スバルを代表するスポーツカー 初代BRZのリアシートの使い勝手は如何に?(DBA-ZC6型/4BA-ZC6型)

スバル 初代BRZ

スバル BRZ(DBA-ZC6/4BA-ZC6型)は、スバルが誇るFR(後輪駆動)のスポーツカーです。

走ることに特化したクルマゆえに、ほかの機能はあまり注目されることがありませんが、大切なクルマを選ぶにあたって実用面も知りたい方も多いのではないでしょうか。

特に、家族や友人などをクルマに乗せることが多い方にとっては、リアシート(後席)の使い勝手は気になるポイントです。

そこで今回は、BRZのリアシートの仕様の紹介と併せ、使い勝手をライバル車と比較して詳しく紹介していきます。

Chapter
スバル 初代BRZとはどんなクルマなの?
スバル 初代BRZのリアシートに人を乗せる場合の使い勝手は?
スバル 初代BRZのリアシートに荷物を載せる際の使い勝手をチェック!
スバル 初代BRZのリアシートと、ライバル車ポルシェ 911のリアシートの違いは?
スバル 初代BRZのリアシートとトヨタ 初代86のリアシートの違いは?

スバル 初代BRZとはどんなクルマなの?

BRZは、2012年~2020年までスバルが製造販売していた2ドアクーペです。2021年からは2代目が発売予定で、今注目を集めるクルマでもあります。

トヨタと共同開発された背景は、クルマ好きの間では有名な話でしょう。姉妹車であるトヨタ 86とほぼ同じタイミングでモデルチェンジされる予定なので、86の新モデルであるGR 86にも期待が高まります。

BRZと86は同じ「FA20型」エンジンを搭載しており、このエンジンはスバルとトヨタがそれぞれ技術を持ち寄って作られたことで有名です。トヨタ側からは筒内直接噴射技術とポート噴射同時制御技術である「D-4S」が持ち込まれ、スバルからは水平対向技術を搭載したベースエンジン「FB20型」が持ち込まれました。

トヨタはエンジンの低重心化を狙っており、「FA20型」の完成によりそれを実現させたのです。スバル側も高回転・高出力のエンジン開発に成功し、両メーカーから新たなスポーツカーであるスバル BRZとトヨタ 86が登場したという背景があります。

また、BRZの名前の由来は以下の3点の頭文字をとったものです。

・ボクサーエンジン(Boxer Engine)
・後輪駆動(Rear Wheel Drive)
・究極(Zenith)

販売終了まで数度マイナーチェンジされ、最終的な大きさは全長4,240mm×全幅1,775mm×全高1,320mm、車両重量は1,220~1,270kgと、一般的なスポーツカーと大差ありません。

グレードは6種類設定されており、スポーツカーでありながらラインアップが豊富なのも、BRZの魅力といえるでしょう。

スバル 初代BRZのリアシートに人を乗せる場合の使い勝手は?

BRZのリアシートの使い勝手は、結論から言えばあまり良いとは言えないでしょう。スポーツカーなのでそこまでリアシートに機能性を求めない方も多いかもしれませんが、人によって使い勝手の定義も異なるため、ひとつずつ説明していきます。

まず、BRZのリアシートの使い勝手を悪く感じるのは、リアシートに人を乗せる場合です。

そもそも2ドアであるため乗りにくさを感じるうえ、スペースが非常に狭いという特徴があります。標準的な体格の男性でも座れはしますが、室内高が低いので高さも気になることに加え、長時間乗るとなれば少々狭さを感じるでしょう。室内高の他にも、足元の狭さが気になる方も多いかもしれません。

また、リアシートのニークリアランス(足元空間)はフロントシート(前席)のポジションにも左右されます。フロントシートがかなり前に出ていれば足元の狭さは比較的感じにくい一方、限界まで後ろ側にスライドしている場合は、リアシートとフロントシートの距離が近くなり、人が乗れなくなってしまうのです。

BRZのリアシートに人を乗せる場合は、フロントシートの空間を多少犠牲にする必要がある点には注意が必要でしょう。

しかし、「BRZのリアシートはポルシェ 911やホンダ CR-Zより優秀」との声もあります。車両の大きさがコンパクトゆえに911やCR-Zのほうがリアシートが小さくなるため、一概に比較はできないでしょうが十分な差別化にはなるでしょう。

リアサスペンションも、ダブルウィッシュボーン式独立懸架であり固くないため、乗り心地も悪いわけではありません。

人を乗せる可能性があり、なおかつスポーツカーに乗りたいという方には、おすすめの1台といえるのではないでしょうか。

スバル 初代BRZのリアシートに荷物を載せる際の使い勝手をチェック!

人を乗せるにはあまり向いていないものの、できないことはないという微妙な立ち位置のBRZのリアシートですが、荷物を乗せるとなれば話は別です。

特別室内空間が広いわけではないものの、リアシートを荷室(ラゲッジルーム)と併用すれば、高い収納性能を生み出すことができるでしょう。

元々BRZの荷室は比較的広く、スポーツカーの中でも高い収納機能を有しています。

シートアレンジを活用すれば、レース用タイヤなら4本、標準的なゴルフバッグなら2本積載可能なので、アウトドアでも活躍すること間違いありません。

小さなお子さんがいる家庭ではベビーカーを載せることもできますが、あまり大きなベビーカーは載らないので注意しましょう。

高い収納機能を兼ね備えた荷室ではありますが、リアシートをシートアレンジすればさらに収納機能に磨きがかかります。フルフラットになるので、普段の買い物時や横倒しのできる1.5m程度の荷物も容易に載せることができるのです。

荷室の補てんとして使う分には申し分ない広さを持っているので、シートアレンジを有効活用しない手はありません。

しかし長所だけではなく、注意点もあります。

まず1つ目は、BRZは2ドアであり、長いものを載せようと思うとフロントシート側から載せたり降ろしたりしなければならない点です。スポーツカーなので仕方がありませんが、普通のクルマと同じ感覚では荷物を積めないことを覚えておきましょう。

そして2つ目は、小さなお子さんがいてチャイルドシートを載せている場合、リアシートの積載量が半減するうえ、シートアレンジができなくなる点です。

これも仕方ないと言ってしまえばそれまでですが、覚えておいて損はないでしょう。

スバル 初代BRZのリアシートと、ライバル車ポルシェ 911のリアシートの違いは?

前項までで少し触れましたが、スバル BRZとポルシェ 911のリアシートは使い勝手がまるで違います。主に人を載せる場合に感じるでしょうが、リアシートの使い勝手は911よりもBRZに軍配が上がるのです。

とはいえ乗り心地に関しては個人差があり、911は新型のリリースでリアシート周辺にも手が加えられており、一概に比較できないのが現状ではあります。ただ、同じ年式のBRZと911であれば、911のほうが使い勝手は悪く感じる方が多いようです。

そもそもスポーツカーにリアシートが存在している理由は、北米市場の昔の保険制度に関係があります

超高級車としてのブランドを確立していたランボルギーニやフェラーリは別にして、その他のメーカーは当時の自動車保険料を抑えるため、2+2の4人乗り仕様にしていました。

現在では保険の内容そのものは変わったものの、当時の名残でリアシートのついたスポーツカーが残ったのです。

当時は飾りの意味合いしかなかったスポーツカーのリアシートですが、BRZのように使い勝手に重きを置いたクルマも最近では増えてきました。

しかし、まだリアシートは「おまけ」程度にしかついていないスポーツカーもあるにはあるので、数あるスポーツカーの中でもBRZのリアシートは使いやすい部類に入るといえるでしょう。

スバル 初代BRZのリアシートとトヨタ 初代86のリアシートの違いは?

BRZと姉妹関係にあたる86は、先述のとおり同じエンジンを積んでいるという共通点があります。

実はエクステリア(外観)や安全性能を除き、BRZと86は同じ大きさ、かつリアシートの使い勝手も荷室の大きさもまったく同じなのです。細かな性能の差や価格の差はありますが、リアシートだけに絞れば使い勝手は変わらないと考えて良いでしょう。

BRZも86のリアシートも、人が乗るには窮屈ですが軽い荷物を載せる分には問題ないといえます。リアシートに乗る場合、小さなお子さんは別として大人が乗るとなると、その方の体格や性別、履いているものまで考慮しなければなりません。

また、ニークリアランスが狭く、フロントシートを最前面までスライドさせても少々窮屈です。フロントシートを最前面までスライドさせれば、チャイルドシートが必要なお子さんや、標準的な体格のスニーカーを履いた方などであれば乗ることはできるでしょう。

ちなみに、両車とも2021年夏ごろに2代目の販売が開始される予定となっています。写真を見る限りではありますが、ベンチシートの採用で乗り心地は改善されている印象です。

さらにセンターコンソールも大きいので、リアシートに人を乗せる場合は、事前に「狭く感じるかもしれない」と断っておくと良いかもしれません。

あくまでもスポーツカーなので、リアシートの機能面は高くないことを覚えておくのが良いでしょう。

BRZのリアシートの使い勝手を、ライバル車との比較や姉妹車である86のリアシートとの違いを交えて紹介しました。

「あってないようなもの」と言われがちなスポーツカーのリアシートですが、BRZについては人は選ぶものの、一概に使い道がないとは言い切れません。

人を乗せる頻度が多い方は不便に感じるかもしれませんが、人を乗せる機会がそれほど多くない、かつスポーツカーに乗りたいという方にはおすすめの1台といえそうです。

2代目へのフルモデルチェンジに伴いどこが改善されるのか、楽しみに待つのも良いでしょう。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道