馬力がカタログ値と実測値で異なるのはなぜ?
更新日:2024.09.09
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とある自動車専門誌が行った調査で、カタログに記載された馬力と実測値に、大きな開きがあったという結果が出たことがあります。なぜそんな違いが出てしまうのでしょうか?理由を探ります。
文・吉川賢一
文・吉川賢一
馬力の実測値がカタログと違うのはなぜか|カタログはエンジン軸出力の数値である
同じエンジンなのにカタログと実測で異なる数値が出てしまうもっとも大きな理由が、計測方法です。
自動車メーカーがカタログに掲載する数値は、JIS規格に定められている”自動車用エンジン出力試験方法”、通称ベンチテストと呼ばれる試験で計測された値です。このベンチテストは、エンジンを車両に搭載しない状態で、馬力や耐久性などを測定する試験です。
一方、実測値は、車両にエンジンを搭載した状態で、シャシーダイナモで計測します。シャシーダイナモは、ローラー上にタイヤを載せて行うシャシーダイナモメータ方式と、タイヤを外して車軸に装置を付ける車軸直結方式がありますが、いずれも車両が走行できる状態で計測します。
この違いによって、どうしてもカタログ値と実測値の間に差異が出てくるわけです。
自動車メーカーがカタログに掲載する数値は、JIS規格に定められている”自動車用エンジン出力試験方法”、通称ベンチテストと呼ばれる試験で計測された値です。このベンチテストは、エンジンを車両に搭載しない状態で、馬力や耐久性などを測定する試験です。
一方、実測値は、車両にエンジンを搭載した状態で、シャシーダイナモで計測します。シャシーダイナモは、ローラー上にタイヤを載せて行うシャシーダイナモメータ方式と、タイヤを外して車軸に装置を付ける車軸直結方式がありますが、いずれも車両が走行できる状態で計測します。
この違いによって、どうしてもカタログ値と実測値の間に差異が出てくるわけです。
馬力の実測値がカタログと違うのはなぜか|実験はどのように行われているのか?
自動車のエンジンに使われている試験方法は、ネット軸出力です。
ネット軸出力とは、JIS規格によると「エンジンを特定の用途に使用するのに必要な付属装置をすべて装着して測定した軸出力」で、エアクリーナー、排気ブレーキ、速度制限装置、吸気消音器、ラジエーター、ラジエーターファン、サーモスタット、電子制御装置などを装着することになっています。
ただし”車両の作動のみに必要となる付属装置は取り除く”と規定されおり、駆動系のパーツは装着する必要がありません。
一方で、実測値は完成車がシャシーダイナモ上で走るかたちになるため、すべてのパーツを装着した状態で試験することになります。クラッチ、ドライブシャフト、ハブ、ブレーキローターなど駆動系のパーツを通してタイヤで発生したパワーが、実測値の馬力として計測されます。
エンジンと計測する場所が離れているほど、ロスが生じやすくなるため、カタログ値と実測値の差異が生じやすくなります。
ネット軸出力とは、JIS規格によると「エンジンを特定の用途に使用するのに必要な付属装置をすべて装着して測定した軸出力」で、エアクリーナー、排気ブレーキ、速度制限装置、吸気消音器、ラジエーター、ラジエーターファン、サーモスタット、電子制御装置などを装着することになっています。
ただし”車両の作動のみに必要となる付属装置は取り除く”と規定されおり、駆動系のパーツは装着する必要がありません。
一方で、実測値は完成車がシャシーダイナモ上で走るかたちになるため、すべてのパーツを装着した状態で試験することになります。クラッチ、ドライブシャフト、ハブ、ブレーキローターなど駆動系のパーツを通してタイヤで発生したパワーが、実測値の馬力として計測されます。
エンジンと計測する場所が離れているほど、ロスが生じやすくなるため、カタログ値と実測値の差異が生じやすくなります。
馬力の実測値がカタログと違うのはなぜか|計測環境が違うと結果も変わる
JIS規格では、計測時には”標準大気状態に設定することが望ましい”とされています。この場合の標準大気は、温度が摂氏25℃、乾燥大気圧力が99kPaです。
この状態がエンジンの稼働にとってもっとも好ましいかというと、湿度や天候などその他の条件も関わってくるため、一概には言えません。また、規定には”望ましい”とされているだけなので、この環境が絶対条件というわけではなく、その計測環境の違いも、数値の差異につながってしまいます。
エンジンは、パーツとパーツがこすり合わさりながら動く仕組みです。そのため、摩擦によって失われるフリクションロスがどうしても生じます。このフリクションロスは、個体によって異なりますから、同じ形式の車両であっても異なるエンジン(個体)で計測すれば、その値に差異が出てくるのは、ある意味当然といえるかもしれません。
この状態がエンジンの稼働にとってもっとも好ましいかというと、湿度や天候などその他の条件も関わってくるため、一概には言えません。また、規定には”望ましい”とされているだけなので、この環境が絶対条件というわけではなく、その計測環境の違いも、数値の差異につながってしまいます。
エンジンは、パーツとパーツがこすり合わさりながら動く仕組みです。そのため、摩擦によって失われるフリクションロスがどうしても生じます。このフリクションロスは、個体によって異なりますから、同じ形式の車両であっても異なるエンジン(個体)で計測すれば、その値に差異が出てくるのは、ある意味当然といえるかもしれません。
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。