ホンダ グレイスの上質な乗り心地に迫ってみました!

ホンダ グレイス

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ホンダ グレイスは、2014年に登場した3代目にあたるホンダ フィットハイブリッド(GP5/6型)をベースにした5ナンバーサイズのコンパクトなハイブリッドセダンです。グレイスは、2009年に販売を終えたフィット アリアの後継ともいえますが、フィット アリアと比べて優れた走行性能を備えており、ユーザーから高評価を得る乗り心地を実現しています。

今回は、ホンダ グレイスの乗り心地について着目し、その裏側にまで迫ってみました。

文・PBKK
Chapter
グレイスってどんなクルマ?
グレイスの乗り心地を高めるホイールベース
グレイスのワンモーター式パワートレイン SPORT HIBRID i-DCD
グレイスは静かな乗り心地を実現する
グローバルモデルだったグレイスには本来的に資質があった!?

グレイスってどんなクルマ?

コンパクトカーの取り回しの良さと上級セダンの安定した走りを兼ね揃えたホンダ グレイス。コンパクトサイズな車内には、高級感の溢れるラグジュアリーな空間が広がっています。グレイスはホンダの広報資料によると、2014年12月発売後の約2ヶ月にあたる2015年1月31日に、受注台数が累計で1万台を超えるヒットを記録

当初、ホンダが計画したグレイスの販売目標である3,000台を超える月の2倍ほどの受注を受けて好調なスタートを切り、ホンダとして久々の小さなセダンが、市場に好評な状態で迎えられました。2015年6月には、ガソリンモデルも追加されました。

グレイスの乗り心地を高めるホイールベース

ホンダ グレイスは、最小回転半径5.1mの小回りの利くコンパクトボディが魅力です。しかし、車体寸法・全長4,450mm×全幅1,650mm×全高1,475mm(1,500mm/4WD)の5ナンバーサイズには、奥行きを感じる3BOXセダンが収められています。

その理由は、ホイールベース。グレイスのホイールベースは2,600mmとフィットと比べて、70mmも延長されました。そのため、室内寸法・室内長2,040mm×室内幅1,430mm×室内高1,230mmと開放的な室内が広がっています。

ロングホイールベースの恩恵は、特に後部座席が受けています。前後席にもたっぷりとした距離間隔が保たれ、足をゆったり伸ばすことができます。フィットと比較し、500mmほど延長された全長は、ラゲッジスペース(荷室)にもあてられているので、トランクも広大です。

ロングホイールベースは、室内を広げただけではなく、走行の面でも安定感があり、グレイスの乗り心地に大きな影響を与えています。

グレイスのワンモーター式パワートレイン SPORT HIBRID i-DCD

グレイスに搭載するパワートレーン(動力伝達装置)は、フィットやヴェゼルのハイブリッド車にも搭載したワンモーター式の「SPORT HIBRID i-DCD」を採用しています。JC08モード燃費は、ふたつの「HYBRID DX」「HYBRID LX」グレードのFF車で34.4km/Lの好燃費を達成

上級グレード「HYBRID EX」FF車で31.4km/Lとなり、HVの4WD車は全グレード29.4km/Lを記録しました。さらに、ハイブリッドのパワーコントロールユニット(PCU)を小型化したことで、ハイブリッドモデルであっても「トランクスルー機構」を備え、荷室アレンジが極めて多彩となった点がユーザーから高評価を得ています。

また、追加となったガソリン車は1.5LのL15B型直噴式を搭載。高出力・高トルクとJC08モード燃費で21.8km/Lの低燃費を両立しました。

グレイスは静かな乗り心地を実現する

グレイスの魅力の1つとして挙げられるのが、室内の高い静粛性です。同時期に同社から販売されている3代目のフィットハイブリッドモデルは、コンパクトカーとして合理的なボディ形状の5ドアハッチバック。

しかしこの収納や快適機能などのユーティリティーに優れたボディ形式は、後輪側アクスル付近からの騒音の侵入が避けられない問題とされています。

インテリアスペースとラゲッジルームが一体化したハッチバック式ボディレイアウトは、FFコンパクトカーの基本レイアウトですが、後輪タイヤの発するパターンノイズやリヤアクスルの発する騒音が直接室内に入ってくることが避け難い構造なのです。

このため、グローバルでFFハッチバック車のベンチマークとされるVWゴルフでさえ、派生モデルとして幾度も4ドアセダンをリリースしてきました。

最近の例を挙げるなら、メルセデスAクラスやアウディA3などが好例です。コンパクトなクルマながら、上質な乗り味と静粛性を付加しようとすると、セダンボディに行き着くということなのでしょう。

ホンダ グレイスもまた同様に、長いホイールベースの四隅で動く前マクファーソン式、後トーションバーのサスペンションは、ダンパーの減衰力だけで余計な動きを抑え込もうとせずに、ゆったりストロークさせ安定感を保つサスペンション特性を持っています。これが独特の乗り心地を提供。前後席を問わない快適な乗り心地を提供します。

グローバルモデルだったグレイスには本来的に資質があった!?

そもそもコンパクトセダンであるグレイスは、日本においては5ナンバーサイズのまったくの新規モデルでした。しかしグレイスは、国際的な視点の中では、ASEAN、南アジアでは「CITY(シティ)」のモデル名で売られている重要な戦略モデルです。

ただ、アジア向けモデルを日本でそのまま売っても商品力不足だということは、当然ホンダも理解していたため、パワートレーンを特別なモノに変更しました。1.5Lのアトキンソンサイクルエンジン電気モーターを組み込んだパラレル型ハイブリッドシステムを与え、ハイブリッド専用車としてリリースしたのです。

グローバルカーとしての基本にグレイスの乗り心地の基本がありそうです。コーナー手前の制動でノーズの沈み込みは、確かに大きく感じますが、クルマの荷重移動はスムーズで、しなやかにコーナーを駆け抜けることができます。

ここで効いているのがロングホイールベースです。ホイールベースは短いほどシャープなハンドリングレスポンスが得られやすくなりますが、一方で前後およびダイヤゴナル方向の不快なピッチングが抑えにくくなります。グレイスがフィットに較べて乗り心地が良いとされる理由がここにもあるようです。
グレイスが属するBセグメントセダンは、日本では需要が高いとは決して言えませんが、グレイスのスムーズなパワートレーン、広い後席空間と上質なインテリア、34.4km/Lの優れた燃費、上質な乗り心地と高い静粛性など、ホンダがグローバル市場に向けた意欲作と言える資質を備えています。
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