【スバル雪上試乗会】雪国での使用でこそ光る、スバルならではの性能

毎年1月の終わりから2月にかけて、自動車業界では北海道へ行く機会が増える。それは自動車メーカーやタイヤメーカーがこの時期ならではの雪上試乗会を開催するからである。しかしながら今回、スバルが「テックツアー」と銘打った雪上試乗会を開催したのは山形県だった。2019年2月19日、東北新幹線に揺られて山形駅に到着後、早速ホテルでプレスカンファレンスが行われた。

文・河口まなぶ

Chapter
恒例となった公道でのスバル雪上試乗会
スバルならではの”総合雪国性能”とは
雪国で役立つ機能が盛りだくさん!
フォレスターで見た、逞しさと信頼感

恒例となった公道でのスバル雪上試乗会

スバル雪上試乗会

聞けばスバルが今回ここ山形県で雪上試乗会を開催した理由は、「テストコースではなく、リアルワールドでスバルの性能を感じてもらいたい」からだという。

以前は北海道のクローズドされた場所での雪上試乗会も開催したが、その後は上記の理由から一般公道を使っての雪上試乗会に切り替え、これが好評だったこともあって公道での雪上試乗会が恒例となったのだという。

スバル雪上試乗会

昨年は青森県の酸ヶ湯で行われ、今年は山形県の肘折温泉周辺が試乗場所として選ばれた。その理由はまず、日本の歴代最深積雪ランキングで雪深いところを選んだから。

ランキング1位は前回の酸ヶ湯で、今回の肘折温泉は歴代2位の445cmを昨年2018年に記録した。さらにこの肘折温泉の近くには、出羽三山のひとつである月山があり、ここはかつてスバルが初めて雪上試験を行なったという、スバルのヘリテージを生み出したゆかりのある場所ともいえる。

スバルならではの”総合雪国性能”とは

スバル雪上試乗会

そして翌朝から試乗会が始まった。今回の試乗車は昨年登場したフォレスターと、よりコンパクトなSUVとして人気の高いXVの2車種で、それぞれにどちらかのモデルのガソリン・エンジン搭載車とマイルドハイブリッドのe-BOXER搭載車を乗り比べるという企画だ。

ルートは各自自由に決められるが、我々は往路ではスタート地点の山形市内から銀山温泉街を経由して中継地点の肘折温泉に向かうことに。そして復路はスタート地点の肘折温泉から出羽三山神社を経由してゴールとなる庄内空港という道のりを選んだのだった。

今回の試乗会はいわゆる新車試乗ではなく、純粋に公道を舞台にした雪上試乗会ということになるわけだが、スバルは前夜のプレスカンファレンスにおいて念入りに「スバルならではの”総合雪国性能”を体感してほしい」と説明した。

スバルがいう総合雪国性能とは、単に雪道に強いAWD等の技術的の各論ではなく、それらを含めてスバル車の様々な部分に入っている、雪国での使用でこそ光る性能のこと。これをリアルワールドで確かめてほしいとのことだった。

スバル雪上試乗会

事実、我々は今回フォレスターの2台を試乗したわけだが、フォレスターの”総合雪国性能”に関していえば、スバル車の中では最も最低地上高が高い220mmに設定されていることをまず記しておくべきだろう。これによって、深雪等にも耐えうる走破性を手に入れている。

だから今回のような除雪がなされた場所や圧雪路では、車高に関しては何の問題もないばかりか意識せずに走れてしまう…と何気なく書いているが、最近はSUVとはいえ最低地上高は通常のセダンやワゴン等を変わらないのでは?というものもあるくらいなので、スバルのクルマはこの辺りこそしっかりと考えているといえる。

またフォレスター以外でもXVやアウトバックは最低地上高で200mmを実現している。こうした雪国で使うことの基本をしっかりと抑えているのがスバルのいう総合雪国性能である。

それはもちろん車高以外でも様々に展開されており、例えば、スバル車では全車で優れた視界を確保することが基本で、一般的にはウインドウの配置や高さなどの基本要素で死角を限りなく減らす設計としている。

が、雪国では通常のワイパーだと、ワイパーが停止している位置に雪が溜まったり固着して動かなくなることや、これによりウインドをうまく拭けない場合があったりするが、スバル車のワイパーにはデアイサー(ワイパーの停止位置に熱線を入れて雪がたまったり、ワイパーが固着するのを防ぐ装備)が備わっており(モデルによってはオプション)、そうした状況にはならない対策がなされている。

雪国で役立つ機能が盛りだくさん!

スバル雪上試乗会

実際に雪道を走り出すと、確かにフロントウインドの見通しが良く、有効視界は通常時と変わらない。特に今回は、街中こそ雪は少なかったものの、ルートを進むに連れて雪深くなるとともに、天候もコロコロと変わり、一時はホワイトアウトする様な状況が何度もあったほどだった。しかし、そうした中でもフロントウインドそのものの視界が狭まることは一切なかった。

今年は北海道を中心に様々な場所で雪上試乗したが、なかにはワイパー停止部分に雪が溜まってしまい視界を遮るものもあっただけに、余計にその効果を実感した。

またこれだけでなく、雪国だからこそ重宝するステアリング・ヒーターを、このクラスで装備しているものは意外に少ないし、こびりついた雪を落としヘッドライトをしっかりと機能させるヘッドライトウォッシャーや、後席にまで備わるシートヒーターなど、”こだわりの冬季性能”が確保されているのもトピックといえる。

空調ユニットも、吹き出し口を足元近くに配置することで、冬場で特に冷えを感じる要因となる足元への暖かな送風もしっかりと考え抜かれている。またシートヒーターなどは前後席ともに、バックレスト上側まで範囲が拡大されたものにするなど、さりげない冬季性能を盛り込んでいる。

スバル雪上試乗会

この他にも、実に細かな雪国での使用に役に立つ機能が盛り込まれる。

AWDながらも前輪にチェーンをつけた時に、フロントの駆動力が増大することによって相対的にリアの駆動力が下がり、スピンしやすくなる特性を是正するような制御を行っているし、e-BOXERでは回生ブレーキ時のアンダーステアを低減している他、X-modeでは低車速域でモーターのトルクを優先的に配分してアクセルワークに対して忠実なトルク応答を実現するなどの工夫も凝らされている。

フォレスターで見た、逞しさと信頼感

スバル雪上試乗会

ひとつひとつを記していくと枚挙に遑がないわけだが、文字数も尽きてきたのでまとめるならば、そうしたひとつひとつの、雪国でも使ってもらいたいという想いがこもっているからこその装備が全て繋がることによって、今回フォレスターを試乗して、そこはかとない安心に包まれていることを感じたのは事実だし、それによって安全が担保されていることを感じたのもまた事実だ。

実際に今回の試乗コースは流石に歴代の最深雪ランキングに入るくらいの場所なので、とにかく刻々と変わる状況がかなりのハードなものだった。

事実、最も厳しかったのはやや凍結もある長い下りの緩やかなワインディングで、カーブでは時たま滑ってしまうような状況ながら、時折吹く風によってホワイトアウトしてしまうときがあった。が、そうした中にあって、我々はフォレスターに身を預けることのできる逞しさや信頼感をそこに確かに見たのだ。

また同時に、往復で先に記したようなハードな雪道を含む約200kmという行程にあっても、リラックスして運転でき、場合によっては走りそのものを楽しむシーンもあった。それにも関わらず疲れは少なく、なおかつそこはかとなく感じるジワジワと染み入るようなクルマの良さに、僕は改めてこの感覚こそが「スバルらしさ」なのだろうと思ったのだった。