幻の2代目スカイラインGT-R「ケンメリ」とは?ハコスカとの違いも解説

ケンメリ

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今回はスカイラインの歴史に様々な伝説を残した名車「ケンメリ」についてご紹介していきます。早速ですが、皆さんはケンとメリーと聞くと何を思い浮かべますか?もちろんスカイライン「ケンメリ」ではないでしょうか。

先代のスカイライン「ハコスカ」が世界的に大注目され、人々が期待したケンメリは、ケンとメリーのCMと共に一大ブームとなりました。しかし一方でケンメリGT-Rの発売期間はたった4ヶ月、サーキットに登場しなかった唯一のGT-Rとして語り継がれています。

幻のGT-Rと呼ばれるケンメリ。一体どんなクルマで、どんな理由があったのでしょうか?スカイラインの歴史と共に、お話していきましょう。
Chapter
そもそも「ケンメリ」「スカイライン」「GT-R」って?
ケンメリのGT-Rと他のグレードの違いって?
ケンメリの愛称で親しまれたスカイライン!
大成功を収めたケンメリのイメージ戦略!
ケンメリGT-Rの生産はわずか197台!幻のGT-R
ケンメリGT-Rの中古車市場は?レストアは?
ハコスカとケンメリの違いは?
これから維持していくには

そもそも「ケンメリ」「スカイライン」「GT-R」って?

ケンメリやハコスカといった愛称はよく耳にしますが、そもそもスカイラインのどのモデルなのか、GT-Rとは何を指すのかといった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。実際、スカイラインやGT-Rという言葉は曖昧に使われることも多いので、疑問に思っても当然かもしれません。順番に説明していきましょう。

スカイラインは1957年に富士精密工業から発売されたクルマです。富士精密工業はのちにプリンス自動車となり1966年に日産と合併します。合併後は日産自動車が引き継いで販売しており、プリンス時代から唯一継続生産されているクルマとなっています。

スカイラインには多くのモデルがあり、1969年に発売された3代目スカイラインがハコスカ、1973年の4代目スカイラインがケンメリという愛称で呼ばれています。GT-Rという言葉は、スカイラインシリーズにおける高性能グレードの名称として登場しました。

そして、そのグレード「GT-R」が初めて設定されたのが3代目スカイラインであるハコスカです。つまり、ハコスカやケンメリにはGT-Rと、そうでない他のグレードが存在するわけです。混乱しやすいですが、例えば今回紹介しているケンメリはスカイラインとしては4代目であり、グレード「GT-R」のスカイラインとしては2代目というわけです

ケンメリのGT-Rと他のグレードの違いって?

先ほどGT-Rはグレード名であることをお話しましたが、具体的にどのようなグレードなのでしょうか?ケンメリにはGLとGT、そしてGT-Rの3種類のグレードがあり、大きな違いは何といってもエンジン性能です。

GLには1.6L及び1.8LのG16型(G18型)が搭載されています。このエンジンは日産と統合する前のプリンス自動車工業が開発した歴史のあるもので、排ガス規制によるマイナーチェンジまで使い続けられていました。マイナーチェンジ後は日産自動車が開発したL16型(L18型)に入れ替わっています。

GTには日産自動車が開発した2.0LのエンジンL20型が使われています。しかしこのエンジンも規制の影響を受け排ガス対策を余儀なくされました。その後改良されたのがL20E型エンジンです。そしてGT-Rには輝かしい記録を残した先代(ハコスカ)GT-Rと同様のS20型エンジンが搭載されています。

GT及びGT-Rは共に排気量2.0Lですが、GTは最高出力88.3kW(120PS)/6,000rpm、最大トルク166.7Nm(17.0kgm)/4,000rpm。GT-Rは最高出力117.7kW(160ps)/7,000rpm、最大トルク176.5Nm(18.0kgm)/5,600rpmとなっており、GT-Rはより高速走行を想定した上位グレードになっています。

ケンメリGT-Rは販売台数の少なさから、希少性のあるクルマとなっていますが、販売当時でもなかなか手の出ない高級車だったことが想像できます。

ケンメリの愛称で親しまれたスカイライン!

ケンメリの愛称で親しまれたスカイラインC110型ですが、一つ前のモデルであるハコスカからは大きな変更が施されました。その中で最も印象的なのは丸型4灯テールランプでしょう。一部例外はあるものの、このテールランプはケンメリ以降、現行のR35GT-Rに至るまで採用されており、まさにスカイラインのシンボルと言えるものです。

ケンメリはサーフィンラインも印象深く、折り目のついたシャープなデザインをしています。またボディタイプは幅広く、4ドアGT(ヨンメリ)や2ドアハードトップ、さらにはワゴンやバンも存在しています。デザイン性の高さに加え、ユーザーのニーズに合わせた多様なラインナップが功を奏し、ケンメリは歴史に残る大ヒットを収めます。

大成功を収めたケンメリのイメージ戦略!

ケンメリを語る上で忘れてはいけないのがケンとメリーの存在です。はじめにご紹介したCMに登場する男女です。BUZZが歌ったCMソング「ケンとメリー〜愛と風のように〜」はオリコンランキングで19位にランクインするなど、ケンメリのイメージ戦略で大変重要な役割を担いました。 

またCMで登場する”木”は「ケンとメリーの木」と名付けられ観光名所となるなど社会現象を引き起こしました。「ケンとメリーの木」の場所は北海道上川郡で、見事な景観です。ケンメリが幅広い客層に愛されたのはケンとメリーのおかげと言っても過言ではないでしょう。

ケンメリGT-Rの生産はわずか197台!幻のGT-R

幻のGT-Rと呼ばれるケンメリGT-R。このクルマが”幻”と言われる理由はその希少性の高さです。1972年に発表されたケンメリGT-Rはわずか4ヶ月で生産が中止、累計生産台数はわずか197台。発売当初、期待されていたレーシングバージョンも登場することはありませんでした。

理由は排ガス規制強化の煽りです。結果ケンメリGT-Rは生産中止に追い込まれてしまいました。名車が規制の強化によって生産できなくなる…排ガス規制の強化が行われるたびに起こる現象です。ケンメリが産まれたのは、不運にも規制強化の波が日本モータースポーツ界を飲み込んでいった時代だったわけです。

ケンメリGT-Rの中古車市場は?レストアは?

現在ケンメリの中古車は某大手中古車サイトで14台が確認でき、そのうち1台がGT-Rという検索結果になりました。
※ 2020.5.23現在

相場としては10年程前から考えると上がっており、特段状態が悪いなどを除いた一般的な中古車の状態で見ると、安くとも350万位からとなっています。GT-Rの値段はその希少性も相まって1000万~となっており、以前オークションサイトでは4000万を超えた極上車もありました。

レストアはオリジナルを維持するものであれば、かなりの時間と金額はかかると思われます。なので、最近はレストアメニューの一つにボディはオリジナルを使用し、エンジンスワップでRBエンジンを載せ、足回りやブレーキはシルビアS13やスカイライン系を流用し、パワーステアリングやエアコン付きというのもあります。

しかし、それでも加工の大変さやボディの錆・ヨレとの戦いがあり決して安価なものではないのが現状です。そんな中、ロッキーオートという旧車専門店はR32スカイラインをベースとしたケンメリGT-Rを作製しました。

この車はR32スカイラインがベースなのでRBエンジンはもちろんのことマルチリンクサスペンションやパワーウィンドウも使用可能となり、さらにはナビやR32に使用できる社外部品が外装を除いてほぼ使用できるのが大きなメリットとなっています。

RB25ノンターボ・AT・ナビ付きの快適仕様から、RB26ツインターボ・ブレンボブレーキ・車高調・ロールバーなんていうサーキット使用なんかも作成可能だそうです。ただ旧車特有の”五感で乗る”という感覚は薄れてしまうのは仕方ないのかもしれません。

ハコスカとケンメリの違いは?

ここまでケンメリについて紹介してきましたがその前のモデル、ハコスカはどのような車だったのでしょうか。形はケンメリのハッチスタイルとは異なり、箱型の角ばったボディだったことからハコスカの愛称がついたそうです。

今でこそハコスカという名前で広まっていますが、当時はCMのキャッチコピー「愛のスカイライン」から愛スカとも呼ばれていたそうです。スカイラインとCMとの関係は、ハコスカの代からあったのかもしれません。また、プリンス自動車と日産自動車の合併後、初のモデルであることでも有名なクルマです。

ハコスカGT-Rのスペックは、4ドアと2ドアが存在し、エンジンはケンメリにも載せていたS20エンジンを搭載していました。当時グロリアが約120万だったのに対し、GT-Rはなんと約150万。手の届く人はごく一部で、ハコスカ全体の販売台数約31万台に対し1,945台ほどの販売でしたので、相当の高級車に位置していた事が容易に分かります。

これから維持していくには

今回ケンメリについて特集しましたが、ハコスカも同様にどんどん個体が減ってきています。海外輸出などもあり国内では値段が横ばいから高騰が予測され、手に入れるのは非常に困難です。しかしながら、ロッキーオートのように旧車オーナーを助けてくれるショップがあるのも事実です。

そういった点から考えると、この時代がケンメリを購入するタイミングとも言えるのではないでしょうか?重ステ・クーラーなし・キャブのセッティング。絶対的速さはないけども気持ちの良いサウンド。”男だったら乗ってみな”そんな言葉が似合いそうな車をいつかは購入したいですね。
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