カローラクロス vs RAV4 vs ヴェゼル 徹底比較!コンパクトSUVの真打ちはどれ?

CARPRIME カローラロス RAV4

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トヨタ・カローラ50年の歴史の中で、初のSUVとして登場した「カローラクロス」。

2021年9月に発売されるや大いに注目を集め、好調な販売を続けるカローラクロスの魅力を、同じトヨタで1クラス上のRAV4、同クラスのホンダ ヴェゼルという人気SUVと比べながら深堀りしてみる。

河西啓介|かわにし けいすけ

「NAVI CARS」「MOTO NAVI」「BICYCLE NAVI」などの編集長をつとめ、その後フリーランスの編集者、モータージャーナリストとして活動。自動車のハードウェア面だけでなく、衣・食・住を含めたライフスタイル商品として捉えるという視点を重視する。同時にアーティスト、タレントとしての活動も行っており、テレビ、ラジオ、イベントなどへの出演も多い。

河西啓介
Chapter
過密なSUV市場に投入されたカローラ クロスの強みとは?
室内が広いのはRAV4? カローラクロス?
バランスに優れるカローラ クロス、タフでワイルドなRAV4
洒落た顔とプロポーションが特徴の新型ヴェゼル
広さと使い勝手、優れているのはどっち?
王道SUV対都会派SUV、どっちを選んでも……

過密なSUV市場に投入されたカローラ クロスの強みとは?

「カローラ」といえば言うまでもなく、トヨタにとって極めて重要なモデルだ。

現行のラインナップはセダンの「カローラ」と「カローラ アクシオ」、ワゴンの「カローラ ツーリング」と「カローラ フィールダー」、ハッチバックの「カローラ スポーツ」、そしてクロスオーバーSUVの「カローラ クロス」と、なんと6車種を数える。
いっぽうトヨタのSUVラインナップという点でも、非常に多くのモデルが存在する。

小さいほうから挙げると、1リッタークラスの「ライズ」、コンパクトハッチ「ヤリス」のSUV版である「ヤリスクロス」、個性的なスタイリングが特徴の「C-HR」、2017年のカー・オブ・ザ・イヤーに輝いた「RAV4」、ラグジュアリーSUVの「ハリアー」。

そこに「カローラクロス」が加わることで、トヨタSUVの布陣はまさに水も漏らさぬラインナップとなっている。
だがカローラ クロスの凄さは、この隙間なく埋まった過密なマーケットに投入されたにも関わらず、ほかのモデルの凌ぐほどの人気を博していること

それは“カローラ”という老舗ブランドのなせる技なのか? その理由を考えてみよう。

室内が広いのはRAV4? カローラクロス?

カローラ クロスは他の最新カローラ・シリーズと同様トヨタの新世代プラットフォーム「TNGA(Toyota New Global Architecture)」を採用している。

しかし単にカローラ ツーリングの車高を上げてクロスオーバー化した訳ではなく、フロントマスクやリアビュー、ウィンドウグラフィックなど、よりSUVらしくデザインされている

ボディサイズも全長4490mm✕全幅1825mm✕全高1620mmと、カローラ ツーリングより80mm幅広く、160mm背が高い

また着座位置も55mm高くなっているため、乗り降りしやすく運転席からの視界も良好だ。
いっぽうのRAV4は、プラットフォームにTENGAを採用するものの、カローラ クロスより大きい「GA-K」をベースとし、ボディサイズも全長4610mm✕全幅1865mm✕全高1690mmとひと回り大きい。

デザインモチーフであるオクタゴン(8角形)を前後に用いたアグレッシブな造形や大径タイヤによりリフトアップ感を強調し、カローラ クロスと比べるとよりオフロードテイストを強調したものとなっている。
注目すべきは室内の広さで、長さと幅はボディサイズの大きなRAV4のほうが広いが、室内高は

カローラ クロス(上画像):1265mm
RAV4(下画像):1230mm

と、カローラ クロスのほうが35mm高い

じっさい後席スペースは、足もとこそRAV4のほうが広いが、カローラクロスも大人2人がゆったり乗れるスペースを確保している。

バランスに優れるカローラ クロス、タフでワイルドなRAV4

SUVにとって重要な荷室の広さは、後席を立てたままでカローラクロスが487リットル(上画像)RAV4が580リットル(下画像)と、どちらもクラストップレベルの容量を持つ。

RAV4はゴルフバッグを横にして4つ積み込むことも可能な広さ。

いっぽうカローラ クロスは荷室の開口部を720mmと低くしているため、荷物の積み下ろしがしやすいというメリットがある。
後席を倒した時の荷室の形状には両車の違いが表れる。

RAV4は床がほぼフラットになり、車中泊などもしやすそうな形状。

対するカローラ クロスは大きな段差ができてしまう。フラットにするためにはオプションのラゲッジボードが必要だ。
エンジンのラインナップは、

カローラ クロス:1.8リッターのガソリンとハイブリッド
RAV4:2リッターのガソリンと2.5リッターのハイブリッド

価格帯は下記の通りだ。

カローラ クロス:199万9000円〜319万9000円
RAV4:274万3000円〜402万9000円

価格帯としては重なるところもあるものの、やはりそれなりの価格差がある。

だが今回両車を比較してみたところ、ユーティリティや使い勝手に関しては、それほど大きな差はなかった。であればむしろコンパクトかつリーズナブルなカローラ クロスのほうがいいと感じる人もいるだろう。
いっぽうRAV4はカローラ クロスとは明確に異なるキャラクターをもっている

ワイルドなルックスもさることながら、悪路走破性などを重視する人にとってはRAV4のタフな走りは大きな魅力だ。

バランスがよくコストパフォーマンスに優れたカローラ クロスに対して、個性的なデザイン、キャラクターを持つのがRAV4といえるだろう。

洒落た顔とプロポーションが特徴の新型ヴェゼル

カローラクロスと比較されるライバルといえば「ホンダ ヴェゼル」だろう。

2代目となるヴェゼルはカローラクロスより少し早い2021年4月にデビュー。

フィットと同じプラットフォームをベースとし、ボディサイズは全長4330mm✕全幅1790mm✕全高1590mmとカローラクロスよりひと回りコンパクトだ。

正確に言えばヴェゼルはBセグメント、カローラクロスはCセグメントということになるが、価格はほぼ同等だから、この2台を比べるユーザーは少なくないはずだ。
しかしながら2台のキャラクターはかなり異なる。

アーバン・アクティブ」をデザインコンセプトに掲げるカローラクロスは、全体に奇をてらうことのないオーソドックスな造形で、どこかファミリーカー然とした雰囲気がある。
いっぽうヴェゼルはホンダが「クーペプロポーション」と呼ぶように、かなりスポーティでパーソナルな印象だ。

とくに特徴的なのがフロントマスク。近年、グリルを大型化してインパクトを強めるというデザイン手法が主流だが、ヴェゼルのグリルにはフレームがなく、ボディと同色に塗られるため、すっきりとスマートな印象を受ける。

広さと使い勝手、優れているのはどっち?

ヴェゼルの大きなセリングポイントは、クラスを超えた室内の広さにある。

これはホンダ独自の「センタータンクレイアウト」の恩恵だ。文字通り燃料タンクを車体の中央、前席の下に収めることで、後席および荷室スペースを広く取ることができる。

その結果ヴェゼルの室内長は2010mmと、ボディの大きいカローラクロスを200mmあまり上回る数値となっている。
確かに後席に座ると、床がフラットで足元が広々としたヴェゼルの居住性は高い。

しかしクーペフォルムのため頭上空間はタイトで、開放感では室内高のあるカローラクロスに軍配があがる。
さらに荷室の広さを比べると、ボディサイズの大きなカローラクロスは487リッター(上画像)、ヴェゼルは390リッター(下画像)と、やはり少々差がつく。

画像のように、同じ量の荷物を積み込んでみてもカローラクロスの方が余裕があり、その差は一目瞭然だ。

とはいえヴェゼルもBセグメントにおいてはトップクラスの広さだ。
もうひとつ、ヴェゼルの美点はシートアレンジの工夫と使い勝手にある。ワンタッチのスイッチ操作で後席を倒すと、ほぼフラットな空間が現れる。

またリアシートは跳ね上げ(チップアップ機構と呼ぶ)が可能で、ここに植木などの背の高い荷物を積むことができる。これは先述したセンタータンクレイアウトの恩恵だ。

対してカローラクロスはRAV4との比較でも述べたように、後席を倒したときに段差が生まれてしまう。

王道SUV対都会派SUV、どっちを選んでも……

カローラクロスとヴェゼルはクラスが若干異なるが、価格はほぼ同等、ユーティリティや使い勝手も一長一短あり、決定的と言うほどの差はない。まさにライバルと言えるだろう。

だがそのデザインにも表れているように、キャラクターはかなり異なる。

カローラクロスは今どきクロスオーバーSUVの王道を行くようなデザイン、広さ、装備、走りとも不満はなくトータルのコスパが高い。

いっぽうヴェゼルはちょっとラグジュアリーな都会派SUVというイメージだ。

いずれも人気モデルでリセールバリューも高い。自分の好みやライフスタイルによってどちらを選んでも間違いはないだろう。
今回ご紹介する車両はすべて「ネクステージ山形北店」で取材、撮影させていただいたもの。

車両の詳細はYouTubeチャンネル「CARPRIME」「Koredeチャンネル」でも解説しているので、動画もぜひご覧いただきたい。
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