リコールとは?安全を守るための制度概要

リコール 手紙

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愛車のリコールお知らせ通知が届いた経験はありますか?お知らせ通知には、どの部分がリコール対象になっているのか記載してはいるものの、重大なものではなければつい後回しにしがちです。リコールは重大なものから軽いものまで様々ですが、早めに対処しておくことが大切です。

今回はリコール通知が届いた場合の対処方法をご紹介します。

CARPRIME編集部

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Chapter
リコール制度とは?仕組みと基礎知識をやさしく解説
対象となる車と製品
ユーザーへの通知フロー
年間リコール件数の推移
自分の車がリコール対象かチェックする3つの方法
リコール通知が届いたら何をする?すぐ取るべき3ステップ
車検証と通知書を手元に用意
リコール修理の料金・時間・内容を完全ガイド
費用:完全無料で受けられる理由
作業時間:30分〜数日までの目安
主な修理・アップデート内容
リコールを放置する危険性|法的リスクと車検不合格の可能性
法律面:ユーザー責任と賠償リスク
安全面:重大事故を招く可能性
車検面:未改修だと不合格も
ディーラー予約のコツと入庫時の準備チェックリスト
リコール対応でよくある質問Q&Aと誤解の真実
過去の大規模リコール事例から学ぶ安全対策
世界最大規模:タカタ製エアバッグ問題
ハイブリッド車:トヨタ・プリウス他の制御不具合
教訓:三菱自動車のリコール隠し
【まとめ】リコール対応で愛車と安全を守るポイント

リコール制度とは?仕組みと基礎知識をやさしく解説

対象となる車と製品

リコールは新車・中古車を問わず適用され、タイヤやチャイルドシートなど車本体以外の製品にも及ぶ場合があります。購入先に関係なく、すべてのユーザーが平等に無償修理を受けられます。

ユーザーへの通知フロー

メーカーは国土交通省へ欠陥を報告後、リコール対象車のユーザーに郵送(ハガキ)やメール等で通知します。通知先は車検証に登録された住所なので、住所変更した場合は速やかに登録情報を更新することが重要です(情報が古いと通知が届かない恐れがあります)。

年間リコール件数の推移

リコールは珍しいことではなく、毎年多数発生しています。たとえば2023年度には349件のリコール届出があり、計810万台以上もの車両が対象となりました。近年は部品の共通化により一件の不具合で大規模リコールに発展しがちで、リコール届出は高い水準で推移しています。

リコール=「欠陥車」と思われがちですが、実際にはメーカーが安全確保のために迅速に対応している証拠でもあります。不具合箇所が見つかった際にリコール対応してくれるおかげで、私たちユーザーは安全な走行を続けられるのです。

リコール通知を受け取ったら正しく対処し、安心してカーライフを送りましょう。

自分の車がリコール対象かチェックする3つの方法

1. メーカー公式サイト・アプリで検索 

各自動車メーカーのWebサイトには、リコール情報検索ページがあります。車台番号(VIN)を入力すると該当車がリコール対象か検索可能です。定期的に公式サイトをチェックすれば、通知ハガキより早く情報を得られる場合もあります。


2. 国土交通省リコール情報データベースを活用 

国土交通省の公式サイトでも随時リコール届出情報が公開されています。メーカー横断で検索でき、過去の不具合情報や事故に起因するリコール事例も閲覧できます。公式サイトで直接確認することで見落としを防ぎましょう。


3. 通知ハガキ・メールを見逃さない 

一番わかりやすい方法は、自宅に届くリコール通知ハガキを見ることです。メーカーは登録された所有者宛てに郵送で通知します。ただし住所登録が古いと届かないため注意が必要です(中古購入車で前オーナーの情報更新がされていない場合も同様です)。もし通知が届かない場合でも、自分で上記サイトを確認する習慣をつけることが重要です。


豆知識: ハガキを紛失してしまっても大丈夫です。メーカーやディーラー側では車台番号などから未修理の車両を把握しており、ハガキがなくてもリコール対応は可能です。

これらの手順が一般的な流れとなります。もし、リコールの対象となった場合には、このような手順で対応しましょう。

リコール通知が届いたら何をする?すぐ取るべき3ステップ

車検証と通知書を手元に用意

  • 車検証と通知書を手元に用意

    結論:リコールの通知を受け取ったら、できるだけ早くディーラーに連絡して修理の予約を取りましょう
    通知を放置せず、まずは電話やウェブ予約でディーラー(メーカー系販売店)に連絡します。予約なしでいきなり車を持ち込んでも、他の予約で作業できない場合があるためです。
    特にリコール発表直後は全国で対象車が一斉に持ち込まれる傾向があり、予約が埋まりやすくなります。面倒に感じても、通知が来たらすぐ予約――これが安全・スムーズに対処するコツです。
    連絡する際は車検証を手元に置き、車台番号や型式が言えるようにしておくとスムーズです。通知ハガキがある場合は記載のリコール内容番号なども伝えられるようにしましょう。

  • ディーラーと入庫日時を決める

    ディーラーと相談し、入庫日と時間を決めます。リコール内容によっては部品取り寄せが必要な場合もあるため、「○○日以降で」と案内されることもあります。

  • 作業時間を確認し代車を予約

    修理に時間がかかる場合、代車(貸出車)が必要か検討します。作業内容によっては数時間~数日かかるケースもあるため、予約時に作業時間の目安を確認し、必要なら代車をお願いしておくと安心です。

リコール修理の料金・時間・内容を完全ガイド

費用:完全無料で受けられる理由

リコール修理の費用は全てメーカー負担で、ユーザーの支払いは一切ありません。これは法律で定められており、購入から何年経過した車でも期限なく無償対応してもらえます。
仮にリコール修理後に同じ不具合が再発した場合でも、再度無償で修理されるケースがあります。費用面の心配は不要なので、安心してディーラーに預けましょう。

作業時間:30分〜数日までの目安

修理にかかる時間はリコール内容によって様々です。比較的簡単な作業なら短時間で終わりますが、部品交換や台数の多いリコールでは数時間~数日かかることもあります

ディーラーで予約時に「作業時間の目安」をぜひ確認してください。長時間かかる場合は代車を手配するなど、スケジュールに余裕を持たせましょう。

主な修理・アップデート内容

基本的には欠陥箇所の点検・交換が行われます
例えば不具合部品の新品への交換や、ソフトウェアの不具合なら制御プログラムのアップデート対応などです。メーカーやディーラーは安全確認のプロですので、指定箇所以外にも関連部分のチェックを同時に行ってくれる場合があります。普段の点検では見つからない不具合を発見できる機会でもあるため、積極的にリコール対応を受けておく方が得策とも言えます。

リコールを放置する危険性|法的リスクと車検不合格の可能性

法律面:ユーザー責任と賠償リスク

万一リコール対象部分が原因で事故が起きた場合、「欠陥があったのだからメーカーの責任では?」と思うかもしれません。

しかし実際には、通知された改善措置(リコール修理)を怠ったユーザー側の責任と見なされる可能性があります。日本の道路運送車両法では「ユーザーは自分の車を保安基準に適合する状態に維持する義務」があり、リコールで指摘された不具合を放置して事故を起こせば整備不良と同等に責任を問われることがあるのです

安全面:重大事故を招く可能性

リコール対象だからといって今すぐ車が壊れるわけではありません。しかし不具合を抱えたまま走り続けるのは、常にリスクを背負って運転するようなものです。欠陥が重大な場合、最悪は走行中に故障や制御不能となり重大事故につながる可能性も否定できません。実際、過去にはリコール放置が原因で事故・火災に発展したケースもあります。

幸い通知が来ているのであれば、「大きな事故になる前に直せるチャンス」と捉えてください。

車検面:未改修だと不合格も

リコール内容によっては、そのままでは車検に合格できなくなる場合があります。保安基準に関わる重要部品(ブレーキやライト、エアバッグ等)がリコール対象になっている場合、修理せずに車検を受けても不合格となる可能性が高いのです。代表的な例がタカタ製エアバッグの欠陥問題で、リコール未対策の車両は法律で車検不合格とされる措置が取られています。

ディーラー予約のコツと入庫時の準備チェックリスト

  • 購入店以外のディーラーでも対応可能:

    リコール修理はメーカーに責任があるため、どのディーラーでも無償対応してもらえます。たとえ購入したお店が異なっていても心配いりません。お近くのメーカー系ディーラーに連絡しましょう。
  • 指定整備工場で直せるケースも:

    自社ディーラー以外にも、メーカーと提携した指定整備工場で対応可能な場合があります。お持ちの車が指定工場で買った中古車なら、そちらでリコールを実施できるケースもあります。不明な場合は販売店に相談してみてもよいでしょう。
    ただし一般的な中古車販売店では対応できないことが多いので、基本はディーラーでの対応となります。
  • 必ず事前予約して待ち時間を短縮:

    連絡もなしに突然行ってもすぐ対応できないことがあります。必ず事前予約を心がけましょう。特に大規模リコール時はディーラーも修理対応に追われます。予約しておけば長時間待たされる心配も減ります。
  • 当日の持ち物チェックリスト:

    ディーラーから案内があると思いますが、車検証、リコール通知書(ハガキ)などは持参するとスムーズです。車検証があれば車台番号等で対象か確認できますし、ハガキに記載のリコール番号がわかると話が早いでしょう。
  • 代車サービスの有無を確認:

    修理に時間がかかる場合、ディーラーによっては代車を無料で貸してくれることがあります。必要であれば予約時に相談しましょう。特に生活で車が必須の場合は、代車提供の有無を確認しておくと安心です。
  • リコール通知が届くよう住所を更新:

    繰り返しになりますが、所有者情報(住所・氏名)の最新化は重要です。引っ越し等で車検証の住所変更を怠るとリコール通知が届かなくなります。ディーラーに依頼するか運輸支局で手続きを行い、常に最新情報にしておきましょう。

リコール対応でよくある質問Q&Aと誤解の真実

Q. リコール修理にお金はかかりますか? 

A. いいえ、費用は一切かかりません。 リコール作業はすべてメーカー負担で行われ、部品代・工賃ともに無料です。支払いを求められることは基本的にありません。

Q. リコール対応に期限はあるのですか?

 A. 公式な期限はありません。 リコールは通知後何年経っていてもメーカーが無償で対応します。過去に「数年間放置していたが対応してもらえた」という例もあります。ただし安全のため早めに修理するに越したことはありません。

Q. 修理にはどれくらい時間がかかるのでしょう?

A. 内容により異なります。 簡単な作業なら1時間以内、複雑な交換作業では半日~数日預ける場合もあります。ディーラーに予約する際にだいたいの所要時間を確認できます。長くかかる場合は代車利用も検討しましょう。

Q. 通知ハガキを失くしたらどうすればいいですか? 

A. ハガキがなくても問題ありません。 ディーラーは車検証の情報からリコール対象か確認できますし、修理履歴も管理されています。ハガキなしでも遠慮せずディーラーに連絡してください。

Q. 中古で買った車でもリコール修理できますか?

 A. もちろん可能です。 リコールは車そのものの欠陥対応なので、オーナーが変わっていても無料修理の対象です。中古車の場合、購入前にリコール未対応箇所がないか販売店に確認すると良いでしょう。前オーナーのまま登録情報が更新されていないと通知が届かない可能性もあるため、購入後はオーナー情報変更の手続きを忘れずに。

Q. リコールを直さずに車を売ることはできますか?

 A. 可能ですが、売却前に直すことをおすすめします。 買い取り業者によっては未対応リコールがあっても査定額は大きく変わらないと言われますが、結局その車は後で修理が必要です。安全面からも、時間が許すなら修理を済ませてから売却しましょう。なおリコール未修理のまま名義変更すると、新しい所有者宛に通知が届くようになります。

Q. リコール対応と通常の点検・車検は同時にできますか? 

A. はい、同時に実施するのが一般的です。 特にディーラーで車検を受ける場合は、予約時に申し出ておくことで、車検整備とリコール修理を一度の入庫でまとめて行ってもらえます。その方が効率的ですので、車検が近い場合はディーラーに相談してみましょう。 民間整備工場で車検を受ける場合、リコール修理は原則としてディーラーで行う必要があります。その際は、車検を受ける工場とディーラーの両方に段取りを相談することをおすすめします。

過去の大規模リコール事例から学ぶ安全対策

世界最大規模:タカタ製エアバッグ問題

自動車部品メーカー「タカタ」製エアバッグのインフレータ(膨張装置)不良により、エアバッグ作動時に金属片が飛散して死傷事故が発生しました。世界中で数千万台規模のリコールとなり、問題が深刻なため日本では未修理車は車検不合格とする措置が取られています。史上最大級のリコールであり、2020年代まで対応が続いた事例です。

ハイブリッド車:トヨタ・プリウス他の制御不具合

2018年、トヨタはプリウスを含むハイブリッド車約243万台を世界的にリコールしました。原因はハイブリッドシステムの制御プログラム不具合で、最悪の場合走行不能になる恐れがあったためです。トヨタほどの大手でもこのような大規模リコールがあり得る一例で、ソフトウェア更新による改善措置が行われました。

教訓:三菱自動車のリコール隠し

少し古い例ですが、三菱自動車は一部欠陥のリコール届け出を意図的に怠っていたことが2000年頃に発覚し、社会問題となりました。ハブ破損やクラッチ不具合などが隠蔽され、事故も発生しています。この事件以降、メーカー各社のリコール対応はより厳正になり、国交省の監督も強化されています。

【まとめ】リコール対応で愛車と安全を守るポイント

突然届くリコール通知は驚くかもしれませんが、適切に対処すれば安全なカーライフを維持できます。 この記事ではリコール対象となった場合の手順と、放置した場合のリスクをご説明しました。リコール対応は思っているより簡単で、私たちの安全を守るための重要なステップです

リコール通知を受け取ったら早めに対応しましょう。 電話一本で予約でき、あとは無料で修理を受けられます。対処を先延ばしにせず、「安全を取り戻すチャンス」と捉えて積極的に修理に出すことが肝心です。もし住所変更などで通知が届かないと困るので、引っ越し時には車検証の登録情報も忘れず更新しておきましょう。

最後に、リコール対応そのものはユーザーにとって負担の少ないものです。費用負担はなく、内容によっては車をチェックしてもらう良い機会にもなります。何気ない一つの改善措置が、あなたやご家族の命を守るかもしれません

大切な愛車の安全を保つため、リコールが発生した際は今回紹介した対処法を参考に、落ち着いて行動してください。安心・安全なドライブをこれからも続けられるよう、リコール制度を上手に活用していきましょう。
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