本当に使えるドラレコをユーザーに!業界をウラから支えるドライブレコーダー協議会とは

ドライブレコーダー協議会MTG

『一般社団法人 ドライブレコーダー協議会』は、関係者や研究者を集めたシンポジウムの開催、ガイドラインの策定、製品テスト、将来に向けたロードマップの作成などにより、設立以来、ドライブレコーダー普及に尽力してきた団体です。

その活動と日本のドライブレコーダーについて、コロナ禍のなか、ドライブレコーダー協議会の技術広報部会長 久保登さん(神奈川大学)、広報部会長 鳥塚俊洋さん(JAFメディアワークス)、テスト部会長 小野治良さん(慶洋エンジニアリング)、事務局長 小林恭二さん(セルスター工業)のご参加をいただき、リモートでインタビューを行いました。

Chapter
ドライブレコーダーはどうやって普及したのか?
ドライブレコーダー協議会の活動とは
テストで見えてきた粗悪品の存在
その他、購入前にチェックしたいポイント
今後のドライブレコーダーについて

ドライブレコーダーはどうやって普及したのか?

日本のドライブレコーダーの歴史は意外に古く1994年には国交省(当時の運輸省)がまとめた第1期ASV(先進安全自動車)推進計画において“ドライブレコーダー”という言葉が初めて使用されています。

当時、欧米では日本よりも先行して研究されていましたが、アメリカのNHTSA(米国運輸省道路交通安全局)が記録する情報の標準化をすすめるいっぽう、ヨーロッパでは撮影された映像がプライバシーの侵害にあたるとされ普及が遅れました。

その後、日本は1990年代後半に自動車メーカーや電気メーカーが。2000年代には(財)日本自動車研究所でも事故検証を主目的としたドライブレコーダーの研究開発がそれぞれ開始。

2003年には、㈱日本交通事故鑑識研究所と練馬タクシー㈱の共同開発による日本初の市販ドライブレコーダー「WITNESS(ウィットネス)」が登場し、タクシー業界を中心に広まって行きました。

いっぽう一般向けドライブレコーダーは、2005年ごろに初登場しますが、まだ価格の高さやその効果について懐疑的な意見も多く、普及することはありませんでした。

そんな世間のイメージがガラッと変わったのは、2012年に京都の祇園で起きた軽自動車の暴走事故でした。この事故では、接触されたタクシーに搭載されていたドライブレコーダーの映像が公開され、事故記録として注目を集めたのです。

ドライブレコーダー自体は、その数年前から多くの国内メーカーが一般向け市場に参入したことで、性能の向上と低価格化が進み、これを期にドライブレコーダーを導入するユーザーが増えました。

世界に目を移すと、早くからマイカーに普及したのは韓国で、これは2000年代後半に運輸事業者に保険の優待制度を作ったことが販売を後押ししました。興味深いのはロシアで、2013年に巨大隕石の落下を多くの人が撮影に成功したわけですが、その多くがドライブレコーダーによる映像でした。それほどドライブレコーダーが普及していた理由は、悪辣な交通警察に対する自衛のためといわれています。

ドライブレコーダー協議会の活動とは

今回、取材にご協力いただいた「ドライブレコーダー協議会」が活動をスタートしたのは、京都の事故が発生する2年前の2010年のことでした。

その前年に神奈川大学工学部の堀野定雄准教授のよびかけによって、ドライブレコーダー関連企業のエンジニアや研究者約100名を集め、ようやく市民権を得始めたドライブレコーダーについて、その活用と普及について話し合われたシンポジウム・ドラプリ(ドライブレコーダー・アプリケーションからの造語)を開催。これを期にメーカーのエンジニアや大学の研究者などの有志によって任意団体として活動を開始しました。 協議会活動の基本は、
1.ドライブレコーダーを始めとするデジタル機器、当該機器の映像等を用いた交通安全に関する活動
2.ドライブレコーダーの普及およびドライブレコーダーを用いた自己分析ならびに事故予防の促進
3.ドライブレコーダーの性能基準の検討および策定
4.行政機関等とドライブレコーダー関係者とのあいだの情報伝達
の4つ。

その手始めとして推奨ガイドライン作成部会を発足させ、2014年にコンシュマー向けの「表示ガイドライン」を策定しています。

それまでのドライブレコーダーは、メーカーや製品によって性能表記がバラバラで、ユーザーが商品を比較したくても出来ない=製品を選べない=ミスリードやミスユースが発生するという状態が続いていました。

そこでドライブレコーダー協議会では、このユーザーの不利益を是正するため、カタログや外箱に記載される表記を統一する「表示ガイドライン」を策定して、商品を選びやすくすることを国内販売メーカーに呼びかける同時に、購入前に役立つ“ドライブレコーダー基礎知識”を記載したパンフレットも作成、配布しました。

その後、2016年に一般社団法人化へ。2019年には、メーカー向けの「ドライブレコーダーの推奨ガイドライン」を策定。基本的な部分で、最低限、満たすべき性能を協議会として提案。

日本のドライブレコーダーの普及と啓蒙に、おおきな役割りをはたしてきました。

テストで見えてきた粗悪品の存在

ガイドラインの策定と並行して協議会がチカラを入れているのが、製品テストです。

前述の京都の事故をはじめ、メディアでドライブレコーダーの映像が取り上げられるたび、お店やネットでは安価な輸入品も増えていきました。

ドライブレコーダー協議会では、加盟しているメーカーの製品がガイドラインに合致しているか、安価なものをユーザーが買っても良いのか?という視点で、さまざまな角度からメーカー問わずテストを行っています。

そのなかでもっとも重要視しているは、撮影画角。水平視野角が左右45度(合計90度)より狭いと、自車の前方を自車より速い車両が直角に横切る際、衝突するまで画角に入ってこず、事故原因の分析には使えない可能性があります。また撮影画角は、水平、垂直、対角がありますが、販売されている製品のなかには、対角しか記載されていなかったり、レンズメーカーが発表している画角をそのまま記載し、実際にはその画角では撮影できない製品も存在します。

これのなにが問題かというと、対角視野角は撮影できる範囲に対角線を引いたときの角度の数値で、当然ながら水平視野角よりもおおきく表示されますし、レンズ画角と撮影で記録できる映像の画角は別。レンズ画角の表記では、実際の性能よりもスペック(撮影できる画角)が高いようにみえてしまうのです。

さらに粗悪なものになると、実際の性能とカタログに記載された数字がまったく違っていることもあるということですから注意が必要ですね。

ドライブレコーダー協議会HP

その他、購入前にチェックしたいポイント

ドライブレコーダーは、長時間連続して記録するという特性上、一般的にはファイルをいくつにもわけて記録されています。通常は、1分、3分、5分といった構成です。このため、メディアに記録する際に、ファイル間で録画記録が途切れることがあります。この途切れた箇所と次のファイルの先頭までの抜け落ちを、ファイル間欠損(ギャップ)といいます。

各メーカーでは、ファイル間欠損が発生しないよう配慮した設計を行っていますが、なかには1秒以上の欠損が発生する機種も流通しています。

また、1秒間に何コマで記録するのかを表すフレームレートも、輸入品では注意が必要。電波の周波数は、東日本で50ヘルツ、西日本は60ヘルツで、LED信号は1秒間にその倍の100回または120回点減していますから、西日本を例にすると、ドライブレコーダーのフレームレートが30フレーム(fps)のときには、日中、信号が消灯しているように録画されることがあるのです。

そこで、近年、国内で販売されている製品は、フレームレートを東でも西でも同期しない数値に(27.5fpsや27.0fps等)に工夫しています。

しばしば話題になる画素数は、数値が高ければ高いほど、映像をきれいに映し出すことができます。

初期のドラレコはVGAのうえに,データを圧縮していたので、いま見ればほぼモザイク!という映像。小さく切り取っておおきく伸ばせば、必然的に画像は荒れますから、ナンバーが読み取りにくかったりという問題が起こります。

現在はフルHDが主流で、フロントカメラには4Kに迫るほどの高画質のカメラを使った高性能モデルも増えています。ところが、海外製品のなかにはフルHDを謳いながら、実際にはフルHDに足りない製品があるといいます。画素数に注目して製品選びをするなら、最低でも200万画素、できれば300万画素を視野に入れて検討すると良いでしょう。

こういったテストのデータは、HPで公開(2020年はコロナで休止)されていますので、ドライブレコーダー選びの際に参考にしてはいかがでしょうか?

今後のドライブレコーダーについて

ドライブレコーダー協議会が発足した当初の目標は、国内で500万台の普及というものでした。

その後、京都の軽自動車暴走事故(2012年)、東名高速夫婦死亡事故(2017年)、常磐自動車道路でのあおり運転(2019年)など、事故や事件を記録した映像がテレビなどで取り上げられるたびにドライブレコーダーが注目され、国内主要メーカーだけでもここ数年は年間500万台近い販売台数を記録。ディラーで新車装着することも一般的になりつつあり、現在30〜40%といわれる普及率は、さらに高まることが予想されています。

またドライブレコーダーの可能性として、ADAS(先進安全運転システム)や、通信型サービス(緊急通報など)が注目されており、それらへの活用や発展も楽しみなところです。

CarMe編集部

新車・自動車ニュースのWEBマガジン「CarMe[カーミー]」を運営。
「カーライフを楽しむ全ての人に」を理念に掲げ、編集に取り組んでいます。

CarMe編集部