現代に生き残るライトウエイトオープンスポーツ!マツダ ND ロードスター徹底解説

マツダ 4代目 ロードスター ND

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2015年にデビューした現行ロードスターは、初代NA型から数えて4代目となるモデル。販売から約5年が経過し中古車も出回るようになってきました。今回はND ロードスターをデザインからメカニズム、中古車まで徹底解説していきます。

文・西川 昇吾

西川 昇吾|にしかわ しょうご

1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。過去にはコミュニティFMのモータースポーツコーナーにてレギュラー出演経験あり。「書くこと、喋ることで自動車やモータースポーツの面白さを伝える」を目標とし、様々なジャンルのライティングや企画に挑戦中。

西川 昇吾
Chapter
ライトウェイトな現代のクルマとして生まれ変わったNDロードスター
NDロードスターの電動ルーフモデル「ロードスター RF」
NDロードスターの年式ごとの進化
マツダのデザイン哲学「魂動デザイン」が取り入れられたNDロードスター
NDロードスターのインテリアは「ドライバーファースト」
実用性も配慮されたNDロードスターのラゲッジスペース
NDロードスターの限定モデル
2017年期間限定発売「クラシックレッド」
2018年期間限定販売「RED TOP (レッドトップ)」
2019年期間限定販売「SILVER TOP (シルバートップ)」
国内150台限定販売「30周年記念車」
2020年期間限定販売「100周年特別記念車」
NDロードスターのメカニズム
NDロードスターの欠点は…値段?
NDロードスターの中古車事情
現代的になっても失われない「ロードスター」というアイデンティティ

ライトウェイトな現代のクルマとして生まれ変わったNDロードスター

2015年にデビューしたNDロードスターは、マツダの新世代テクノロジー「SKYACTIV TECHNOLOGY」とデザイン哲学「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」が全面投入された新世代車種の第6弾となるモデルです。

エンジンは従来の2Lエンジンから直噴1.5Lエンジンの「SKYACTIV-G 1.5」へ変更、ボディ剛性を上げつつも車両重量は先代NCロードスターから約100キロ軽量化を実現。

もっともベーシックなグレード「S」では1トンを切る990キロの車両重量を実現しています。大幅な軽量化を実現しつつも現代のクルマに欠かせない装備がしっかりと備わっているのがNDロードスターのポイント。
ブラインドスポットモニターや車線逸脱警報システム、後退時の車両接近を警告するリア・クロス・トラフィック・アラート(RCTA)などが装備されています。

現代のクルマとして生きていくのに必要な装備を備えつつも、コンパクトかつ軽量に生まれ変わったNDロードスター。軽量なクルマを造るのが難しい時代によくぞここまで軽いクルマを造った!という印象です。

そんなNDロードスターは「原点回帰」とも評されていて、2015年末には「2015-2016 日本カー・オブ・ザ・イヤー」に、2016年には「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー(WCOTY)」に選ばれました。

NDロードスターの電動ルーフモデル「ロードスター RF」

2016年末。ロードスターに「ロードスターRF」という新たなモデルが追加されました。このモデルは電動格納式ルーフを採用したファストバックスタイルのリトラクタブルハードトップモデルで、RFはリトラクタブルファストバックの略です。

ルーフを閉じた状態では美しいクーペのようなシルエットを見せ、オープン状態ではタルガトップのようになります。

ルーフの開閉にかかる時間は約13秒。先代NCロードスターのパワーリトラクタブルハードトップの約12秒には及びませんが、世界トップクラスの開閉スピードを誇ります。


グレードによって異なりますが、電動ルーフを装着することによって車両重量は約60キロ重たくなっています。

また、RFはエンジンが異なっていて、幌モデルが1.5Lエンジンを搭載するのに対してRFは2Lエンジンを搭載。全域でトルクフルとなっており重量増を感じさせない走りを実現しています。

実用面も犠牲になっていないのがRFの魅力。ラゲッジスペース容量は幌モデルとほとんど変わらない127Lとなっています。

NDロードスターの年式ごとの進化

販売から約5年が経過し「熟成」が進んでいるNDロードスター。歴代ロードスターを見ても、それぞれの世代でマイナーチェンジを繰り返し、「最新のロードスターが最良のロードスター」となってきた節があります。

そこでNDロードスターの熟成内容をご紹介していきます。まず2017年に行われた改良ではリアコンソールボックス(キー付)内部床面に遮音マットが追加され、ファブリックシートにもシートヒーターが設定されるなど快適性が向上。

またサスペンション&パワーステアリングのリセッティングで走りの質感が向上したほか、新色が追加となりました。
2018年6月に大きな改良を受けます。まず大きなトピックスとして幌モデル、ロードスターRF共にエンジンに手が加えられました。幌モデルも僅かながらに出力が向上していますが、注目はRFの2Lエンジン。

各部回転系や排気系を見直しレブリミットが6,800rpmから7,500rpmに引き上げられ、最高出力が158馬力から184馬力に向上しました。そのほかにも先進運転支援技術の装備充実化により「サポカーS・ワイド」に該当するようになりました。

この改良から後期型になったと表現してもいいでしょう。

2019年11月にも改良を実施。この改良では新しいボディーカラーが採用され、インテリアの小変更や先進運転支援技術の拡充。マツダコネクトの利便性向上が行われました。

マツダのデザイン哲学「魂動デザイン」が取り入れられたNDロードスター

エクステリアデザインで歴代ロードスターと異なるのは現在のマツダブランドのデザイン哲学「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」が全面投入された初めてのロードスターだということ。

これによりどちらかと言えばシンプルな面で構成されていた歴代ロードスターのエクステリアデザインですが、エッジの効いた複雑なボディラインとなりました。

先代モデルより80mm、そして歴代モデルの中で最も全長が短くなったNDロードスター。しかしながら全幅は15mm先代モデルから広げられ、よりワイド&ローが強調され、より高性能を感じるエクステリアとなりました。

 
そして驚くのがボンネットの低さ!運転席からの景色は左右のフロントフェンダーが盛り上がっていると感じるほど。

年々厳しくなる歩行者に対する衝突安全ですが、これをクリアするためにマツダが出した答えが、歩行者との衝突時にボンネットを持ち上げるアクティブボンネット。

このアクティブボンネットを採用することによって、歩行者保護を配慮しつつ、フロントノーズが低いスタイリングを実現することができました。

NDロードスターのインテリアは「ドライバーファースト」

歴代ロードスターの中でも最も質感が高く、高級感があるインテリアは見た目だけでなくしっかりとドライバーのことを考えられて造られています。

マツダが長年クルマ造りで意識してきた「人間中心の設計思想」に基づきシート、ステアリング、ペダルそれぞれの位置関係が適切なドライビングポジションを取れるように配置されています。


またメーター周りもタコメーターを中心に瞬時に必要な情報を読み取れるようなデザインとなっていて、マルチインフォメーションディスプレイの装備も相まって目線移動が最小限で済むようになっています。

トップグレード「RS」にはアルカンターラのレカロシートが装備され、ドライバーに高揚感を与えます。しかし、ステアリングのダイレクト感にこだわってきた歴代ロードスター。

2018年の改良で初めてテレスコピック調整機構が装備されました。人によっては改良前のロードスターでなかなかしっくりくるドライビングポジションが取れないという人もいるかもしれません。

実用性も配慮されたNDロードスターのラゲッジスペース

ラゲッジ容量は幌モデルが130L、RFが127Lとなっています。正直先代NC型よりも全長がコンパクトになったので、容量や実用面ではNC型に敵いません。しかし歴代ロードスターの中ではラゲッジスペースは「ある方」です。

実際にマツダはロードスターのトランクの売りとして飛行機内に持ち込み可能なサイズのキャリーバッグを2つ積めることをアピールしています。

日常使い程度でしたら支障がないトランクと言えます。

NDロードスターの限定モデル

歴代ロードスターがそうだったように、NDロードスターも多くの限定モデルが登場しています。ここでは魅力的な限定モデルを紹介。

2017年期間限定発売「クラシックレッド」

2017年1月に登場した限定カラー「クラシックレッド」は、同年2月末までの期間限定発売でした。「クラシックレッド」は初代NAロードスターにラインナップされたボディカラーで、当時メインカラーとして採用されていました。

そのためモーターショーや各種広告にこのカラーのNAロードスターが登場していたため、マツダロードスターといえばこのカラーを思い浮かべる人が多いのでは?

NDロードスターで期間限定販売されたクラシックレッドはこのクラシックレッドを最新技術で忠実に再現したものです。

2018年期間限定販売「RED TOP (レッドトップ)」

2017年末から2018年3月末まで販売された特別仕様車「RED TOP」。2017年に改良が行われた際に期間限定で登場しました。

この特別仕様車はダークチェリー色のソフトトップ、オーバーン(赤褐色)のナッパレザーシートのインテリアとなっていて、カタログモデルとは一味違うオシャレなカラーコーディネートとなっています。
2018年6月から同年末まで期間限定で販売されていた特別仕様車。2018年の改良時に期間限定販売で登場。

こちらもレッドトップと同じくオリジナルカラーの幌とインテリアという組み合わせで、ブラウン色の幌と、スポーツタンのレザーシートを備えたインテリアを採用。

2019年期間限定販売「SILVER TOP (シルバートップ)」

2019年12月から2020年3月末まで期間限定で販売されていた特別仕様車。2019年の改良時に期間限定販売で登場。こちらはグレーの幌を採用しています。

国内150台限定販売「30周年記念車」

2019年2月、マツダロードスター生誕30周年を記念した限定車が発表されました。専用色レーシングオレンジに身を包んだこの記念モデルは、専用のシートや足回り、ホイールが装備されました。

幌モデル、RF合わせて世界限定3000台と限られた台数が販売され、国内では150台限定販売となりました。

もちろん既に完売となっているのですが、将来も中古車市場で人気のモデルとなるでしょう。

2020年期間限定販売「100周年特別記念車」

マツダ創立100周年を記念して2020年7月から2021年3月末までの販売が予定されているのが「100周年特別記念車」。この記念車は国内で販売されているマツダ乗用車ラインナップに用意されます。

100周年特別記念車はマツダ初の乗用車R360クーペをモチーフにしていて、専用の各種加装が用意されるほか、全モデルボディカラーはスノーフレイクホワイトパールマイカで統一されます。

さらにロードスターはダークチェリーの幌が装着されます。

NDロードスターのメカニズム

近年のマツダの技術的ブランドイメージとも言える「SKYACTIV TECHNOLOGY」…それが投入された初めてのロードスターとなっており、ドライバーが運転を純粋に楽しいと思えるクルマに仕上がっています。

フロントミドシップのFR、50:50の前後重量配分…

このような歴代ロードスターが絶賛された部分は継承しつつ、環境に配慮しアイドリングストップ機構「i-stop(アイストップ)」、減速エネルギー回生システム「i-ELOOP(アイイーループ)」などを設定。

約100キロの軽量化を実現しながらボディ剛性の低下は感じられず、オープンボディながら必要以上のボディ剛性があると感じさせます。
またブレーキもポイント。軽量な車重ながら十分なストッピングパワーと自然なブレーキタッチを兼ね備えたブレーキを装備。

幌モデル、RF共に上級グレードにはオプションでブレンボ社製のキャリパー&ローターを装備することができ、見た目のアクセントとしても一役買います。

そして一番感動するのがステアリングフィール。

新しくなっても歴代ロードスター特有のステアリングフィールは健在なのですが、電動パワーステアリングを採用しながら油圧パワーステアリングのようなナチュラルなフィーリングを実現しているのです。

NDロードスターの欠点は…値段?

現行NDロードスターは自動車メディアでも一般ユーザーからも高い評価を受けているモデルです。そのため欠点は少ないと思われることも事実。

実際にそのクルマにとって欠点は人によりけりと言ってしまえばそれまでですが、NDロードスターの欠点を挙げるならば値段だと思われます。幌モデルで乗り出し価格300万円、RFで乗り出し400万円を見ておいた方がいいです。

もちろんその値段を出すだけの素晴らしさは持っているクルマですが、そうなると他のライバルたちも魅力的に見えてきます。
例えばトヨタ86。トップグレードで考えても大体乗り出し価格は350万円程度。下のグレードならもう少し価格を抑え300万円くらいから狙うことができます。

実用面でも速さでも86の方に軍配が上がります。そう考えると少しロードスターの価格設定は高価に思えます。

またスイフトスポーツなどより値段が安く走りも楽しいモデルがほかにもあります。「ロードスターが欲しい」ではなく「スポーツカーが欲しい」と思うなら、ほかのモデルを検討してみるのもアリです。

NDロードスターの中古車事情

2020年4月現在、NDロードスターでオススメの中古車はズバリ初期型。これはお買い得感という意味合いでオススメ。走行距離や状態にもよりますが、200万円から狙うことができます。

初期型でも比較的綺麗な個体が多いので予算200万円をクリアできるのならばオープンカーデビューを目指す方にオススメです。MT、ATによる価格差はあまりありませんが、ATの方が個体数は少なめです。



 
RFも初期型が250万円くらいから狙えてお買い得感があるとは言えますが、個体数が少なくボディカラーなど選ぶ自由がありません。色々と条件を絞っていくと新車価格も見えてきてしまいます。

また2018年の改良以降のものだとグッと値段が上がるのも事実。この改良はRFにとって大きなもの、買ってからやっぱり改良後のモデルがいいなと思ってしまうこともあるでしょう。

いまRFを買うなら新車をオススメします。中古車でRFを狙うのは時期尚早です。

現代的になっても失われない「ロードスター」というアイデンティティ

値段の面でトヨタ86と比較したりしましたが、きっとロードスターを購入するオーナーは「FRだから」「スポーツカーだから」というよりは「ロードスターだから」という理由で購入する方が多いはず。

少なくとも世のロードスターオーナーを見るとそう感じます。現代に合わせて安全装備が進み、ドライバーに優しくなってもスタイリング、ドライブフィールどれをとってもNDロードスターは紛れもなくロードスターなのです。

現代のクルマの中では老若男女だれが乗っても絵になると感じさせるモデルなので、オープンカーの世界が、ロードスターの世界が気になった人は、まずは試乗してみることをオススメします。

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