昔のオートマ車にあった、シフトレバーのODボタン。これってなに?
更新日:2024.09.09
※この記事には広告が含まれます
最近では見なくなったが、かつて4速ATが主流だった時代のオートマ車のシフトノブには「OD」と書かれたボタンがあった。
文・山本晋也
文・山本晋也
ODとは「オーバードライブ」の略称
ODとはオーバードライブの略称で、オーバードライブとは直結ギア(1.000)より小さい変速比のこと。もともと変速比が1.000の直結ギアを「トップギア」と呼んでいたということがあり、トップを超えるギア比ということで「オーバードライブ」と呼ばれるようになった。
こうした呼び名はAT、MTを問わず共通しているが、ATについていえば初期の3速ATでは3速が直結ギアになっていることが多かった。そのため、4速ATが登場したときに4速=オーバードライブといった風に認識されることになった。
こうした呼び名はAT、MTを問わず共通しているが、ATについていえば初期の3速ATでは3速が直結ギアになっていることが多かった。そのため、4速ATが登場したときに4速=オーバードライブといった風に認識されることになった。
オーバードライブは高速巡行を快適にする
なぜオーバードライブ(オーバートップともいう)が必要になるかといえば、直結ギアでは高速巡行時にエンジン回転数が高まってしまう。そこでオーバードライブを使えばエンジン回転を下げることができるので、騒音の面でも有利であるし、省燃費にもつながる。
たしかに力のないエンジンではトップギアでなければ高速を走る能力がないこともあったが、エンジンが進化するのに合わせて、1.000よりも小さなギア比のオーバードライブであっても不満なく高速巡行ができるようになると、一気にオーバードライブを持った4速ATが普及していった。
つまり、「OD」は3速ATのシフトポジションを基本としたまま、4速ATが広まった際に必要に迫られて生まれたといえる。
たしかに力のないエンジンではトップギアでなければ高速を走る能力がないこともあったが、エンジンが進化するのに合わせて、1.000よりも小さなギア比のオーバードライブであっても不満なく高速巡行ができるようになると、一気にオーバードライブを持った4速ATが普及していった。
つまり、「OD」は3速ATのシフトポジションを基本としたまま、4速ATが広まった際に必要に迫られて生まれたといえる。
ODボタンで4速から3速にシフトダウンできた
実際には、Dレンジ(4速)での高速走行時にODボタンを押すと、3速にシフトダウンするのを利用してエンジンブレーキを強めることが多かった。クルマによっては市街地でも4速までシフトアップしてしまうが、そのときの空走感を嫌って、街中ではODボタンをオフで走るというユーザーも少なくなかったと記憶している。
6速、8速、10速と多段化する現代のATにおいてはマニュアルモードを利用したシフトダウンが多くなってしまい、ODボタンでの操作をする機会は減っているが、かつてODボタンを積極的に操作していたドライバーのマインドが、マニュアルモード付きATを求め、その進化を支えてきたともいえるだろう。
6速、8速、10速と多段化する現代のATにおいてはマニュアルモードを利用したシフトダウンが多くなってしまい、ODボタンでの操作をする機会は減っているが、かつてODボタンを積極的に操作していたドライバーのマインドが、マニュアルモード付きATを求め、その進化を支えてきたともいえるだろう。
山本晋也
自動車メディア業界に足を踏みいれて四半世紀。いくつかの自動車雑誌で編集長を務めた後フリーランスへ転身。近年は自動車コミュニケータ、自動車コラムニストとして活動している。ジェンダーフリーを意識した切り口で自動車が持つメカニカルな魅力を伝えることを模索中。