【プロ解説】BMW M4クーペを歴史とともに徹底解説!!

BMW M4

BMW M3クーペの後継車として、初代M4クーペが日本市場に導入されたのは2014年2月からです。

M4クーペは、ボディやサスペンションの大部分にCFRPや軽量アルミニウムを採用したインテリジェント・ライト・ウェイト構造を採用することで、卓越した運動性能を実現。

また、車両重量は先代モデルに対して、約80kgの軽量化を実現しています。

文・写真/萩原 文博

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初代モデル
2代目モデル

初代モデル

初M4クーペの外観デザインは、強力なM ツインパワー・ターボ・エンジンのポテンシャルを強調するボンネット上のパワー・ドームを設置。ハイ・パフォーマンス・エンジンおよびブレーキに大量の冷却気を供給する3つの大型エア・インテークを備えたフロント・エプロンの採用。そして、BMW M モデル特有のダブルスポーク・ホイールのデザインを反映した特徴的なキドニー・グリルには、ブラックのペイントが施されたダブル・バーを採用しています。

サイドには、フロント・ホイール・アーチ後方に設けられたM ギル一体型のエア・ブリーザーを採用。 フロントホイールハウスに流れこむ空気を、フロンサイドパネルのエア・ダクトから放出することで、ホイール周辺で発生する乱気流を抑え、空気抵抗を低減しています。さらに空力特性に合わせて最適にデザインされたM ドア・ミラーを搭載しています。

搭載するエンジンは最高出力431ps、最大トルクは先代モデルを約40%上回る550Nmを1,850〜5,500rpmで発生する新開発の3L直列6気筒Mツインパワー・ターボ・エンジンを搭載。エンジンのシリンダー・ブロックにクローズド・デッキ構造を採用し、高い剛性を確保し、かつシリンダー内圧をさらに高めることが可能となり、高出力化と高回転化を実現しています。

組み合わせるトランスミッションは、BMW M モデルならではのダイナミックな走り、高い効率、そして日常での走行に求められる優れた快適性の全てを実現した7速M DCT Drivelogic。そして、シフトダウン時に自動的に回転数を上げ、スムーズなシフト・チェンジを可能にするスロットル・ブリッピング機能を採用した6速MTの2種類。駆動方式はFRのみとなります。

パワーを左右リヤ・ホイール間で自在に配分するアクティブM ディファレンシャルやダイレクトなステアリング・フィールと路面からの精密なフィードバックを提供する電動パワー・ステアリング採用のM サーボトロニックを採用。このMサーボトロニックは、走行状況やドライバーの好みに応じてサーボトロニックのアシスト量を3段階で変更が可能です。

ルーフをはじめ、トランクリッドの内部構造部材、プロペラシャフトなどにCFRPを採用し軽量化しています。

運転支援システムは、カメラにより前方の監視を行い安全なドライビングに貢献する「ドライビング・アシスト」を標準装備しています。また、走行中の様々なデータを取得できるスマートフォン用アプリ「BMW M ラップタイマー」を用意しているところはハイパフォーマンスモデルらしい点です。

2016年4月には、M4クーペをベースに外観とインテリアの随所に採用されたCFRP製パーツや室内の軽量化構造、2シーター仕様の採用により徹底的な軽量化。加えて、インテリアには、専用ロールバーや6点式シートベルトを含むクラブ・スポーツ・パッケージを標準装備したM4GTSを限定30台で発売。最高出力は500psにアップし、パワーウェイトレシオは3.2kg/psというハイスペックとなっています。

2017年5月に初代M4クーペはマイナーチェンジを実施。このマイナーチェンジでは内外装の変更を行い、外観のフロントではデイタイム・ランニング・ライト機能付きの新世代ヘキサゴナル・デザインのアダプティブLEDヘッドライトを採用。

リアにおいてはLEDテールライト、ブラック・カラーの19インチ・アロイ・ホイールを採用することで、より精悍で存在感のあるデザインとしました。一方、インテリアはカーボン・ファイバー・トリムを標準装備としました。

さらに、3L直列6気筒Mツインパワー・ターボ・エンジンの最高出力を、標準モデルより19psアップ450psまで向上。さらに、ダンパーおよびスタビライザーの特性を専用に変更したアダプティブMサスペンションを設定。

また、電子制御式多板クラッチによりパワーを左右リヤ・ホイール間で自在に配分するアクティブMディファレンシャルやDSCにも専用のチューニングを施し、トラクション性能をさらに向上させたM4クーペ Competitionを設定している。

2017年8月にはM4コンペティションに6速MT車を追加すると同時に、BMW SOSコールやBMWテレサービスといった、BMWコネクテッド・ドライブを標準装備しました。

そして2018年5月には、M4カブリオレを導入。M4 カブリオレのルーフには、3 分割式のリトラクタブル・ハードトップを採用。これはルーフを開けている時にはボディ後端までフラットに伸びるキャビンがエレガントなシルエットとバランスのとれたプロポーションを。そして、ルーフを閉じた状態ではBピラーのないクーペ特有のダイナミックかつ優雅なルーフ・ラインを実現します。

また、リトラクタブル・ハードトップは、走行速度が約18km/h 以下であれば、センター・コンソールのボタン操作一つで、僅か20秒以内にハードトップを全開/全閉にすることが可能です。

2代目モデル

2代目となる現行型M4クーペは、2021年1月に導入されました。グレード体系は6速MT車のM4クーペ。8速AT車のM4クーペ Competitionそして、サーキットでのパフォーマンスを高めたM4クーペ Competitionトラックパッケージの3タイプとなっています。

現行型M4クーペ Competition(トラックパッケージは除く)は、サーキットでの走行を可能とするハイ・パフォーマンス・モデルでありながら、高性能3眼カメラ&レーダー、および高性能プロセッサーによる高い解析能力の最先端運転支援システムが標準装備を標準装備。

高速道路での渋滞時において、ドライバーの運転負荷を軽減し安全に寄与する運転支援システム「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」が装備され、一定の条件下において、ステアリングから手を離しての走行が可能なモデルへと進化しています。また、コネクティビティにおいても大幅な進化を遂げ、「OK,BMW」と話し掛けることで、車両の操作、目的地の設定等が可能となっています。

外観デザインは、フロントは迫力ある縦型の大型キドニー・グリルを採用し、水平方向にはダブル・バーを採用、大出力にあわせエンジンの冷却性能を高めるために大型のエア・インテークを採用することで、他のモデルとの差別化を図っています。また、サイドにおいては、Mモデル専用となるサイド・ギル、ドア・ミラーを採用。そしてリアダウン・フォース性能を得るためのリア・スポイラーを標準装備しています。

一方のインテリアは、Mスポーツ・シート、Mロゴが輝くドア・シル、Mモデル専用にデザインされたメーター・パネル、M専用ステアリングを採用することで、車内にいても高揚感の高まる演出が施されています。

搭載するエンジンは3L直列6気筒Mツインパワー・ターボ・ガソリン・エンジンの1種類。最高出力はM4クーペが480ps、M4コンペティションは510ps、最大トルクはM4が550Nm、M4クーペ Competitionは650Nmと異なる仕様となっています。

組み合わされるトランスミッションは、ドライブロジック付きの8速Mステップトロニック・オートマチック・トランスミッションを採用。サーキット走行から、快適な街中での走行まで、あらゆる場面に対応します。さらに、M4には、ドライバーの意のままにシフトアップ・ダウンが可能な、マニュアル・トランスミッションを用意しています。

現行型M4クーペはボディ含め、ドライブトレーンを構成する各種パーツには、アルミニウムを多用し軽量化をはかり、運動性能を高めています。

さらに、Mアダプティブ・サスペンションを標準装備することで、スポーツ・ドライビングのみならず、街中走行時の乗り心地向上も実現しています。そして、よりハードなサーキットでの走行を可能とするため、耐熱・耐フェード性能に優れた大径ブレーキ・ディスク、軽量化された6ポッドMコンパウンド・ブレーキを標準装備しています。

また、M4クーペ Competitionトラックパッケージには、運動性能をより高めるため、先進安全機能を装備しないことで、約25kgの軽量化を実現。その一方で、Mドライバー・パッケージ、Mカーボン・セラミック・ブレーキ、Mカーボン・バケット・シート、Mドライバー・パッケージ等を標準装備とすることで、よりサーキット走行を追求したモデルに仕立てています。

ハイパフォーマンス2ドアクーペから充実した運転支援システムを搭載し、インテリジェンスモデルへと進化したBMW M4クーペ。

最高出力510psを発生するパワフルなピュアエンジンを味わえる最後のモデルになるかもしれません。そういった意味ではレガシーとなるモデルと言えるでしょう。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博