一般の人も装甲車を買えるの?運転するための免許は?

2019 装甲車

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自衛隊が装備している特殊な車両は、なかなか一般には馴染みがありませんが、隊内には有事や災害出動に役立つ車両が多く制式採用されています。ミリタリーファンであれば「所有したい」「運転したい」と思うでしょうが、果たしてそんなことが可能なのでしょうか。

文・写真/山崎 友貴

山崎 友貴|やまざき ともたか

四輪駆動車専門誌、RV誌編集部を経て、フリーエディターに。RVやキャンピングカー、アウトドア誌などで執筆中。趣味は登山、クライミング、山城探訪。小さいクルマが大好物。

山崎 友貴
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あくまでも“自衛隊だけ”の特殊な車たち
自衛官だけが持つ特殊な免許とは

あくまでも“自衛隊だけ”の特殊な車たち

ご存じの通り、自衛隊には実に様々な車両が採用されています。もっとも代表的なのが戦車。そして装輪の装甲車やトラック、土木作業などに使う重機です。中には、駐屯地間を移動するためのステーションワゴンなどもあります。

戦争には反対でも、あの機能美に惹かれるという人も少なくないのではないでしょうか。また巷には、自衛隊の車両を所有してみたいと言うにも出会います。アメリカでは配備期間が過ぎた軍用車両が民間に払い下げられて、それを一般人が乗っているというケースも珍しくありません。

例えば、映画などによく登場する「HMMWV(ハンヴィ)」は、米軍から払い下げられて、オークションで民間へと渡ります。兵器や装甲板を付けられた車両は安全上の理由から売買されることはなく、大抵は解体されるようですが、中には民間で再生されてマニアなどの手に渡る場合もあるようです。

日本の米軍基地でも、鑑札を持った業者向けに車両のオークションが行われることがあります。しかし、日本国内では武器の売買が禁止されているため、兵器を備えていない車両でもフレームが切断され、再使用できないようにされています。こうした車両は鉄屑として利用されるのです。

自衛隊車両も同じで、基本的に払い下げられても、民間で再使用されることはありません。なぜなら、自衛隊の車両には車体番号が打刻されていないため、公道を走るための車検が受けられないからです。

またフレームが切断されており、やはり鉄屑としてでしか利用できないようにされています。ただし、73式小型トラック(通称パジェロ)は、民間で販売されていることがあります。

実はこれには裏技があります。一般で売られているパジェロのシャシーに73式小型トラックのアッパーボディと装備品を移植して、車両を陸運局に登録しているようです。その他の車両については、流用できるシャシーがなく、結果車体番号を持つことができないため、公道を走らせることが不可能なのです。

自衛官だけが持つ特殊な免許とは

では、せめて運転だけでもできないのか?これも答えは「ノー」です。自衛官に任官すると、多くの隊員が隊内にある教習場で、大型免許を取得することになります。なぜでしょうか?

陸上自衛隊幕僚広報に聞いてみました。「自衛隊内の車両は、基本的に職種によって運転する隊員が決められますが、災害や有事の現場では、車両の業務に関わらない隊員でも運転しなければならないケースも考えられます。

そのため、全員ではありませんが、多くの隊員が大型車両の免許を取得します」とのこと。

ちなみにこの大型車の免許は少々特殊で、特記事項の欄に「自衛隊車両に限る」と書かれているそうです。免許にこの一文が書かれていないと、基本的には自衛隊の装甲車やトラックなどを運転することができません。

仮に入隊前に大型車免許を持っていたとしても、隊内の教習所において再度教習を受けないとならないのだとか。つまり、一般人は自衛隊の車両を運転することが原則できないのです。

ただし、災害現場などにおいて、無人の自衛隊車両が放置されており、どうしても動かさなければならない時などの特例措置はあるということで、その場合は後から様々な手続きをした上で、許可される場合もあるのではないかということでした。

自衛隊車両の中でも、もっとも運転してみたいのが戦車ですが、戦車はさらに特殊。自衛隊で取得した大型車免許でも運転することはできず、戦車専門の教習所で取得する免許が必要になります。この免許の特記事項には「大特車はカタピラ車に限る」と記され、戦車が運転できる代わりに一般公道で運転できる車種が制限されるのが特徴です。

ちなみに、自衛隊の大型車や大型特殊車両の免許は、普通免許を持っていなくても、18歳になったらいきなり取得できるのが特徴です。この免許は、もちろん民間人になっても普通のトラックや作業車などで使えるため、任官中に様々な免許を取得する人もいます。
今回は自衛隊車両の周辺事情についてお話してきましたが、どうしても軍用車両を運転したいという人は、やはり陸上自衛隊などに入るしかなさそうです。
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