シルビアのようなペタンコ車はもう売れない、は嘘?いまでも人気なわけとは?

日産 シルビア S13

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「ルーフが低くてペタンコなクルマは売れない」と、各メーカーが一斉に販売をやめてしまった時期があります。しかし、人気のクロスオーバーSUVは、スタイリッシュなラインを形成するルーフを持っています。また中古車では、ロールーフ車が相変わらずの人気ぶりなのです。
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昔は多かったルーフの低いペタンコなクルマ
かっこいいけど狭い!?
時代はSUVブームに突入!

昔は多かったルーフの低いペタンコなクルマ

2017年現在、どんなジャンルでも、わりとハイルーフなクルマが多いのですが、1990年代まではルーフの低いクルマが人気でした。

当時は、路面状況の悪さに合わせて柔らかいサスペンションが主流で、かつ最低地上高の高いクルマが多く、タイヤもハイトの高いものが主流でした。そのため、各社とも主力となる車種はなるべく車高を低くしたかったのですね。

また、スポーツカーと言わずにセダンでもルーフの低いクルマが当たり前になっており、1980年代のトヨタのマークII 3兄弟や日産 ローレルでその傾向は顕著になりました。
 
その流れで1980年代後半から1990年代前半にかけて大ブームになったのが、トヨタ カリーナEDに端を発するピラーレス4ドアハードトップ。Bピラー(フロントドアとリアドアの境目の柱)が無いうえに、ルーフが低いデザインは「4ドアなのにスポーティ」と初期はものすごく大ヒット。

トヨタは、コロナExivやカローラ セレス/スプリンター マリノ、日産 プレセア、マツダ ペルソナ、三菱 エメロードなど、同種のクルマが多数登場し、一部はツーリングカーレースなどでも活躍したのでした。

4ドアセダンですらそのような状態でしたから、スポーツカーはもとよりコンパクトカーも、ホンダの2代目シティやダイハツ シャレードなど、各社ともクロカン4WDや1BOXカー、当時は数少なかったミニバン以外は、背の低いクルマばかり作っていた印象です。

その反動もあってか、その頃からハイルーフのクルマが登場します。ホンダの初代シティなどはその代表格でしたが、それでも現在の一般的なコンパクトカーより見た目はともかく、実寸では低かったりします。

かっこいいけど狭い!?

しかし、1990年代も半ばを過ぎると、ユーザーは突然「ウチのクルマは狭い!」と感じ始めました。

クロカンブームに続いて1990年代半ばに到来したステーションワゴンブーム、ミニバンブームで、ユーザーが「室内が広くてスペース効率のいいクルマは便利」ということを知ってしまったのです。

それまで、ボディ剛性不足を指摘されつつスタイルだけで人気だった4ドアピラーレスハードトップは、もれなく全車揃って不人気車に転落し、慌てたメーカーは、1990年代終わりからルーフを高くデザインします。

コンパクトカーや軽自動車も、1993年に登場したスズキ ワゴンRの爆発的ヒットでハイルーフ時代に突入し、以降いくつかロールーフ車も登場するものの、オープンスポーツを除いてすべて不人気車となりました。

スポーツカーは、このような流れのなかでも闇雲にロールーフ化すれば性能が下がるどころか、スポーツカーそのもののアイデンティティに関わるので従来のままでしたが、それでも容赦無かったのが各自動車メディア。新型スポーツカーが出るたびに「狭い」「不便」を連呼していたという、ちょっと信じがたい時代だったのです。

各メーカーは、販売台数が激減したスポーツカーを維持できなくなり、なんとか販売台数を維持できていたマツダのロードスターやロータリースポーツセダンのRX-8や、ホンダ S2000を除けば、排ガス規制をキッカケにして次々と消えていくのもやむなしという風潮でした。

時代はSUVブームに突入!

マツダ ロードスターのほか、トヨタ 86/スバル BRZが復活したり、軽自動車でもコペンやS660のように趣味車のジャンルで細々と続くしかなかったロールーフ車ですが、2010年代に入ると新しい流れが出てきました。

それが乗用車をベースに最低地上高を上げたクロスオーバーSUVです。当初は、ホンダ CR-Vやトヨタ RAV4といったなんちゃってクロカンルックだったのですが、トヨタ ハリアーを発端としてルーフの低いスタイリッシュなクロスオーバーが流行り始めます。さらに、リアに向けてなだらかにルーフが下がっていくクーペルックのクロスオーバーSUVへと続きます。

”車高は上げたい、でもスポーティーなほうがいいからルーフは下げたい”という相反する要望に応えた結果ですが、輸入車を除けばスポーツカー絶滅状態だった日本でもホンダ ヴェゼルなどがクーペルックのクロスオーバーSUVとしてヒットし、マツダの新型CX-4も日本市場への早期導入が望まれています。

巡り巡って「車体はロールーフな方がスポーティ」という時代に回帰しつつあるわけですが、使い勝手に制約の多いスポーツカーは復権できていません。

結果として、わずかながらも残っている”ペタンコなロールーフのスポーツカー”を買い求める層は、廃盤から10年以上経った国産の安価な中古車、もしくは海外の高額なスーパースポーツという選択肢のみ残された状態です。

今後、ロールーフのスポーツカーが発表されても、価格が300万円を下らないとなれば、皮肉なものですが、ロールーフ車はおそらく中古車全盛期が続くでしょう。

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