車の雹対策完全ガイド:被害事例から予防策・修理・保険まで徹底解説

雹

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近年、ゲリラ豪雨や突風とともに突然「雹(ひょう)」が降り、愛車がボコボコに凹んでしまった…という被害が各地で報告されています。

雹とは直径5 mm以上の氷の粒が降る現象で、それ未満のものは霰(あられ)と呼ばれます。ゴルフボール大の雹が降れば車のガラスやボディに深刻なダメージを与えかねません。車の雹対策は初心者からベテランのオーナーまで知っておくべき重要な知識です。

本記事では、雹による車の被害例から事前の予防策、緊急時の対応、被害に遭ってしまった後の修理方法と費用、さらに自動車保険での補償内容に至るまで、網羅的に解説します。万一の雹被害から愛車を守るために、ぜひ参考にしてください。

CARPRIME編集部

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Chapter
雹が車に与える主な被害例
雹対策の基本:平時に行う予防策
雹の兆候を感じたら?降雹直前の応急処置
安全な屋根下へ素早く移動するコツ
毛布・マットで緊急防御する方法
運転中の安全停車と車内待機のポイント
降雹後の被害チェックと記録
雹で凹んだ車を直す!修理方法と費用ガイド
デントリペア(無塗装板金)で安価に復旧
板金塗装修理が必要なケースと費用
ガラス交換にかかる費用と注意点
修理しない・放置という選択肢の落とし穴
雹被害と保険:車両保険で補償を受ける条件
車両保険加入者が受けられる補償内容
保険未加入・限定タイプの場合の自己負担
等級ダウンを避けるか?保険利用の判断基準
スムーズに保険金を受け取る手続き手順
まとめ

雹が車に与える主な被害例

  • ボディの凹み・キズ(デント被害)のリスク 

    雹の直撃でボンネットやルーフ、トランクなど金属パネルにヘコミ(デント)が生じます。直径数センチの雹が降れば無数の凹みができることもあります。塗装が剥がれればサビの原因にもなります。
  • ガラス割れ・ヒビの危険性 

    特にフロントガラスやリアガラスは雹の衝撃でひびが入ったり、酷い場合は穴が開いたり割れたりします。サイドミラーや窓ガラス、ライト類も破損するおそれがあります。
  • ワイパー・樹脂パーツなどその他部品への影響 

    雹の勢いによってはワイパーやボンネットエアベントに詰まりが生じたり、ボディのモールや樹脂部分が傷つく場合もあります。

実際、近年日本でも雹被害は増えており、突然の大粒の雹によって何百台もの車に被害が出たケースもあります。

雹は局地的な自然災害ですが、その破壊力は侮れません。例えばアメリカでは、雹による年間の保険損害額が100億ドル(約1.5兆円)を超えることもあり、自動車も例外ではないのです。

まずはこうした被害事例を知り、「自分の車も例外ではない」と認識しておきましょう。

雹対策の基本:平時に行う予防策

  • カーポートや屋根付き駐車場で物理的に防御 

    自宅に車庫やカーポートがある場合は、日頃からそこに駐車する習慣をつけましょう。屋根があるだけで雹から車を物理的に守れます。賃貸でも屋根付き駐車場を選ぶのがおすすめです。簡易的なテント式のガレージでも無いよりはマシですが、強風時は飛ばされないよう固定が必要です。
  • 防雹用カーカバーでボディをガード 

    「雹 車 カバー」と検索すると出てくるような防雹専用の厚手カーカバーを備えておくのも有効です。分厚いクッション材やエアクッションを備えたカバーを事前に購入してトランクに積んでおけば、雹の予報時にサッとかぶせるだけでボディへの直撃を和らげられます。市販の防雹カバーがない場合でも、毛布や緩衝材を車にかけ、その上から市販の防水ボディカバーを重ねるだけでも一定の効果があります。
  • 被害を避ける賢い駐車場所の選び方 

    日頃から雹の被害を受けにくい駐車場所を意識しましょう。例えば職場や買い物先では建物の陰や立体駐車場、地下駐車場など屋根のある場所に優先的に停めます。屋外しかない場合でも、できるだけ頑-頑な屋根の下(庇の下など)や雹が吹き込みにくい場所を選ぶと被害リスクを減らせます。
  • 天気予報アプリで雹リスクを先読み 

    普段から天気予報や気象ニュースを注視し、雹の恐れがある気象状況を把握しておきます。夏場の激しい雷雨(積乱雲)や寒冷前線通過時は雹が発生しやすい条件です。スマホの天気予報アプリで「雹の恐れがある」予報や雷注意報が出ていないか確認し、危なそうな日は可能な限り車を屋内に置くか運転を控える判断も必要です。

雹の兆候を感じたら?降雹直前の応急処置

安全な屋根下へ素早く移動するコツ

雹が降りそうな気配を感じたら、できるだけ早く車を屋根のある場所へ移します。近くに立体駐車場やガソリンスタンドのキャノピー、ショッピングモールの駐車場などがあれば一時的に避難させましょう。

高速道路走行中であれば最寄りのサービスエリアや高架下に退避する方法もあります。ただし停車時は他車との衝突に十分注意し、安全が最優先です。

毛布・マットで緊急防御する方法

避難場所が確保できない場合、車に常備した毛布や厚手の布、車用サンシェード、床マットなどを急いで取り出し、ボンネットやルーフ、フロントガラスなどに被せます。雹の直撃エネルギーを柔らかい布で多少なりとも吸収し、ダメージを軽減する目的です。

本格的な防雹カバーでなくとも、何もしないより格段にマシです。特にフロントガラスは割れると視界不良で危険なので、優先的に覆いましょう。

運転中の安全停車と車内待機のポイント

雹に降られながら無理に走行を続けるのは非常に危険です。バチバチと激しい音がして視界も悪くなるため、周囲に注意しつつ減速し、安全に停車できる場所を探します。路肩に停める場合はハザードランプを点け、後続車に注意喚起してください。

車内にいれば雹から身を守れますので、無理に外へ出ないようにします。強い雹では窓ガラスが割れる可能性もあるため、念のため肌を覆い、飛散したガラス片から顔や手を守れる体勢で待機しましょう。

降雹後の被害チェックと記録

雹が止んだら車から降りて被害状況を確認します。車体に雹が積もっている場合もありますが、素手で触ると冷たいので注意。ひどい破損があればこの後の対処(修理や保険手続き)に備えて写真を撮っておくと安心です。

雹で凹んだ車を直す!修理方法と費用ガイド

デントリペア(無塗装板金)で安価に復旧

塗装が剥げておらず小さな凹みであれば、デントリペア専門業者で修理できます。特殊な工具で内側からヘコミを押し出す方法で、塗装をしないため短時間かつ比較的安価です

費用はヘコミの大きさや数によりますが、1 箇所あたり約1〜2 万円が相場です。雹で多数のヘコミができた場合でも、デントリペアなら車全体で数万円〜十数万円程度で修復できるケースもあります。

板金塗装修理が必要なケースと費用

雹の衝撃で塗装が剥がれたり深い傷がついた場合、板金塗装による修理が必要です。凹みをパテ埋めし再塗装したり、ボンネットやルーフパネル自体を交換する大掛かりな修理になることもあります。

費用は部位と損傷の程度によりますが、雹 被害 修理の相場としては1 パネルあたり数万円から十数万円、車全体では数十万円に達することもあります。新品交換になればさらに高額になるでしょう

ガラス交換にかかる費用と注意点

フロントガラスやリアガラスにひび割れや穴が開いた場合、安全のため早急な交換が必要です。ガラス交換費用は車種やガラスの種類によりますが、フロントガラスなら一般的に5万〜10 万円程度が目安です(国産車の場合)。

最近の車はカメラやセンサー付きガラスも多く、その場合は再校正費用が加算されることもあります。サイドウインドウやミラーの破損も同様に部品交換となります。

修理しない・放置という選択肢の落とし穴

小さな凹みが数箇所程度で走行に支障がない場合、あえて修理せずそのまま乗り続ける選択肢もあります。修理費用が高額で車両時価額に見合わない場合や、古い車で見た目をあまり気にしない場合などです。

ただし下取りや売却時には評価が下がる点、また割れたガラスだけは放置せず必ず交換する点に注意してください

雹被害と保険:車両保険で補償を受ける条件

車両保険加入者が受けられる補償内容

ご自身の車両損害をカバーする車両保険(いわゆる任意保険のオプション)に入っていれば、雹による車の損傷も補償されるケースがほとんどです

一般的な「車両保険(一般型)」では、事故相手のない単独事故や自然災害による損害も補償範囲に含まれます。雹はまさに自然災害ですから、保険会社に連絡して所定の手続きを踏めば、修理費用から契約時の自己負担額(免責金額)を差し引いた金額が保険金で支払われます。

保険未加入・限定タイプの場合の自己負担

対人対物の賠償責任のみの保険(自賠責保険や、車両保険無しの任意保険)では、残念ながら雹による車の損害は補償されません

また、「車対車+A」など限定タイプの車両保険の場合でも、多くは「飛来中または落下中の他物との衝突」として雹害が補償対象に含まれています。

ただし、ごく稀な契約内容によっては対象外の可能性もゼロではないため、ご自身の契約プランを一度確認しておくとより安心です。カバーされない場合、修理費は全額自己負担となります。

等級ダウンを避けるか?保険利用の判断基準

雹被害で車両保険を使うと、翌年以降の保険料に影響する点にも注意が必要です。保険を1 回使うと多くのケースで等級(ノンフリート等級)がダウンし、翌年から割引率が悪化して保険料が上がります。

雹害による保険利用は「1等級ダウン事故」として扱われ、翌年度の等級が1つ下がり、事故有係数適用期間が1年加算されます(3等級ダウン事故にはなりません)。修理費用が保険を使わず払える範囲であれば、将来の保険料アップを考慮してあえて保険を使わない判断も選択肢です。

特に免責金額(自己負担額)が高めに設定されている場合、小さな修理だと保険金より等級ダウンのデメリットの方が大きいこともあります

スムーズに保険金を受け取る手続き手順

雹被害に遭ったら、速やかに保険会社へ連絡し事故の報告を行いましょう。自然災害であっても事故扱いとなりますので、発生日時や状況の説明が求められます。

先述のように写真を撮っておけば、被害状況の証拠として提出に役立ちます。保険会社の指示に従い、修理工場の選定や保険査定人の派遣などの手続きを進めます。広範囲で雹被害が起きた場合、保険金支払いまでに時間がかかることもありますが、落ち着いて対応しましょう。

まとめ

雹は突然降り注ぎ、車に深刻なダメージを与える厄介な自然現象です

しかし、平時から車の雹対策を万全にしておけば、被害リスクを大幅に下げることができます。カーポート設置や防雹カバーの準備といった予防策、そして天気情報の注視と緊急時の機転で愛車を守りましょう。

また万一被害に遭っても、適切な修理方法を知り保険を上手に活用すれば、愛車を元通りに直せます。愛車と長く付き合うためにも、雹への備えと対応策をこの機会にぜひ見直してみてください。

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