排気量と馬力の関係とは?基礎から最新動向まで徹底解説【2025年最新版】

日産 GT-R 2017年モデル

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クルマを選ぶうえで「排気量」と「馬力(最高出力)」は欠かせない基本スペックです。排気量が大きければ馬力も高い傾向がありますが、近年はダウンサイジングターボやハイブリッド、EV(電気自動車)の普及でその関係性も変化しつつあります。エンジンの基礎知識から最新事情まで押さえて、あなたに合ったクルマ選びに役立てましょう。

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Chapter
排気量とは?エンジンの「大きさ」を示す数値
馬力(最高出力)とは?エンジンの「力」を示す指標
排気量が大きいほど馬力も高い?一般的な関係
排気量と馬力の基本的な関係
同じ排気量でも出力が異なる具体例
排気量拡大以外の要素とメーカー事例
売れ筋国産車の排気量と馬力一覧(2024‑2025年モデル)
小排気量でも高出力!ダウンサイジングターボなど例外ケース
ダウンサイジングターボで大排気量並みの出力
高回転型エンジンが生む“小排気量高出力”
ターボ搭載高性能車の特性と課題
ハイブリッドと電動モーターのアシスト効果
チューニングで桁違いのパワーを狙う場合の注意点
排気量とトルクの深い関係:加速性能を決めるのはどっち?
トルクは加速の体感を左右する
排気量はトルクに直結する
馬力を稼ぐ方法と低速トルクの補い方
車種ごとに異なるトルクと馬力のバランス
排気量がもたらす扱いやすさと最新技術の影響
排気量が与える影響:燃費・税金・維持費はどう変わる?
燃費への影響
税金(自動車税)の違い
加速性能への影響
維持費・メンテナンスへの影響
排気量と馬力、どちらを優先する?バランスの選び方
2025 年の最新動向:小排気量化・電動化が進む時代へ
グローバルで進む電動化と規制強化
日本メーカーの「適正排気量化」への転換
大排気量スポーツ&高級車は存続
小排気量+電動化が主流へ
まとめ:自分に合った一台を選ぼう

排気量とは?エンジンの「大きさ」を示す数値

ホンダ S2000

ホンダ S2000

まず排気量とはエンジンのシリンダー(気筒)内でピストンが上下することで排出される空気の体積量のことです。全気筒の容積の合計で表し、単位はリットル(L)または立方センチメートル(cc)が使われます。

例えば「2.0L エンジン」と言えば、シリンダー総容積が約 2,000cc という意味です。

排気量が大きいエンジンほど、一度にたくさんの混合気(空気と燃料)を燃焼できるためエンジンの大きさパワーの源の目安になります。一般に、排気量が大きいエンジンは物理的にもサイズ・重量が増し、燃料消費も多くなる傾向があります。

一方で、日本の軽自動車のように法律で排気量が制限されているケース(軽自動車は 660cc 以下)もあります。排気量はエンジンの基本スペックとしてカタログに必ず記載され、税金区分にも深く関係しています。

馬力(最高出力)とは?エンジンの「力」を示す指標

馬力とはエンジンが発生できる仕事率、つまりパワーの大きさを示す単位です。自動車ではエンジンの最高出力を指し、「〇〇馬力」「〇〇PS」という形で表現されます。もともと 1 馬力は「75kg の重りを 1 秒間に 1m 持ち上げる仕事率」と定義され、ワット(W)に換算すると約735.5W となります。

日本では 1999 年の計量法改正以降、カタログ表記は国際単位系であるキロワット(kW)が主となり、馬力(PS)は括弧書きの参考値になりました。とはいえ一般には「○○PS(ピーエス)」という表現の方がイメージしやすく、たとえばGT‑R NISMO の最高出力は 441kW より「600PS」と表現した方がピンとくるでしょう。

馬力の数値自体はトルク×回転数で決まるため、エンジン回転を上げて高いトルクを発生させるほど馬力も大きくなります。最高出力(馬力)はエンジンの性能を示す代表的な指標ですが、同じ馬力でも発生する回転域やトルク特性によって加速フィールは異なる点に注意が必要です。

※トルクは、エンジンが“軸をひねる力”を数値化したものです。ドアノブを回す腕力に例えるとイメージしやすく、この値(N·m や kgf·m)が大きいほど発進や坂道で車を力強く押し出せます。

排気量が大きいほど馬力も高い?一般的な関係

ポルシェ 911 ターボS

ポルシェ 911ターボS

ポルシェ 911ターボS(画像)のようなターボ搭載高性能車は、小排気量でも過給で大出力を発生します。近年主流のダウンサイジングターボは燃費とパワーの両立が目的で、小さい排気量でも必要十分な馬力・トルクを得られる技術です。ただしターボにもラグや高負荷時の燃費悪化など課題もあるため、用途に応じた選択が大切です。

排気量と馬力の基本的な関係

結論から言えば、排気量が大きいエンジンほど高出力になりやすいのは事実です。同じ技術水準であれば、大排気量エンジンは小排気量エンジンより多くの空気と燃料を燃焼できるため、それだけ大きな力を生み出せます。

例えば歴代国産車の自然吸気エンジン最高出力を見ても、1.6Lでは日産パルサーVZ‑R N1(SR16VE エンジン)の200psが最高記録で、2.0Lではホンダ S2000(F20C エンジン)の250psが最高でした。このように排気量が大きいほど馬力向上の余地が大きいことは間違いありません。

同じ排気量でも出力が異なる具体例

しかし、ここで重要なのは「他の条件が同じなら」という点です。実際には排気量だけで馬力が決まるわけではありません。エンジン設計やチューニング、過給器の有無などによって同じ排気量でも馬力は大きく変わります。

極端な例では、ホンダ S2000の2.0Lエンジン(F20C 型)は最高出力250psですが、同じ2.0Lでもトヨタ・ハイラックスのエンジン(1RZ‑E 型)は110psしかありません。スポーツカー用に高回転型で性能を追求したエンジンと、実用車向けに耐久性や低速トルク重視で設計されたエンジンでは、同じ排気量でもこれほど出力に差が出るのです。

排気量拡大以外の要素とメーカー事例

また、「排気量さえ大きくすれば青天井で馬力が上がる」というものでもありません。エンジンの種類(レシプロ、ロータリーなど)やシリンダー数吸気効率燃焼効率回転数の許容範囲といった要素も大きく影響します。

とはいえ排気量拡大は馬力・トルクを高める基本手段ではあるため、自動車メーカーは上位モデルにより大排気量のエンジンを搭載するケースが多いです。例えばトヨタのクラウンは2.5Lより上位グレードに3.5Lエンジンを用意し、ホンダのシビックも 1.5Lターボからタイプ Rでは2.0Lターボへ排気量アップしてさらなる高出力を実現しています。

売れ筋国産車の排気量と馬力一覧(2024‑2025年モデル)

主要車名(売れ筋グレード例) 排気量(L) 最高出力(PS)
ホンダ N‑BOX(NA)* 0.66 58
スズキ スペーシア(NA) 0.66 52
日産 ノート e‑POWER 1.2 116PS**
トヨタ ヤリス(1.5 Lガソリン) 1.5 120
トヨタ カローラ 1.8 Lハイブリッド 1.8 140(システム)***
トヨタ プリウス 2.0 Lハイブリッド 2.0 196(システム)
トヨタ RAV4 2.0 L 2.0 171
トヨタ アルファード 2.5 Lハイブリッド 2.5 250(システム)
*NA(Naturally Aspirated)は、ターボやスーパーチャージャーを搭載しない「自然吸気エンジン」を意味します。

**ノート e‑POWERはモーター駆動方式のため、表記はモーター最高出力 85kW=116 PS 相当です。

***システム出力とは、ハイブリッド車でエンジンとモーターが協調制御時に発揮する最大馬力を示す値です。

小排気量でも高出力!ダウンサイジングターボなど例外ケース

レクサス IS

レクサス IS

ダウンサイジングターボで大排気量並みの出力

排気量が小さいエンジンでも、技術次第で高い馬力を出すことは可能です。その代表例が過給器ターボチャージャースーパーチャージャー)の搭載です。ターボなどの過給器で空気を強制的に送り込めば、小排気量エンジンでも大排気量エンジン並みの空気を燃焼でき、出力を大きく向上できます。

昨今主流のダウンサイジングターボはまさにこの考え方で、排気量を小さくして燃費や排出ガスを抑えつつ、ターボで不足するパワーやトルクを補う技術です。日本では 2014 年頃からクラウンやレクサス ISの2.0Lターボ化オーリスの1.2Lターボモデルなどが相次いで登場し、本格的にダウンサイジングターボが普及しました。欧州で主流だった小排気量ターボが約10年遅れて日本にも上陸し、現在は多くの乗用車に採用されています。

高回転型エンジンが生む“小排気量高出力”

さらに、高回転型エンジンも小排気量高出力の例外ケースです。馬力は「トルク×エンジン回転数」で決まるため、排気量由来のトルクが小さくてもエンジン回転数を大幅に上げれば高い馬力を得られます。ホンダの VTEC エンジンやバイクのエンジンなどは、小排気量ながら 1 万回転以上回して大きな馬力を稼ぐ設計です。ただし、高回転エンジンは低回転域のトルク(粘り)が細くなりがちなので、扱いやすさとのトレードオフになります。

ターボ搭載高性能車の特性と課題

ポルシェ 911 ターボ Sのようなターボ搭載高性能車は、小排気量でも過給で大出力を発生します。近年主流のダウンサイジングターボは燃費とパワーの両立が目的で、小さい排気量でも必要十分な馬力・トルクを得られる技術です。ただしターボにもラグや高負荷時の燃費悪化など課題もあるため、用途に応じた選択が大切です。

ハイブリッドと電動モーターのアシスト効果

他にもハイブリッド車はエンジン自体の排気量が小さくても電気モーターの力で加速をアシストできるため、「エンジン単体の馬力以上に力強い走り」を実現できます。

モーターは低速域で大きなトルクを発生するので、小排気量エンジンの弱点である発進加速を補ってくれます。このように技術の組み合わせで排気量のハンデを克服する例も多く、現代のクルマは単純に排気量=馬力では語れなくなっています。

チューニングで桁違いのパワーを狙う場合の注意点

極端な例では、エンジンのチューニングによって同じ排気量でも桁違いの馬力を出すことも可能です。日産スカイライン GT‑R の名機RB26DETT(2.6L 直 6 ツインターボ)は、市販時280ps程度でしたがチューニング次第で1,000ps超を叩き出すことも可能とされます。

実際にRB26はレースやチューニングシーンでその潜在能力が証明されてきました。ただしこのようなケースは「ごく稀」であり、耐久性や扱いやすさを犠牲にして性能を極限まで引き出した特殊な例です。一般的な市販車では信頼性とのバランスから、排気量相応の適切な出力に抑えられていることが普通です。

排気量とトルクの深い関係:加速性能を決めるのはどっち?

日産 GT-R 2017年モデル

日産GT-R

日産GT-R(画像)のような高性能車では、大排気量かつターボ過給で圧倒的な馬力・トルクを生み出しています。現行GT-Rは3.8Lツインターボで最大600PS近い出力を発揮し、チューン次第ではさらにパワーアップも可能です。こうした車では排気量=ステータスとも言えますが、普段使いの車ではスペックと実用性のバランスを見極めることが大切です。

トルクは加速の体感を左右する

エンジン性能を考える上でトルクも重要な指標です。トルク(最大トルク)とはエンジンが生み出す回転する力の大きさで、「○○Nm(ニュートンメートル)」「○○kgf·m(キログラム重メートル)」という単位で表されます。馬力が高いかどうかよりも、日常で感じる加速の力強さにはこのトルクが大きく影響します。

排気量はトルクに直結する

実は排気量は馬力よりもトルクに直接影響すると言われます。排気量=一度に爆発できる燃料の量が増えれば、その瞬間に生み出せる力(トルク)は増大します

NA(自然吸気)ガソリンエンジンの場合、排気量1.0Lあたり約10kgf·m(約 100Nm)の最大トルクが目安とされ、排気量2.0Lならおおむね20kgf·m前後、性能の良いエンジンでその+10%、大人しめのエンジンで−10%程度という感覚です。つまり排気量が大きければ大トルクが得やすく、逆に小さな排気量ではトルクも小さくなる傾向があります。

馬力を稼ぐ方法と低速トルクの補い方

一方、馬力は前述の通り「トルク×エンジン回転数」で決まるため、ある程度の物理的限界はあるものの回転数を上げれば小排気量からでも大きな馬力を絞り出せます。

しかしトルク自体は単純に高回転化すれば増えるものではないため、低排気量エンジンで低速トルクを補うには過給器で押し上げるしかありません。自動車の発進や中速までの加速にはこのトルクが物を言うため、実用加速を重視する車では排気量を上げたりターボでトルク増強を図るのが定石です。

車種ごとに異なるトルクと馬力のバランス

例えば SUV やミニバンのように重い車では、「馬力はそこそこでいいからトルクが太いエンジン」が好まれます。逆にスポーツカーでは「低速トルクが細くても高回転までよく回るエンジン」が楽しいと評価されることもあります。クルマ好きほどカタログの馬力の数値だけでなく、「その馬力やトルクがどの回転域で発揮されるか」に注目し、パワーカーブやトルクカーブまで気にするものです。

排気量がもたらす扱いやすさと最新技術の影響

要するに排気量が大きいエンジンほど発生トルクも大きく、発進加速や登坂で有利です。特に日常域での扱いやすさに直結するので、「余裕のある走り」を求めるならある程度の排気量は必要でしょう。ただし近年はターボや電動モーターの助けで小排気量でも必要十分なトルクを得やすくなっており、以前より排気量の差を感じにくくなっている面もあります。

排気量が与える影響:燃費・税金・維持費はどう変わる?

日産 GT-R

日産 GT-R

燃費への影響

一般に大排気量エンジンほど燃費(燃料消費率)は悪化する傾向があります。排気量が大きい=シリンダー容積が大きく一度に燃焼する燃料も多いため、低速走行でも小排気量車より燃料消費が多めです。

ただし近年は気筒休止アイドリングストップの採用で巡航時の燃費が改善され、小排気量ターボでも高負荷時は大排気量並みに燃料を使うことがあります。ダウンサイジングターボは高速巡航で優位、街中ではハイブリッドの方が有利という傾向を覚えておくとよいでしょう。

税金(自動車税)の違い

日本の自動車税(種別割)は排気量で区分され、0.5L(500cc)刻みで税額が上昇します。例えば総排気量1.0L以下なら年2.5万円、1.5〜2.0Lで約3.6万円、3.5〜4.0Lでは約6.65万円と負担差は大きめです。排気量を一段階下げるだけでも年間数千円〜1万円以上変わるため、維持費重視のユーザーは購入時に排気量を重要視します。

加速性能への影響

加速の良し悪しはエンジン出力と車両重量のバランスで決まります。大排気量・高馬力の車は高速道路の合流や追い越しで余裕がありますが、小排気量車はエンジン回転を上げないと力強い加速が得にくい場合があります。

同じ馬力でもターボは低速トルクが太く、高回転型NAは上まで回してこそ真価を発揮するなど特性はさまざまです。EVは低速から大トルクを出すため、数値以上に俊敏な加速を体感できます。

維持費・メンテナンスへの影響

排気量が大きいほど燃料代や自動車税が増えるだけでなく、オイルや部品点数が多くなるためメンテナンス費も上がりがちです。特にターボ車はオイル交換周期が短く、シビアコンディションでは3か月ごとを推奨される場合もあります。加えて高出力車はタイヤやブレーキ消耗も早く、大径タイヤ採用で交換費用も嵩むため、走行コスト全体を把握しておくことが大切です。

排気量と馬力、どちらを優先する?バランスの選び方

排気量と馬力、どちらを優先する?バランスの選び方

排気量と馬力、どちらを優先する?

あなたの使い方に合わせたバランスの選び方

💰
燃費・経済性重視なら

日常の足として燃費やコストを優先するなら、小排気量エンジンやハイブリッド車がおすすめです。小さいエンジンほど日常走行で燃料消費が少なく、自動車税も安く抑えられます。

特に市街地メインならハイブリッド車が真価を発揮します。低速からモーターがアシストしてエンジンをあまり回さずに済むため、ストップ&ゴーの多い環境で高い燃費性能を発揮するからです。

逆に高速巡航が多いなら1.2L〜1.5Lクラスのダウンサイジングターボでも十分低燃費で走れます。

🚗
走りの力強さ・快適性重視なら

高速道路の合流や長距離ドライブが多い人、また大人数や荷物を載せて走る機会が多い人は、ある程度排気量が大きくトルクに余裕のあるエンジンを選ぶと快適です。

2.0〜3.0LクラスのNAエンジンや、排気量控えめでもターボ付きエンジンなら、高速でもアクセルを踏み増す余裕がありストレスが少ないでしょう。

特に山道や坂道でもたつきたくないなら大排気量ほど安心感があります。ミニバン/SUVでは2.5L以上やディーゼルターボを選ぶ人が多いのもそのためです。

🏎️
スポーティな走りやフィーリング重視なら

エンジンのフィーリングにこだわるなら、単純な数字以上にエンジン特性をチェックしましょう。高回転まで回るエンジンの爽快さを味わいたいなら排気量はやや小さめでもOKです(例えばマツダロードスターのように2.0L以下でも楽しい車もあります)。

一方で「大排気量ならではの余裕あるトルク」やV型多気筒エンジンの振動音質の滑らかさに魅力を感じるなら、思い切って上位の大きなエンジン搭載モデルを選ぶのもアリです。

最近は直列3気筒など小型エンジンが増えていますが、4気筒や6気筒以上の滑らかさはやはり格別という声もあります。

最新技術を楽しみたいなら

車好きで最新技術に興味があるなら、プラグインハイブリッド(PHEV)やEVも視野に入るでしょう。これらは排気量に換算できないものの、システム出力○○PSといった形で総合的なパワーが示されます。

EVは加速力こそ抜群ですが充電インフラなど課題もあります。一方、ダウンサイジングターボ+ハイブリッドの組み合わせなど新潮流も登場しています(例えばメルセデスAMGの2.0Lターボ+電動スーパーチャージャー+モーターで600PS超を実現したモデルなど)。

エンジンの排気量とモーター出力のベストミックスが模索されている時代でもあり、自動車メーカー各社の動向をチェックすると面白いでしょう。

2025 年の最新動向:小排気量化・電動化が進む時代へ

アウトランダーPHEV Gプレミアム

アウトランダーPHEV Gプレミアム

グローバルで進む電動化と規制強化

最後に、2025年時点における排気量と馬力を取り巻くトレンドをまとめます。近年は世界的な環境規制の強化により、エンジンのダウンサイジングと電動化が加速しています。

ヨーロッパでは既にダウンサイジングターボの次のステップとしてプラグインハイブリッド(PHEV)や EV への移行が本格化しており、多くのメーカーが今後数年で EV ラインナップを大幅拡充すると宣言しています。日本でも2030年代半ばまでに新車販売を電動車(HV/PHEV/EV)主体へ移行する方針が掲げられており、エンジン排気量だけで性能を語る時代は終わりつつあります。

日本メーカーの「適正排気量化」への転換

具体的な動向として、日本メーカーでは「適正排気量化」の流れも出てきました。ダウンサイジングしすぎた結果、低速トルク不足を感じるケースや、市街地での実燃費が期待ほど伸びないケースもあり、「必要に応じた排気量に見直す」動きです。

例えばトヨタはカローラなどに 1.8Lや2.0LのNA エンジン+ハイブリッドを設定し、小さすぎるターボより実用域の効率を重視しています。またスバルはダウンサイジングではなく適度な排気量+直噴+ハイブリッドで低速トルクと燃費の両立を図る戦略です。エンジン単体の性能競争より、ハイブリッドシステム全体での性能最適化が重視され始めています。

大排気量スポーツ&高級車は存続

一方でスポーツカーや高級車では大排気量エンジンが存続している点も注目です。たとえばトヨタのレクサスブランドは5.0L V8V6ツインターボをまだラインナップしていますし、日産 GT‑Rも3.8Lツインターボエンジンを改良しながら2020年代中盤まで生産を続けています。

フェラーリやランボルギーニもハイブリッド化しつつV12V10エンジンを維持し、「排気量あたりの馬力向上」と電動化の両立を模索しています。究極の高性能車では 1,000 馬力超えも珍しくなく、EV のリマックなどは 2,000 馬力近い出力を誇ります。こうした夢のある領域では排気量より総合出力が重視されますが、ファンはエンジンサウンドやフィールも含め排気量の存在価値を感じているようです。

小排気量+電動化が主流へ

総じて2025年現在、街中で見かける車は「小排気量+ターボ」もしくは「小〜中排気量+ハイブリッド」が主流になりつつあります。

エンジンの排気量だけで優劣を論じる時代は過ぎ去り、モーター出力も含めたシステム全体でのパワーと効率が問われるようになりました。それでも基本となるエンジンの排気量と馬力の関係性を理解することは、スペック表を読み解いたり自分の求める車を見極める上で大いに役立ちます。

まとめ:自分に合った一台を選ぼう

排気量と馬力の関係は一見シンプルなようでいて、技術や目的によって様々な例外や工夫が存在することがお分かりいただけたでしょうか。カタログを見る際は数字の大小だけでなく「どんな出力特性を持つか」に注目しましょう。正しい知識があれば、小排気量ターボから大排気量NA、トルク重視のハイブリッドまで自分の使い方に合った一台を選べます。
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