【プロ解説】ホンダシビックタイプRのエンジンやミッション、パワートレーン等のスペックを徹底解説!!

現行型シビックタイプRに搭載されているパワートレインは2L直列4気筒DOHC VTECターボ+6速MTの1種類となっています。高い走行性能を実現させるために、どのような工夫が施されているのかを解説します。

文/写真・萩原文博

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シビックタイプRのエンジン
シビックタイプRのトランスミッション
シビックタイプRはシチュエーションによって選べるドライブモードを採用

シビックタイプRのエンジン

シビックタイプRに搭載されているエンジンは、K20C型2L直列4気筒DOHC VTECターボです。最高出力の320psを6500回転、最大トルクの400Nmを2500〜4500回転で発生します。高出力を発生させるために、様々な技術が導入されています。まず、鋭いレスポンスで吹け上がる、「タイプ R」らしいエンジンフィーリングのために、エンジン内部の回転・往復部品の慣性重量低減を追求しました。コンロッドは棹部に熱間鍛造を加えて冷間鍛造することで高強度化した部分強化コンロッド。棹部の密度が増すことから細く、軽く作ることができ、これにともないカウンターウエイトも軽量化されています。

さらに、低慣性で、高出力化に効果を発揮するモノスクロール・ターボチャージャーを採用。同サイズのツインスクロール・ターボチャージャーに対し、同等のレスポンスを獲得しつつ、出力では大きく上回ります。また、過給圧制御の自由度が高い電動ウェイストゲートを採用し、過給レスポンスを高めるとともに、排気ポンピングロスの低減による燃費性能向上も図っています。そして、多くの混合気をシリンダー内に採り入れるためにバルブのリフト量を可変していた自然吸気エンジンに対し、タイプRに搭載されたVTEC TURBOエンジンでは、その役割をターボチャージャーが担います。排気側にVTEC機構を採用することでシリンダー内の燃焼済みのガスをすばやく排出し、より多くの混合気を効果的に吸入できるようにしました。

さらにバルブタイミングを連続可変させるVTECは吸排気バルブに採用。これらの制御により、高出力と高レスポンスを追求しています。また、高出力化に伴い、高効率な冷却機能も採用しました。2ピースウォータージャケット・シリンダーヘッド、クーリングチャンネル付きピストン、ナトリウム封入エキゾーストバルブなどはレーシングエンジン開発で培ったノッキング抑制冷却技術となっています。そして、センターエキゾーストパイプの採用等により排気効率を向上させることで、先代モデル対比でさらなるパワーを獲得。スポーツカーとしてのパフォーマンスを磨き上げています

シビックタイプRのトランスミッション

シビックタイプRは、鋭い吹け上がりを追求した軽量フライホイールを採用した6速MTを採用しています。これにより、「タイプR」らしい鋭い吹け上がりを実現しました。さらにファイナルギアをローレシオ化することで全域での加速性能を向上させています。また、VTEC技術、エンジン内部パーツの軽量化等によりレスポンスを徹底的に追求した上で、エンジン制御は細部まで及ぶリファインを実施。これに加えて軽量フライホイールも採用することで、スロットルを閉じているにもかかわらず駆動力が掛かり続けたり、スロットルを開けてから駆動力が掛かるまでにタイムラグが生じたりする現象を抑制。優れたコントロール性を追求しました。

加えて、レブマチックシステムを搭載しました。この機能は、スポーツ走行に不可欠でありながら、身に付けるまでには時間がかかるヒール&トゥを不要にするシステムで、変速時にエンジン回転数を自動で合わせてくれるものです。クラッチペダルのストロークセンサー、ニュートラルポジションセンサー、車速センサーとメインシャフトの回転数センサーからの信号を元にして目標のエンジン回転数を算出。スロットルを自動的に開けることで回転を合わせ、スムーズなシフトダウンをサポートします。これに加え、+Rモードではよりダイレクトでスピーディーに、それ以外のモードではショックの少ない回転合わせを行うなど、シーンに応じた適切な制御も実施しています。なお、レブマッチシステムの機能はドライバーの好みに応じ、メーター内の設定画面からオフにすることも可能です。

シビックタイプRはシチュエーションによって選べるドライブモードを採用

シビックタイプRにはドライビングモードを搭載しています。このシステムは街中からサーキットまで、様々な走行シーンを想定して、アダプティブダンパーシステム、パワーステアリング、スロットル、レブマッチシステム等の制御デバイスの特性を切り替えというもの。それぞれをきめ細やかに組み合わせることで、幅広い走りのキャラクターを実現するとともに、「タイプR」の新たな世界観を表現しました。

最高出力320ps、最大トルク400Nmというハイパワーをドライバーが気持ち良く使い切れるように、トランスミッションやクラッチなどの仕様までこだわっています。さらに、ヒール&トゥを行わなくてもスムーズな変速が行えるレブマチックシステムや走行シーンに合わせてセッティングを変更できるドライビングモードなど運転スキルに関係なく、タイプRのパフォーマンスをTPOに合わせて堪能できるようになっています。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ