1馬力ってどれくらいのパワー?人間でもだせるの?
更新日:2024.09.09
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自動車のエンジン出力を示す単位として使われている"馬力"。「このクルマ、○○馬力もある!」という会話があるかと思いますが、1馬力とは一体どれくらいのパワーのことなのでしょうか。はたして人間でも出せるものなのでしょうか。今回は、この馬力を他のものに置き換えながら紹介していきます。
文・吉川賢一
文・吉川賢一
1馬力とはどれくらいの大きさなのか?
名前の通り、もともとは馬一頭が発揮する仕事率を1馬力と定めたことが由来です。1馬力の大きさは、輓馬(荷を引く馬)が、続けて荷物を引っ張るときの仕事率を基準に決めています。
継続して発揮できる量を表しており、単純に”馬の最高出力=1馬力”というわけではありません。ちなみに、競走馬のサラブレッドの脚力は、数十馬力にもなります。
もう少し詳しくみると「75kgの重量の物体を1秒間に1m動かす(持ち上げる)力」、つまり75kgf・m/sが1馬力となります。
継続して発揮できる量を表しており、単純に”馬の最高出力=1馬力”というわけではありません。ちなみに、競走馬のサラブレッドの脚力は、数十馬力にもなります。
もう少し詳しくみると「75kgの重量の物体を1秒間に1m動かす(持ち上げる)力」、つまり75kgf・m/sが1馬力となります。
馬力を身の回りのものに換算してみた
それでは、この1馬力をわかりやすく身の回りのもので換算してみましょう。
75kgの成人男性を1m、1秒間で持ち上げる場面を想像してみてください。かなりの力が必要ですよね。それを連続して行うことができれば、1馬力の人間ということになります。
次に、水の中を泳ぐ生物たちに換算してみましょう。(今回は簡単にするために水の抵抗は端折っています)
池で泳いでいるコイは全力で泳ぐと、時速3.5kmほどのスピードで泳ぐことができます。コイの重さを1kgとした場合、馬力は0.001馬力です。
これが時速15kmで泳ぐことができる重さ20kgの大きなカンパチになると0.11馬力。時速35kmで泳ぐイルカ(体重400kg)は5.29馬力。時速80kmで泳ぐマグロ(体重250kg)は7.56馬力。時速100kmで泳ぐカジキ(体重500kg)は18.9馬力で、250ccの単気筒バイクとほぼ同じです。
ちなみに、地球上でもっとも大きい動物であるシロナガスクジラ(体重150t)は、なんと1,732馬力!陸上自衛隊の90式戦車レベルの馬力ということになります。
75kgの成人男性を1m、1秒間で持ち上げる場面を想像してみてください。かなりの力が必要ですよね。それを連続して行うことができれば、1馬力の人間ということになります。
次に、水の中を泳ぐ生物たちに換算してみましょう。(今回は簡単にするために水の抵抗は端折っています)
池で泳いでいるコイは全力で泳ぐと、時速3.5kmほどのスピードで泳ぐことができます。コイの重さを1kgとした場合、馬力は0.001馬力です。
これが時速15kmで泳ぐことができる重さ20kgの大きなカンパチになると0.11馬力。時速35kmで泳ぐイルカ(体重400kg)は5.29馬力。時速80kmで泳ぐマグロ(体重250kg)は7.56馬力。時速100kmで泳ぐカジキ(体重500kg)は18.9馬力で、250ccの単気筒バイクとほぼ同じです。
ちなみに、地球上でもっとも大きい動物であるシロナガスクジラ(体重150t)は、なんと1,732馬力!陸上自衛隊の90式戦車レベルの馬力ということになります。
人間は1馬力をだせるのか?
1馬力は、PSやW(ワット)といった単位で表します。1馬力=735.5Wと変換できます。この735.5Wが、重さ75kgのものを1秒間に1m持ち上げるのと同等のパワーになります。
ちょっとわかりづらいので、重量挙げに置き換えてみます。75kgのバーベルを1秒間で1m持ち上げる、これくらいなら、ちょっとした力持ちの人ならできますよね。つまり、人間でも1馬力を出すことができるのです。ただし、継続して仕事をすることができない。それが人間と機械の違いです。
ちょっとわかりづらいので、重量挙げに置き換えてみます。75kgのバーベルを1秒間で1m持ち上げる、これくらいなら、ちょっとした力持ちの人ならできますよね。つまり、人間でも1馬力を出すことができるのです。ただし、継続して仕事をすることができない。それが人間と機械の違いです。
人間が出せる馬力の限界はどのあたりか?
重量挙げの例をみれば、人間が1馬力を超える力を出すこともできることがわかると思います。たとえば、100m走でも体重94kgのウサインボルト選手が100mを10秒で走ったときの馬力を計算すると、
94×100/10 =940W
1馬力は735Wですから、ウサインボルト選手は1馬力を上回り、約1.28馬力を出していることになります。ただし、100mを越えても同じスピードで走り続けることはできないので、瞬間的な最大馬力ということになります。
そう考えると、続けて同じ馬力を発揮することのできる自動車のエンジンというものが、たとえヴィッツや軽自動車といったアンダーパワーなものであっても、とてもすごいことをやっているのだいうことが実感できますね。
94×100/10 =940W
1馬力は735Wですから、ウサインボルト選手は1馬力を上回り、約1.28馬力を出していることになります。ただし、100mを越えても同じスピードで走り続けることはできないので、瞬間的な最大馬力ということになります。
そう考えると、続けて同じ馬力を発揮することのできる自動車のエンジンというものが、たとえヴィッツや軽自動車といったアンダーパワーなものであっても、とてもすごいことをやっているのだいうことが実感できますね。
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。