見通しの良い道こそ大事故が起こりやすい?コリジョンコース現象とは何か

コリジョンコース現象とは?

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「コリジョンコース現象」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?

ニュースで報道されるような見通しの良い交差点で起こった事故は、この現象が原因のひとつとして考えられているのです。

そこで今回は、コリジョンコース現象のメカニズムと対策について詳しく解説していきます。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道
Chapter
コリジョンコース現象は人間の視野が引き金になって発生する
事故が起こるメカニズムとは?
コリジョンコース現象を抑制するための対策はあるのか?

コリジョンコース現象は人間の視野が引き金になって発生する

コリジョンコース現象とは、田園型事故が発生する原因のひとつとして考えられている、さまざまな要因が複雑に絡み合った現象のこと。田園型事故とは、見通しの良い田んぼ道のようなロケーションの道路で発生する事故のことです。

見通しが良いほど交通事故は発生しにくいと思い込みがちですが、実はそこに落とし穴があります。

複雑な現象であるがゆえに、同名の漫画作品を原作としたテレビアニメ『名探偵コナン』で2009年にテレビ放映された第556話「恐怖の交差点」にて、殺人事件を交通事故に見せかけるためのトリックとして用いられたこともあるほど。
コリジョンコース現象が起こる理由としてまず挙げられるのは、人間が本来持っている視覚の特性であるといわれています。

人間の視野は前方左右100度ほどですが、その視野範囲の中で物体の色や形などを正確に把握できる中心視野は、左右に35度ほどしかないのです。

中心視野から外れた角度は周辺視野と呼ばれるもので、動いている物体をただなんとなく見えているものとしてしか認識することができません。

つまり、人間は中心視野で捉えたもの以外は正確に把握できないという特性を持っており、この特性こそコリジョンコース現象の引き金となっているのです。

事故が起こるメカニズムとは?

では、コリジョンコース現象が発生したことによって起きる交通事故はどのような経緯を辿っているのでしょうか。

見通しの良い交差道路で2台のクルマが交差点に向かって同じ速度で走行している場合、視界を遮るものがなければお互いに見通しがいいので他車がいればすぐに気付くはずだ、と考えているでしょう。

しかし、前述したように人間は中心視野で捉えたものしか正確に把握できない特性を持っています。
2台のクルマが直角の道路を走っているという状況においては、相手のクルマが45度の角度、つまり周辺視野でぼんやりとしか見えていないのです。

加えて、速度が同じことで止まっている物体と思い込んでしまうために、お互いのクルマの発見が遅れてしまうというメカニズムなのです。

また、実際に運転席に座って見ると分かるかもしれませんが、運転席から45度の方向にはちょうどAピラーがあり、死角を生み出しています。

周辺視野はおろか、そもそも相手のクルマを発見できないというケースもあるため、より一層の注意が必要となるのです。

コリジョンコース現象を抑制するための対策はあるのか?

コリジョンコース現象は、事故が起きそうにない場所で起きてしまいます。運転手が事故を警戒しておらず、大事故になりやすい傾向にあるのです。

対向車も後続車もない気ままな一本道で、市街地を走っている時よりも気が抜けてしまうのは当たり前のことでしょう。つい普段より強めにアクセルを踏んでしまうドライバーもいるかもしれません。

スピードを出している2台が衝突したのなら、大惨事になるのは想像に難くありませんが、そのような事態を避けるため、見通しの良い道路であっても首から上を動かし、しっかりと周囲の安全を確認しましょう。
そして、交差点に差し掛かる前には減速するのもポイント。

一旦停止の看板がない交差点でも、クルマがないことを確認した後、ゆっくりと余裕をもって交差点に進入すると良いでしょう。

また、コリジョンコース現象を抑制するため、地方自治体や県警によって対策が取られているケースも。

実際、栃木県では2018年より下野市内の交差点付近にて、白いポールを一定間隔で設置することで周辺視野を減らし、対策を取っています。
重大な事故の原因となりえるコリジョンコース現象は、誰しもが陥る可能性のある身近な現象です。

しかし、この現象が起こる理屈や原因を知っていれば、それだけも十分に対策と呼べるでしょう。

そのうえで周りの安全を確認しつつ、交差点周囲の状況や交通標識などをしっかり見てクルマを運転することが、最も有効な対策方法だといえるのではないでしょうか。

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