トヨタ ヤリスクロスのパワートレイン【プロ徹底解説】

トヨタ ヤリスクロス ハイブリッド

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ヤリスクロスのパワートレインは、トヨタのクルマ作りの構造改革であるTNGAに基づいて開発されました。

とくに高い熱効率を実現したガソリンエンジンを核としたハイブリッドシステムは、クラストップレベルの走行&燃費性能を獲得。注目されています。

ここでは、ヤリスクロスに搭載されたパワートレイン、トランスミッションそして4WDシステムについて解説します。

文・写真/萩原 文博

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博
Chapter
平凡なスペックのなかに隠された高い性能
トランスミッションはガソリン車とハイブリッド車で異なる
駆動方式は2種類!注目はハイブリッドの4WD

平凡なスペックのなかに隠された高い性能

ヤリスクロスには、ガソリン車、ハイブリッド車ともにM15A型と呼ばれる1.5L直列3気筒ダイナミックフォースエンジンが搭載されています。

TNGAの思想に基づき高効率を求めて開発されたダイナミックフォースエンジンは、ロングストローク化、バルブ狭角の拡大などの高速燃料技術を採用し、ガソリン車で最高出力88kW(120ps)、最大トルク145Nmという高出力を達成するいっぽうで、コンパクト化と軽量化を徹底的に追求し 、WLTCモード18.5〜20.2km/Lという優れた燃費性能を実現。軽快な走りの楽しさと優れた燃費性能を両立しています。

この1.5L直列3気筒ダイナミックフォースエンジンを使用するハイブリッドシステムは、電気系・機械系損失を大幅に低減し、最大熱効率40%以上を達成。世界トップレベルの低燃費と、システム最高出力85kw(116ps)を実現しました。

このシステム出力の向上と、アクセル操作に対するレスポンスをアップによって、走り出しから実用域で、軽快感と燃費性能の向上を両立させています。

いつまでも走っていたくなるような気持ちの良い走りのハイブリッドシステムの燃費性能は、WLTCモードで28.7〜30.8km/Lと優れています。

トランスミッションはガソリン車とハイブリッド車で異なる

ヤリスクロスに採用されているトランスミッションは、ガソリン車がCVT、ハイブリッド車はリダクション機構を内蔵した電気式無段変速機です。

ガソリン車に採用されているダイレクトシフトCVTは、従来のCVTのメリットであるスムーズで低燃費な走りを生むプーリーとベルトに発進用ギアを追加し、低速から高速域まで力強くダイレクトな走りを実現。

いっぽうハイブリッド車用の電気式無断変速機は、エンジンを駆動に使いつつ同時に発電にも振り分けることを可能としています。

駆動方式は2種類!注目はハイブリッドの4WD

ヤリスクロスの駆動方式は、2WD(FF)と4WDが全グレードに用意されています。ただし、4WDの駆動システムは、ガソリン車がダイナミックトルクコントロール4WD、ハイブリッド車がE-Fourと異なっています。

ガソリンの4WD車に採用されているダイナミックトルクコントロール4WDは、前後トルク配分を可変させるシステムで、通常は燃費効率に優れたFFで走行し、発進・加速時や滑りやすい路面、コーナリング時などでは、状況に合わせて最適な駆動力を後輪に配分します。

さらに4WD性能を最大限に引き出す「マルチテレインセレクト」を搭載。この機能は、3つのモード(マッド&サンド、ノーマル、ロック&ダート)を備え、駆動力、4WD、ブレーキを統合制御して、走行支援を行うと同時に、システムの作動状況をマルチインフォメーションディスプレイに表示し、運転をサポートしてくれます。
いっぽうハイブリッド車に搭載されているE-Four(電気式4WDシステム)は、発進時や雪道など、濡れた路面などの滑りやすい状況で、スムーズに4WD状態へ切り替えることで、発進性、走行安定性をアシストするものです。前後輪のトルク配分量は、マルチインフォメーションディスプレイに表示されます。

E-Fourだけに用意されるトライアルモードは、空転したタイヤにブレーキを掛けることで、反対側のタイヤに駆動トルクが掛かるように制御するもので、悪路からのスムーズな脱出を実現します。このトライアルモードを選択すると、マルチインフォメーションディスプレイの背景が変わります。

システム自体は、車両後方にコンパクトに配置することで、低燃費に貢献しながら、足元のスペースや荷室容量のゆとりも確保しています。

雪道で重宝するスノーモードは、ガソリン車、ハイブリッド車ともに標準装備。アクセル操作に対するトルクを制御し、雪道など滑りやすい路面でのスムーズな発進・走行を助けます。
国産コンパクトSUVは街乗り中心というユーザーが購入するケースが多く、燃費の良い2WD(FF)車の比率が高くなっています。しかしヤリスクロスの4WDモデルは、ガソリン車、ハイブリッド車ともに燃費の悪化を最小限に抑え、WLTCモードではだいたい1%程度の差しかありません。

安全性、走行安全性まで考えると、車両本体価格は上がりますが4WDモデルという選択もアリかなと思います。
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