古い車の税金が高くなるのはなぜ?日本の自動車税の仕組みを解説!

日産 リーフ 2018

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近年、環境性能を売りにしたモデルが多数販売されており、かつての馬力戦争は環境性能にとって代わられた感もあります。そんな中で古いクルマには課税を増やす、そんな施策がここ日本では行われており、反発の声も多くあるのが事実です。

文・YOSHIT

YOSHIT

しがない古物商。中古車をたまに販売。愛車遍歴は、いすゞPAネロ、ホンダZ360、ランチア・デルタ・インテグラーレ16V、アルピーヌ・ルノーV6ターボ等々、一貫性もなく。現在はルノー・ルーテシア(CLIO4 120TCe)、KTM RC250(2輪)が愛車。旧車、ラテン車に目がないオッサンです。

YOSHIT
Chapter
13年経過すると税金が上がる日本の税制度
13年で増税の根拠、そして国の目的とは
欧州では古い車は文化として尊重されている
エコカーは本当にエコなのか

13年経過すると税金が上がる日本の税制度

日本は欧米諸国と比較すると極めて高い税制度となっているのを御存知の方も多いと思います。また法改正によって、新規登録から13年経過したクルマの税金はさらに上がる制度となってしまっており、旧車を愛する方々から多くの不満の声を聞きます。

また旧車どころか2019年現在においては、2006年モデルのクルマも13年経過ということになり、自動車税が重課されます。これくらいの年式のクルマは現在でも沢山走っておりますし、故障も少なく安心して乗れるものがほとんど。

それに旧車とは呼べませんよね?ではなぜ、このような税制度を国はとったのでしょうか。

13年で増税の根拠、そして国の目的とは

まったくもって不可解な13年経過の増税ですが、この根拠について総務省の見解は、平成13年に国会で議論となった際、当時の車の保有期間10年に車検の3年(2年)を加えた数字、という根拠としたようです。

この施策が実施されたいきさつには、やはり環境問題が重視されるようになった世相にあります。確かにCo2を排出する以上、クルマも地球温暖化の一因として認識されており、環境性能に優れたクルマへの乗り換えを喚起させるための施策の一環として実施されました。

2000年代に入ってから、ハイブリッド・電気自動車EV・燃料電池車FCVなど、環境性能に優れるモデルが次々に発表され、現在もその傾向は続いています。内燃機エンジンの製造中止を決議する国も増えてきており、いわゆるEVシフトは確実に進んでいるのも事実です。

ともなって、こうした環境性能に優れたモデルに対しては「エコカー減税」に加え、購入時の補助金など、手厚い補助プログラムも用意されており、国策としてエコカーへのシフトが進められていると痛感します。

いわば、13年経過の重課税分はこうした補助金の財源となっているわけです…正直、クルマのエンジンフィールを愛する私たちにとってはアゲインストな時代になってきているのが現状なのです。

欧州では古い車は文化として尊重されている

日本は前述のような状況ですが、欧州では旧車は逆に減税されるなど、文化遺産としてのリスペクトが税制度にも表れています。

自動車大国ドイツでは、30年以上経過したモデルで一定の条件(安全性・改造していないなど)を満たしていれば「Hナンバー」を取得でき、税金や車検などで大幅な優遇を受けることができます。

また英国では1973年以前のクルマは自動車税免除になるなど、日本では考えられない施策がとられています。

確かに温室効果ガス・Co2の削減は未来のために取り組まなければならない大きな課題ですが、クルマ文化を尊重するこうした配慮ある施策が日本にもあっていいのではないか、と多くのヒストリックカーオーナーは感じていることと思います。

エコカーは本当にエコなのか

確かに、13年前のガソリンエンジンのモデルと比して、環境性能でいえば現在のモデルたちの方が格段に優れているのはいうまでもありません。しかし、その製造過程で発生するCO2も莫大なものといえます。

製造ラインの構築や、パーツの製造等々…人気のエコカーが乗り換え需要で大量に生産される都度、CO2は発生していく計算になります。それはEVであっても同様であり、充電で使用する電力は原発が稼働していない現在、火力発電によって賄われているところが大きいのです。

古いクルマをある程度乗り続けた方が、トータルでの温室効果ガスは少ないのかもしれません。ただ、そこには雇用・経済といった複合的な課題も介在するため、なんともいえない部分もあるのも事実です。

少し環境問題にも触れました。いずれにせよ、上記のような理由から旧車乗りにとってはつらい状況といえる税制度が続きそうです。

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