クルマが激しく飛び跳ねる!ローライダーって何?

ローライダーって何?

ネオンが光る夜の街中を、片輪走行や激しく飛び跳ねたりといったパフォーマンスで沸かせるアメリカの旧車。

皆さんも一度や二度は見かけたことがあるのではないでしょうか。

ド派手なカスタムが目を引くローライダーといえば、クラシカルなアメ車をベースとしたカスタムジャンルのひとつです。

そこで今回は、ローライダーと呼ばれるクルマの定義やカスタマイズについて、じっくり解説していきましょう。

Chapter
ローライダーの定義とは?
日本でのローライダー文化
ローライダーから広まったコミュニティは?

ローライダーの定義とは?

ローライダーというのは、クルマのカスタマイズにおけるジャンル・方向性のひとつです。

名称は低い=“Low”、つまりクルマの車高自体を下げる、もしくは視覚的に低く見えるような演出を施すことに由来しています

ローライダーというカスタマイズ手法が生み出されたのは、1940~1950年頃のアメリカ西海岸。ロサンゼルスやコンプトン、サウスセントラルやカリフォルニアといったアメリカ西側で広まっていったとされています。

メキシコから流入してきた移民(チカーノ)が増え、ギャング団が次々と立ち上がりお世辞にも治安が良いとはいえない情勢の中、安く購入できた中古車にカスタマイズを加えることで豪華に見せようとして、ローライダーは生まれたのです。

ローライダーカスタムのベースとなったクルマは、いわゆるアメリカン・クラシックであるシボレーやキャデラック、ダッジといったマッスルカーが中心。

そのカスタマイズの特徴は、なんといってもド派手なカスタムペイントでしょう。

ボディに施されたラメやフレーク、キャンディ塗装がギラギラと主張し、運転中にすれ違うようなことがあれば二度見してしまうのは確実です。

また、ローライダーという名称の通り低い車高も大きな特徴。ローライダーの足回りにはハイドロと呼ばれるエアサスの一種が装着されています。バッテリーを電源とする油圧ポンプをラゲッジなどに搭載し、シリンダー内にポンプでオイルを注入したり抜いたりすることで車高の調整を可能にしているのです。

さらに、フロント/リアで独立あるいは4輪独立でポンプを装着してバッテリーを増やすことでフロントを下げ、リアは前のめりな恰好やどこか1点だけ車高が高くなるような、歪で独創的なポースをクルマが取ることができるようになったのです。

バッテリーが増えればそれだけ高電圧になるため、足回りに装着されたシリンダーの稼働も素早くなります。

ということは、クルマ自体が上に上がる速度が早くなるので、油圧シリンダーがストップすればタイヤが浮いて、クルマが跳ねているようにみえるということ。

これこそ、ローライダーが激しく飛び跳ねる秘密であり、俗にホッピングといわれるものです。

もちろん、その他にもフレーム自体を切って低くしたり、ホッピングの衝撃に耐えるため補強をしたりといった見えない部分に手を加えることも。

チョップトップと呼ばれるカスタマイズでは、ルーフを切って再度溶接することで車高が低く見える演出を施しています。

日本でのローライダー文化

日本でもローライダー文化は知られています。日本に流入してきたのは1980年ごろで、国内がバブル景気に湧いていた時代。

そのころは今のようにSNSなど発達していないため、オーナー達は現地の実車写真を集めたり情報交換をしながら独自のローライダースタイルを確立していきました。

その背景には、一部の愛好家たちが当時のクルマを輸入していたという理由もあるようです。

日本国内でローライダー人気がピークを迎えたのはトヨタのプリウスが飛ぶように売れていた2000年前後で、それ以降は衰退の一途を辿っています。

低燃費でコンパクトなクルマこそ正義であるような風潮が蔓延し、大排気量・大型サイズであったアメ車そのものの需要が減ってしまったのです。

さらに、カスタマイズにかかる費用自体もネックといえるでしょう。

ローライダー以外のカスタマイズでもボディーの色を丸ごと変える全塗装のような手法が用いられますが、特殊な塗料を用いて行うローライダーのカスタムペイントは施工料が高額になることがほとんど。

そうなれば、新しくローライダーカスタムをしてみようと思う人が減ってしまうのは当たり前の流れです。

現在は金銭的に余裕がある愛好家たちが、1台のクルマを大切にしている場合がほとんどなのです。

ローライダーから広まったコミュニティは?

ローライダー文化と大きな関係のある商品として真っ先に挙げられるのが、アメリカが誇るダイキャストカーブランド・ホットウィールでしょう。

ホットウィールといえば、独自に設計したホイールやトーションバーといった足回りに加え、ホイールのアライメントを調整するための電動テスターや専用コースなど、多彩なラインアップが魅力的なブランド。

また、精巧に作られたダイキャストモデルでありながらも、実車には不可能なアクロバティックな走りをさせることも実現しています。

そんなホットウィールは、2021年7月現在では様々な車種がラインアップしているものの、発売初期はローライダー特有のキャンディーペイントが売りのひとつであったのです。

コレクターズアイテムとしての側面も強くなっているので、ショップなどを念入りにチェックすれば当時のモデルが発掘できるかもしれません。

アメリカ西海岸の歴史や文化とともに発展してきたローライダー。

日本ではほとんど見かけることがなくなってしまいましたが、特徴的なボディーペイントや強烈な個性などを考えると、遺しておきたい文化のひとつといえるかもしれません。

※2021年7月現在

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道