の思いから生まれたBRZ
ピュア・スポーツカーらしい初代、大人びた落ち着きのある二代目
2リッターから2.4リッターに拡大されたボクサーエンジン
あえて「変えず」に進化させたインテリア
進化は大きい、しかし今も魅力的な初代BRZ

スバル BRZってどんなクルマ?新旧比較しながら徹底解説

「国産スポーツカーを絶やさない」の思いから生まれたBRZ

スバルBRZとトヨタ86は商品企画とデザインをトヨタ、設計開発と生産をスバルが担当して共同開発された兄弟車。2005年にスバル(当時は富士重工業)とトヨタが資本提携していたからこそ実現したモデルだ。

共同開発という手法をとった主な理由はコストの問題だろう。

「スポーツカーは売れない」という時代になり、なかでもエントリー層に向けたスポーツカーは利益を確保するのが難しいため、どのメーカーも手を出せずにいた。

しかし「国産スポーツカーの灯を絶やさない」という両メーカーの思いが合致したことから、共同開発によりコストを抑えつつ、それぞれのブランドで販売することにより販売台数を確保するというやり方でブランニューのFRスポーツカーが実現したのだ。
BRZは軽量コンパクトな車体に適度なパワーのエンジンを載せ、後輪駆動で走らせるという、伝統的なライトウェイト・スポーツカーの文法に則っている。

ちなみにBRZという車名はボクサーエンジンの「B」、リアホイール・ドライブの「R」、“究極”を意味する「Z」のアルファベットを組み合わせたものだ。
86/BRZはクルマ好きから大きな注目を集め、発売直後は想定以上の販売台数を記録した。

しかし2013年をピークに年々販売台数は減少、一時は「一代限りで終わり」という噂もあったが、次期モデルの開発は着々と行われており、2021年7月、9年ぶりのフルモデルチェンジを受け2代目が発売された。

ピュア・スポーツカーらしい初代、大人びた落ち着きのある二代目

初代BRZのボディサイズは全長4,240mm✕全幅1,775mm✕全高1,320mm。

真横から見るとロングノーズ、ショートデッキのいかにもスポーツカーらしいプロポーションだということが分かる。
対する二代目は全長4,270mm✕全幅1,775mm✕全高1,310mm。

全長が30mm伸び、全幅は同じ、高さは10mm低くなっている。印象としては「ほぼ同サイズ」と言っていいだろう。とくに全幅が変わっていないのはドライバーとしては嬉しいところだ。「コンパクトなFRスポーツ」というコンセプトは二代目にもしっかり受け継がれている。
ただしボディサイズは近いとはいえ、デザイン的にはやはり9年ぶんの進化を感じさせる。

スッキリとした印象の初代に対し、二代目はボディラインに抑揚がありグラマラス。細部の質感もアップしている。

ピュアなスポーツカーを目指した初代に対して、二代目は大人びて落ち着きを感じさせる

GT(グランツーリスモ)的なイメージも加わった印象だ。

2リッターから2.4リッターに拡大されたボクサーエンジン

初代と二代目の最大の違いと言えるのがエンジンだ。

初代はスバルとトヨタの技術を併せ新開発されたFA型2リッター水平対向4気筒ユニットを搭載。最高出力200ps、最大トルク205Nmを発揮した。

その後、吸排気効率の向上などによりMTモデルの最高出力は7ps、最大トルクは7Nm高められている。

十分なパワーとボクサーエンジンならではの低重心を活かした走りには定評があったが、いっぽうで中低速域でのトルクの薄さを指摘する声もあったようだ。
二代目に搭載されたのは2.4リッター水平対向4気筒ユニット。

排気量アップにより最高出力は235ps、最大トルクは250Nmと高められた。

注目すべきは最大トルクの発生回転数で初代の6,400〜6,800rpmから二代目は3,700rpmとかなり低くなっている

ここから伺えるのは、走行性能のアップとともに乗りやすさ、扱いやすさが増しているということだろう。

これはそのまま初代と二代目のキャラクターの違いであるとも言える。
組み合わされるトランスミッションは、初代&二代目ともに6速MTと6速AT。

ATモデルでは自動スロットルブリッピングにより素早いシフトダウンを可能とするSPORTモードが、初代から二代目へと受け継がれている。

加えてATモデルには初代では設定されなかった運転支援システム「アイサイト」が搭載されたのもトピックだ。

あえて「変えず」に進化させたインテリア

インテリアは初代および二代目とも、シンプルでスポーツカー然とした雰囲気で共通している。

低めのドライビングポジションに“囲まれ感”のあるコクピット、しかしダッシュボードは水平基調かつフラットで視界は良好だ。新型はスイッチのレイアウトなどが整理され、よりスッキリとした印象だ。

デビュー年の違いを感じさせるのはメーターまわり。
初代のアナログ3連メーターから、2代目では多機能なデジタルメーターとなっている。

デジタル化により表示できる情報量が増え、ディスプレイのカスタマイズも可能になったが、“スポーツカーらしさ”という点では、初代のアナログメーターを好むユーザーもいるだろう。

瞬時に回転数、速度を把握するということにおいても、アナログメーターのメリットはある。

進化は大きい、しかし今も魅力的な初代BRZ

初代と2代目BRZを比較すると、やはり9年越しのフルモデルチェンジだけあって進化の幅は大きい。

ボディサイズおよび内外装のテイストはキープコンセプトで初代の面影を残しているが、ボディ剛性や走行性能の向上は著しく、スポーツカーの本分である“走り”で選ぶなら、間違いなく二代目になるだろう。
いっぽう初代は9年というロングライフの中で熟成が重ねられ、さまざまなグレードや限定モデルなどが発売されている。

2017年に発売された「STI(スバル・テクニカ・インターナショナル)」と共同開発された「STI Sport」などはファン垂涎のモデルとなっており、二代目ではSTIモデルが発表されていないことからプレミア価格が付けられている。
二代目はまだ発売から1年あまりと時間が経っていないため中古車は少なく相場も高い。

人気のスポーツカーであるBRZをリーズナブルに手に入れようとするならば、長く販売され数も豊富な初代の中古を探すのもお勧めだ。
今回取材させていただいた新旧BRZの解説動画が、Youtube「コレデチャンネルで公開されています。

両車の違いは一体どこにあるのか、河西啓介、藤木由貴が迫ります。

さらに特別ゲストとして、ネクステージ 一宮スバル車専門店のスタッフさんもご出演。
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