戦車って公道を走ってもいいの?必要な免許と価格を解説

90式戦車

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ミリタリーファンにとって憧れの地上兵器といえば、戦車です。日本の民間人でも戦車を所有している人がいると、ネットで話題ですが、はたして日本国内で戦車を手に入れるには、どうしたら良いのでしょうか?そもそも戦車は公道を走れるのでしょうか?

(2017年6月21日)
Chapter
自衛隊所属最新鋭「10式戦車」で考える
民間人でも戦車を購入できるの?
戦車を運転するには?
戦車は公道を走行できるのか?
戦車の燃費は?燃料費は?
日本で民間人が公道で戦車の運転はできるのか

自衛隊所属最新鋭「10式戦車」で考える

自衛隊の演習などで、戦車が公道を走るシーンが動画サイトに投稿されています。

そもそも戦車は公道を走行して良いのでしょうか?良いとしても、どのような免許やライセンスが必要なのでしょう?民間人は、戦車を購入できるのでしょうか?維持費や燃費は?疑問は、つきません。

戦車とひと口にいってもさまざまです。ここでは、自衛隊の最新戦車10式(ひとまるしき)を取り上げて、検証してみましょう。まずは簡単に主要スペックを紹介します。

【10式戦車 スペック】
ボディサイズ:全長9,420mm×全幅3,240mm×全高2,300mm
車両重量;約44t
エンジン:水冷4サイクルV型8気筒可変ノズル排気ターボ過給装置付きディーゼルエンジン
燃料供給装置:電子制御式ユニットインジェクタ方式
最高出力:1,200ps/2,300rpm
最高速度:70km/h以上
燃料タンク:880L
変速機:油圧機械式無段階自動変速操向機(HMT)
サスペンション:油気圧式
快適装備:冷暖房完備
乗車定員:3名
開発・生産:三菱重工業
価格:約9億5,000万円(2010年度における調達費より算出)

では、疑問を解決していきましょう!

民間人でも戦車を購入できるの?

一般車両と比較すると、桁外れなスペックを持つ10式戦車。購入価格は1台9億5,000万円です。宝くじで10億円が当れば、買えない金額ではありません。

ただし、戦車は兵器であるため、いくら製造元の三菱重工業に掛け合っても、民間人には売ってくれません。ならば中古は?

防衛省によると、自衛隊の装備は使い終わるとすべて処分されるとのこと。払下げは一切ありません。残された道は、海外の中古戦車ですが、海外の中古戦車を購入するにあたり、法律的な問題はないのでしょうか?

防衛省によれば、兵器として使用できない状態であれば輸入が可能とのこと。ネットで散見される砲身を切断する、充填装置を不可逆的に使用できなくするなどの措置が必要ですね。この状態であれば、戦車型スクラップとして扱われます。

ちなみに、ネットで調べてみると、旧式の戦車は5万ユーロ前後で購入できるようです。

戦車を運転するには?

戦車は道路交通法上、大型特殊車両に分類されるため、大型特殊自動車免許または大型特殊免許(カタピラ限定)のいずれかが必要です。

そのうえで戦車の運転に必要な、機甲MOSと呼ばれる自衛隊内技能認定に合格する必要があります。機甲MOSにも基本、初級、中級、上級とあり、各レベルで戦車を操作できる範囲が決まっています。

機甲MOSは、陸上自衛隊員にのみ習得が許されている技能です。兵器としての戦車を運転するには、陸上自衛隊員になり、大型特殊自動車免許もしくは大型特殊免許(カタピラ限定)のいずれかと機甲MOSを取得しなくてはいけません。

民間人が兵器機能を撤廃した戦車を運転するのであれば、大型特殊自動車免許または大型特殊免許(カタピラ限定)のどちらかで運転できます。

戦車は公道を走行できるのか?

公道を戦車で走る場合、車検が必要です。しかし、実際の運行で問題となるのはその重量です。

2017年現在、自衛隊の主力である10式は、車両重量が44tと軽量であるため、全国主要国道の橋梁17,920カ所のうち、84%が通過可能です。またカタピラにゴムクッションを貼ることでアスファルトへのダメージも低減されます。

しかし、主要国道・県道の中には重さ指定道路があり、25t以上の車両の通行を制限をしています。このような道路所在を把握しなければ、戦車の走行は困難です。

道路運送車両法も厳守しなければなりません。自衛隊の戦車は標準でウインカーやライトなどの保安部品を装備しており、演習時にはカバーをかけています。そのため、サイドミラーを取り付けるなどの小変更で、公道を走行することができますが、海外の中古戦車ではこうはいきません。

車検を通るように改造する必要があります。場合によっては基準緩和認定の申請も必要かもしれません。

実際の走行に当たっては道路法による車両制限令により、特殊車両通行許可申請を国土交通省道路局に行い、事前に走行する道路を決めなくてはいけません。

道路交通法上、制限外許可申請も行っておいたほうが無難です。これらをすべてクリアしなければ、民間の戦車が公道を走行することはできません。

戦車の燃費は?燃料費は?

10式戦車の燃費は非公表です。軍事機密なので、当然ですね。

ネット上で囁かれている噂によると、戦車の燃費は数百m/Lとのこと。多く見積もって500m/Lと仮定すると、満タン給油で880Lの10式戦車の後続距離は440kmとなります。

燃料費は軽油価格を100円/Lとすると、満タンで88,000円。もしも戦車を通勤用として使うのであれば、日当10万円は欲しいところです。

日本で民間人が公道で戦車の運転はできるのか

さて結論です。民間人でも海外の中古戦車ならば購入できます。しかし、兵器としての機能は当然全削除です。さらに公道を走らせようとすると、車検に適合させなければなりません。

その改造費や改造後のウインカーやランプの装着されたルックスを想像してみると、戦車とは言えないような代物になりそうです。

それでも車検を通して公道を走ろうとすると各種許可申請が必要です。晴れて公道走行が許可され、いざ走ってみると、あっという間に10万円近い金額が燃料費として消し飛びます。

戦車実物の購入は、鑑賞目的やコレクターでもない限り、あまり現実的ではありませんね。
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