ロールス・ロイスが高いのはなぜ? 理由を完全解説
更新日:2025.10.07

高級車の代名詞ともいわれる「ロールス・ロイス」。新車価格はエントリーモデルでも4,000万円を超え、最上級モデルのファントムはオプション次第で1億円を超えることさえあります。家が建つほどの超高額なロールス・ロイスですが、一体なぜそこまで高いのでしょうか?
本記事では、その理由を「手間(職人技・製造工程)」「希少性(生産台数・受注生産)」「ブランド価値(歴史・哲学)」の3つの観点から徹底解説します。
本記事では、その理由を「手間(職人技・製造工程)」「希少性(生産台数・受注生産)」「ブランド価値(歴史・哲学)」の3つの観点から徹底解説します。
職人技が支える手間暇――ロールス・ロイスの高価な製造工程
ロールス・ロイスの製造は英国グッドウッドの工場で行われていますが、ほぼ全てが職人の手作業で組み立てられています。大量生産の自動車とは異なり、最先端の設備と人の技を融合させながら、細部まで妥協なく作り込まれるのです。
- 鏡面ボディを生む塗装と研磨
ボディ塗装は下地からクリアコートまで何重にも塗り重ね、乾燥と研磨を繰り返すことで鏡のような光沢を実現します。最終的な磨き作業は熟練工が手作業で行い、ロールス・ロイス伝統のコーチラインは専用の筆でたった一人の職人がフリーハンドで描き上げます。 - 10頭分のレザーが彩るキャビン
内装には牛革が10頭分前後使用され、虫刺されや傷のない雄牛の革だけを厳選。革は裏面まで染色され、シートの縫製や刺繍、ダッシュボードの張り込みに至るまで熟練工が手作業で仕立てます。 - 1本の原木から生み出すウッドパネル
ローズウッドなどの天然木を使用し、木目がキャビン全体で完璧につながるよう一本の原木から化粧板を切り出します。ラッカー塗装と手作業による研磨を繰り返し、1台分のパネルが完成するまでに約1ヶ月を要します。 - 100kg以上の遮音材で実現する静粛性
車内の静粛性を極めるため遮音材が100kg以上使われています。星空天井「スターライトヘッドライナー」は職人が天井内張りに数百個の穴を開け、光ファイバーを一本一本通して夜空を再現しています。 - 職人育成もコストアップ要因
自社工房で見習いを取り、数年間の修行期間を経て一人前に育て上げるなど、伝統のクラフトマンシップを次世代につなげる取り組みも行われています。こうした人材育成コストも車両価格に含まれています。
希少性とビスポーク――台数が少ないからロールス・ロイスは高い
ロールス・ロイスは世界でも限られた台数しか生産されません。年間生産台数はおおむね4000〜6000台程度に抑えられ、需要があってもあえて増産しない戦略を採っています。
- ビスポーク:世界に一台のオーダーメイド
ロールス・ロイスでは購入時に顧客の細かな要望を取り入れて仕様を決めるビスポークプログラムが充実しており、ボディカラーから内装素材まで「世界に一台だけ」の組み合わせを実現できます。 - 台数制限が生むリセールバリュー
生産台数を絞ることで中古市場でもリセールバリューが落ちにくく、希少な限定モデルは新車時より高額になるケースもあります。ロールス・ロイスは世代を超えて受け継がれる「資産」ともいえる存在です。
100年の歴史とブランド力――価格を正当化するロールス・ロイスの価値
1906年創業のロールス・ロイスは100年以上にわたり「世界最高の自動車」を追求し続けてきた伝統あるメーカーです。創業者ヘンリー・ロイス卿の「常に完璧を目指せ」という哲学は現在のモデルにも息づいています。
- “静粛性”に宿る開発哲学
ロールス・ロイスの静粛性は群を抜いており、「時速60マイルで走行中、車内でもっとも大きな音は時計の針の音だった」という有名なコピーはその象徴です。 - 王侯貴族に選ばれるステータス
ロールス・ロイスは世界中の王侯貴族や国家元首、著名人に選ばれてきました。その実績と信頼がブランド価値をさらに高めています。 - フライングドクターに象徴される顧客第一主義
「フライングドクター」と呼ばれるサービスチームが世界中どこへでも駆けつけるなど、ロールス・ロイスはオーナーに寄り添う特別な体験を提供します。
所有後に掛かるコストも桁違い――ロールス・ロイスの維持費
ロールス・ロイスを所有するには車両本体の購入費だけでなく、毎年多大な維持費を負担できる財力が必要です。
年間維持費は200万円以上が目安
排気量6.75LのV12エンジンを搭載するため税金が高く、車両価格が高額な分だけ保険料も跳ね上がります。専用タイヤやパーツは軒並み高価で、車検ごとに数十万〜数百万円の整備費が発生することも珍しくありません。
年間維持費は200万円以上が目安
- 自動車税:110,000円(総排気量6.75Lの場合)
- 任意保険料:約50万~100万円(車両価格や補償内容による)
- メンテナンス費用:年間数十万円〜(定期点検・消耗品交換等。タイヤ交換や予期せぬ修理があれば数百万円に達することも)
- ガソリン代:約50万円(年間1万km走行の場合)
排気量6.75LのV12エンジンを搭載するため税金が高く、車両価格が高額な分だけ保険料も跳ね上がります。専用タイヤやパーツは軒並み高価で、車検ごとに数十万〜数百万円の整備費が発生することも珍しくありません。
まとめ:ロールス・ロイスの価値と価格の理由
ロールス・ロイスが高い理由を、職人技、希少性、ブランド価値という観点から詳しく見てきました。最上の素材と伝統工芸にも似た製造プロセス、台数を絞ってでも品質と顧客体験を重視する経営哲学、そして所有後も続く特別なサービス -それらがロールス・ロイスの価格を正当化しています。
「完璧」を追求して生み出されたロールス・ロイスは、一度乗れば誰もがその魔法の絨毯のような乗り心地に驚き、触れれば細部の仕上げに感嘆します。その圧倒的な完成度と特別感を維持するには相応のコストがかかるということが、高価格の真の理由なのです。
「完璧」を追求して生み出されたロールス・ロイスは、一度乗れば誰もがその魔法の絨毯のような乗り心地に驚き、触れれば細部の仕上げに感嘆します。その圧倒的な完成度と特別感を維持するには相応のコストがかかるということが、高価格の真の理由なのです。