昔の軽は新車で47万円!?軽自動車が値上がりしている理由を解説
更新日:2024.09.09
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通産省が国民に自動車を普及させることを目標とした「国民車構想」のなかで、”誰もが購入しやすいクルマ”として、軽自動車規格を作ったのは、いまからから70年ほど前のこと。その数年後、軽自動車が360cc規格になると、価格が安く、税金や保険料も優遇されていたことから、それまで自家用車を諦めていた家庭でも所有できるようになりました。以降、安さを売りにしてきた軽自動車でしたが、近年、車両価格は上昇傾向にあります。
文・吉川賢一
文・吉川賢一
軽自動車は安さ重視から機能重視へ
以前の軽自動車は、車両価格の安さから、自家用車の購入代金や維持費を節約したい人、買い物などの近場の用事でクルマを使いたい人、通勤用のセカンドカーにしたい人などが、積極的に購入していました。そのため、各メーカーは、価格を抑える戦略でクルマ作りを行ってきたのです。
1979年に登場した「スズキ アルト」は、その代表的なモデルで、ボディはバンパーが安いグレー塗装のスチール製、ドアの鍵穴は助手席側を省き運転席側のみ、内装は内張りを省略できる箇所は鉄板に塗装を施しただけ、ダッシュボードとインパネは一体成形された樹脂製で、エアコンはヒーターのみ、さらにフロアマットはゴム製、後部座席の背板にはベニヤ板、ウインドウウォッシャーは手押しのポンプ式と、徹底したコスト低減が図られていました。
結果、初代アルトは車両価格、47万円という安さを実現しました。これはもっとも安い例ですが、当時の軽自動車は、100万円もあれば上級グレードを手に入れることができました。
しかし時代は流れ、1993年に発売されたスズキ ワゴンRの大ヒットをきっかけに、軽自動車にも機能や質感を求めるユーザーが増えていきました。
1979年に登場した「スズキ アルト」は、その代表的なモデルで、ボディはバンパーが安いグレー塗装のスチール製、ドアの鍵穴は助手席側を省き運転席側のみ、内装は内張りを省略できる箇所は鉄板に塗装を施しただけ、ダッシュボードとインパネは一体成形された樹脂製で、エアコンはヒーターのみ、さらにフロアマットはゴム製、後部座席の背板にはベニヤ板、ウインドウウォッシャーは手押しのポンプ式と、徹底したコスト低減が図られていました。
結果、初代アルトは車両価格、47万円という安さを実現しました。これはもっとも安い例ですが、当時の軽自動車は、100万円もあれば上級グレードを手に入れることができました。
しかし時代は流れ、1993年に発売されたスズキ ワゴンRの大ヒットをきっかけに、軽自動車にも機能や質感を求めるユーザーが増えていきました。
現代の軽自動車に装備されたもの
1949年に当時の通産省から軽自動車の規格が発表されてから約70年。その間に軽自動車の規格改正が幾度となく行われ、排ガス、衝突安全基準、横滑り防止装置の装着義務化など、車両価格は上昇して行くことになったのです。
その標準装備を含め、パワーステアリング、パワーウィンドウ、集中ドアロック、UVカットガラス、エアバッグ ABS、オートライト、運転支援システム、両側スライドドアなど、現代の軽自動車には、あの安かった時代には無かった優秀な機能が増えています。
こういった装備が増えて使いやすくなったことを考えると、軽自動車の価格が高くなったことにも納得がいきますよね。
その標準装備を含め、パワーステアリング、パワーウィンドウ、集中ドアロック、UVカットガラス、エアバッグ ABS、オートライト、運転支援システム、両側スライドドアなど、現代の軽自動車には、あの安かった時代には無かった優秀な機能が増えています。
こういった装備が増えて使いやすくなったことを考えると、軽自動車の価格が高くなったことにも納得がいきますよね。
軽自動車で高い車と安い車は?
現在販売されている軽自動車のなかで、高額なモデルは、ダイハツ ウェイク(184万円)、スズキ スペーシアカスタム(190万円)、ホンダ N-BOX カスタム(208万円)、日産 デイズルークス ライダー(205万円)など。
一方でスズキ アルトは、8代目となって機能性も十分高められているにも関わらず、車両価格は84万円。依然として安価でお手ごろな軽自動車として販売されています。ちなみに、ライバルのダイハツ ミライースも同じ価格で販売されています。
一方でスズキ アルトは、8代目となって機能性も十分高められているにも関わらず、車両価格は84万円。依然として安価でお手ごろな軽自動車として販売されています。ちなみに、ライバルのダイハツ ミライースも同じ価格で販売されています。
軽自動車の車両価格が上がっているのは、規制に合わせた装備の追加に加え、ユーザーが高くても機能性を求めるようになったためであり、メーカーがただ単に価格を上げているわけではありません。
品質や物価に対する上昇率などを含めて考えると、ひと昔前より現在の軽自動車のほうが安い、という考え方もできますね。
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。