なぜリコールは起きるのか?未然に防ぐことはできないの?

トヨタ ケンタッキー工場

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自動車メーカーは新車開発の際、長い時間をかけて、考えられる様々な状況下での走行テストや極端な温度状況下での動作テスト、安全性を確認する衝突テスト、販売モデルに近いテスト車両での長期間に及ぶ公道走行などを経て、我々ユーザーに販売されます。しかし、それでも後から判明する不具合。それが報道番組などで度々取り上げられる「リコール」です。このリコールが起こる原因、そもそもリコールを未然に防ぐことはできないのか考察してみました。

文・栗原淳
Chapter
リコールとは?
なぜリコールは起きるのか?
未然に防ぐことはできないの?

リコールとは?

リコールとは道路運送車両法に基づいた制度の1つです。「設計や製造段階を原因とする不具合が特定の自動車に発見された場合、道路運送車両法第63条の3に基づき、自動車メーカーもしくは輸入業者が国土交通大臣に届け出て、該当製品を無料で修理する制度」です。

1969年に運輸省(国土交通省の前身)がリコール届け出の受付を開始、同年9月に法制化され、94年に法律に明記、翌年1月に施行されています。

ちなみにリコール制度は、その緊急性で3段階に分けられ、「安全上、つまり保安基準に不適応、もしくはその恐れがあり、設計・製作の過程にその原因がある場合に、対象車両を回収・修理する制度」をリコールと呼びます。

「保安基準に適合しているものの、将来的に放置することが望ましくない箇所が発見した際に自主的に回収・修理する」ことを「改善対策」といいます。

上記の2つに該当しないが、メーカーが商品性・品質改善のために無料修理を行う制度を「サービスキャンペーン」といいます。

なぜリコールは起きるのか?

では、なぜリコールが起きるのか。その原因は、生産ラインで発見されたり、複数ユーザーから同じクレームが指摘されてリコール認定と多岐にわたります。一度リコールと認定されると同じ部品を装着しているすべてのクルマを回収・修理改善をする義務が生じることとなり、莫大なコストとメーカーとしての信用を失います。

近年では生産コスト削減のため、部品の共通化が各メーカー行われたことで共通部品のリコールとなると数十万〜百万台のクルマを回収・修理改善しなければならなくなるので、販売ディーラーとしても頭の痛い問題です。

過去にはそのリコールによって失うものを恐れて一部の自動車メーカーが「リコール隠し」をし、それによって死亡事故が発生、このことによって発生した損害によって倒産の危機に陥ったことはあまりにも有名な話です。

当然ながら「リコール」はあってはならないこと、繰り返しになりますが自動車メーカーは新車開発の際にありとあらゆるテストを行い万全を期して量産に踏み切ります。それでも発覚するリコール。なぜでしょうか?

未然に防ぐことはできないの?

原因としては「コスト」だと考察します。基礎開発・設計からテスト、そして量産という世の中に出回る製品が辿る一連の流れは「コスト」と「時間」に縛り付けられています。どちらも無限ではないので、限られた予算と期間で知恵とデータを駆使して製品は作られていきます。近年では部品の共通化によってどちらもより厳しいものとなっているので、リコールのリスクが残ってしまうのではないでしょうか?

極端な例として「ある部品はAというクルマと組み合わせても問題ないが、Bというクルマと組み合わせるとリコールにつながる問題が想定されるかもしれない」ということです。あくまでも「かもしれない」、発売後にマイナーチェンジと合わせてリコールではなく「改善対策」もしくは「サービスキャンペーン」で対応するのがコストを抑えられるという考え方もあり得ると思います。

ですが、ピンポイントでその箇所を使用するユーザーによって露見し、クレームそしてリコールとなってしまうのでしょう。

「リコールを未然に防ぐ」というのは正直なところかなり難しいと思います。

またリコールは、発売から経ったあとに発表されることもあったりします。新車発売時には想定されていなかった状況や道路事情、基準といった外的な要因からリコール認定されることも極稀にあったりします。

大事なことは、メーカーとユーザーともにリコールが発覚しても冷静に対応すること。メーカーは事実をしっかり受け止め、対応していくこと。ユーザーは、落ち着いて指定ディーラーと連絡を取り修理対応を依頼することです。リコール認定されると最寄りのディーラーから修理対応に関する封書が届きますので、しっかりと確認しましょう。

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