悲運?幸運?販売終了後に高く評価がされたクルマたち5選!

悲運なのか幸運なのか、新車販売時は評価が低くても中古市場で高い評価を受けるクルマたちが存在します。今回はそんなクルマを5台ピックアップ!中には中古市場に台数が少ないモデルありますので、この記事を読んでほしいと思ったら急いで中古市場をチェック!

文・西川 昇吾

Chapter
いすゞ・ビークロス
ホンダ・エレメント
マツダ・RX-8
三菱・FTO
トヨタ・IQ
「冒険」からスマッシュヒットが生まれることもある

いすゞ・ビークロス

いすゞ ビークロス コンセプトモデル

まずご紹介するのはいすゞのビークロス。いすゞと言えばトラック専門のメーカーというイメージしか無いかもしれませんが、2002年までは乗用車も製造販売していました。そんないすゞの乗用車ラインナップの中でもビークロスは異色の存在で、現在でも根強いファンがいます。

まず特徴的なのがそのエクステリアスタイル。1997年に登場したこのモデルですが、1993年に発表されたコンセプトカーそのままと言って良いエクステリアデザインで市販化されました。

2ドアで豪華装備のSUVであるビークロスは今人気の高いスペシャリティSUV・パーソナルSUVの先駆けとも言えるでしょう。もしSUVブームが早く来ていればビークロスの運命は、そしていすゞ乗用車部門の運命は違っていたかもしれません。

ホンダ・エレメント

ホンダ エレメント

2002年にアメリカで販売され、2003年から国内販売が開始されたエレメントですが、国内では僅か2年余りしか販売されませんでした。エレメントは無塗装の樹脂パーツを使用したエクステリアや、観音開きのドアが特徴的でアメリカでは若者を中心にヒット作となりました。

しかし当時の日本市場では若干大きなボディサイズ(全幅1,815mm)や無骨なデザインが受け入れられなかったようです。日本で販売された経緯やコンセプトが似通っているトヨタのFJクルーザー(2010年末国内販売)が一定の成功を収めたのを考えると、SUVブーム前夜とも言える時代に国内販売されたエレメントは早すぎた1台と言えるでしょう。

事実、中古市場での人気は高いらしく、15年以上前のモデルながら状態が良ければ高値で取引されているようです。

マツダ・RX-8

マツダ RX-8 (北米仕様)

2020年現在、最後のロータリーエンジン搭載車となっているRX–8。それもあり今では人気の高いモデルの1台ですが、2003年の登場当初は「パワーがない」「スポーツカーなのに4ドアの4人乗り?」という声も上がっていました。

ロータリーターボエンジンを搭載し、国内最速クラスの速さを誇ったRX–7の生産が終了した後に登場したため、世間からそのような評価を受けてしまいました。しかし、当時のマツダは様々な制約もある中でRX–8を世に送り出したのも事実。

他社と比べると速さで見劣りしてしまうかもしれませんが、ハンドリングとエンジンの気持ちよさは天下一品!この気持ちいいドライビングフィールとスポーツカーとしては高い利便性が現在の人気の理由の一部となっています。

三菱・FTO

三菱 FTO

1994年登場のFTOはデビュー当時の評価が高く1994年にカーオブザイヤーを受賞したほど。そう聞くと今回の企画にマッチしないのでは?という声も聞こえてしまうかもしれませんが、FTOがスマッシュヒットとなったのはデビュー当時のみ、1996年から販売台数は右肩下がりとなっています。

というのも当時の日本車はまだまだスポーツカーが元気だった時代。2LのV6エンジンを搭載し、FF最速の呼び名を欲しいままにしたFTOも翌年に登場したホンダインテグラタイプRを前に惨敗を喫します。

魅力的な1台ではあるものの、走りに重きを置くユーザーにとっては重たいV6エンジンと、良いとは言えない整備性は敬遠されてしまいます。(スポーツATであるINVECS-IIを売りにしていたのも走りのイメージが薄くなってしまった原因の1つでしょう)

2000年に生産終了してしまいますが、このクラスでV6という希少性やエクステリアデザインがマニアに評価され、中古市場にて高値で取引されることもあります。

トヨタ・IQ

トヨタ IQ

2008年にデビューしたIQは軽自動車よりもコンパクトな全長で自動車業界を驚かせました。全長3m以内のコンパクトなボディーに搭載されるエンジンは1.0もしくは1.3Lのガソリンエンジン(国内仕様)なので、こんなコンパクトなボディーでも普通乗用車での登録となります。

スマートフォーツーなどに対抗するマイクロカーとして開発されたIQでしたが、コンセプトは他とは若干異なっており、スペシャリティ性もある上質なマイクロカーとして造られました。しかしその上質なマイクロカーという点がIQを生産終了に追い込んだ原因でもありました。

一般的なコンパクトカーに比べると内装や装備面の妥協が少なく、あまりにもコンパクトなボディーは安全性を高めるために衝撃安全ボディーを採用し、合計9個のエアバッグが標準装備されました。

そのため車両価格は決してお買い得とは言えないものに…実質的には同社コンパクトカーのヴィッツよりも高くなってしまい、コンパクトな移動手段を求めるユーザーにはランニングコストがリーズナブルな軽自動車があったため、IQは市場には受け入れられませんでした。

コンパクトなボディーに配置されたエンジンとミッションは世界のトヨタが本気で開発したことが見受けられ、豪華な装備から「小さな高級車」としてカーマニアの間では高い評価を受けています。

「冒険」からスマッシュヒットが生まれることもある

今回は残念ながら新車販売時に評価されなかったクルマたちを取り上げましたが、彼らがいなければ今日の定番車が生まれなかったのもまた事実。自動車メーカーはコンセプトを模索しながら、時々「冒険」したコンセプトのモデルを出します。

その中からスマッシュヒットや後の人気ジャンルが誕生したりするのです。今後もどんな「冒険」があるか楽しみにしていきましょう!

西川 昇吾|にしかわ しょうご

1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。過去にはコミュニティFMのモータースポーツコーナーにてレギュラー出演経験あり。「書くこと、喋ることで自動車やモータースポーツの面白さを伝える」ことを目標とし、様々なジャンルのライティングや企画に挑戦中。

西川 昇吾|にしかわ しょうご