『レプリカ カスタム』は、有り?無し?実際にカスタムする際の注意点は?

日産 B110 サニー

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カスタムカーにも種類が数多くありますが、なかでも同型車もしくは他のクルマをベースに、古い名車に仕立て上げる「レプリカ」というものがあります。本物を買うことができない、本物を維持する体力も財力もないといったユーザーには、憧れのクルマを安価で手に入れることができる方法として魅力があることも事実なのです。
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細心の技術で過去の名車を再現する「レプリカ」
レプリカは走行性能や信頼性だけなら本家を凌ぐことも
新しいコルベットから生み出した1967年式コルベット
過去にはファレディZベースのフェラーリ250GTOレプリカも…

細心の技術で過去の名車を再現する「レプリカ」

30年以上前に生産された名車をノドから手が出るほど欲しい。しかし、現実はそれほど甘くありません。

大量に生産されたようなクルマだと、誰も希少価値に気付かず、多くが乗り潰されてしたり、チューニングやドレスアップに使われ、オリジナルの状態を保っていなかったり…。当時大ヒットしたとはいえ、現時点でトヨタ AE86カローラレビン/トレノやKP61スターレット、日産 B110サニーやS13シルビアのノーマル車はそう簡単に手に入りません。

反対に希少なモデルであれば、もともとの生産台数が少なく、仮に売りに出されていても目が飛び出るような金額になっていることもしばしば。そうそう気軽に買えるものではありません。

悩ましいのは、トヨタ 1600GTなどの名車の弟分や兄弟車的なモデルで、レースでも実績を残した名車であるのにもかかわらず、共通部品を使っているという理由で兄貴分であるトヨタ 2000GTの部品取り車に使われて、多くが廃車になってしまったというケースもあります。

過去の名車というのは、名車であればあるほど残存している個体の状態は良かったりしますが、それと比例するように入手が困難になります。

名車は手に入れるのも大変ですが、後世に残ることも大変なのです。そこで新しいクルマで、最新の技術を使いながら、往年の名車を再現する「レプリカ」という手法が考えられました。

ちなみにレプリカには、さまざまな方法があり、前述の現代のクルマをベースにする方法の他に、過去の同型エンジンを用いて制作したもの、同時代の廉価モデルをベースにしたもの、フレームから新造してしまうものなどがあります。

レプリカは走行性能や信頼性だけなら本家を凌ぐことも

もちろん名車そのものを持っていれば、往年の魂のこもった「本物」を所有する喜び、誇りはレプリカの比ではありません。

しかし「本物」は、それがゆえに抱えている問題もあります。

まず古いクルマですから、純正部品が無かったり、手に入りにくかったりします。高額なヒストリックカーを購入できる財力があれば、無いパーツを作ることも容易ですが、そうなると結局「本物」とはいえどこまでオリジナルの部品を使えるかという問題も出てきます。

さらに、現代のクルマと違って電装系やエンジンその他の信頼性、快適性なども劣りますから、それらの対策を施すかどうか?これもオリジナル問題に絡む重要な要素です。

さらには、排ガスなどの問題で地域によっては走ることを許されない場合もあります。

そこでレプリカの出番というわけです。

ある意味「本物」からすれば軟弱に感じるかもしれませんが、最新の機関を使い、快適に走行できるうえに、スタイルは過去の名車。

「しょせんは偽物」と言ってしまえばそれまでですが、ある意味では「どうしてもそこまでの手間や資金をかけられないけど、名車に乗りたい!」という、庶民のささやかな夢を叶えるクルマでもあります。

本物ではないからとアレコレ言われるかもしれませんが、それはあくまで他人の視点。1度所有してしまえば大事な愛車なのですから、そのレプリカを心の底から愛してしまえば、ときには名車と同じ、あるいはそれ以上の価値をオーナーにもたらすのが「レプリカ」の素晴らしさです。

新しいコルベットから生み出した1967年式コルベット

以前、e-bayに出品された1967年式シボレー コルベット スティングレイ427のレプリカもそんな1台。このレプリカには大きな特徴があります。

それは、ベースに新しいC6コルベット(2005−2013年)を使っていることで、しかも単なるC6ではなく、コルベット誕生60周年を記念して作られた、427キュービックインチエンジンを搭載したアニバーサリーモデルをベースとしていることです。

2012年にリリースされた新しいC6コルベットの限定モデルを惜しげも無くベースにしていいのか?と思ってしまうところですが、2代目コルベットの427キュービックインチエンジン搭載車を再現しているので、逆にそれが粋なのだということかもしれません。

このレプリカのスペックは定かではありませんが、ベース車通りなら511psの7リッターV8OHVエンジンを搭載しているので、当時の427エンジン(390ps)よりパワフルなのは間違いありません。

姿かたちこそ当時のコルベットを再現していますが、メーターパネルも含め中身は最新なので、どこかで出くわして「古い、遅い、曲がらない、止まらない」などとタカをくくっているとエライ目にあいそうです。

過去にはファレディZベースのフェラーリ250GTOレプリカも…

なお、基本レイアウトが似ているということで、ロングノーズ•ショートデッキで比較的安価なクルマをベースにレプリカがよく作られた名車にフェラーリ 250GTOがあります。

1962年にデビューして、レースでも大活躍したこの美しい名車のレプリカベースとなったのは、日産 S30フェアレディZやポルシェ 944といった比較的新しいロングノーズ•ショートデッキのフロントエンジンスポーツカーでした。

日本でもマツダ ロードスターなどをベースにトヨタ 2000GTが作られた事例は少なくありません。

ただし、その多くはエンジンの全高やホイールベースとトレッドの関係、クルマ全体におけるコクピットの位置などがオリジナルとは異なるため、オリジナルをよく知っている人が見れば、レプリカであることが一目瞭然でした。

また現在では、意匠権などの問題で、そういったレプリカはほぼ作られていません。

よく見れば相違点は多数あるとはいえ、このようなかたちでも後世に受け継がれていくというのも、クルマ文化を守るうえでは大事なことなのかもしれませんけれど…。

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