なぜ背の低いミニバンが減ったのか?理由を解説
更新日:2024.09.09
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2000年代前半、トヨタのイプサムやウィッシュ、ホンダのオデッセイやストリームなど、ミニバンのなかでも背の低い車種が人気を博しました。しかし、当時は年間販売台数トップ20に何度も登場したこれらのクルマが、現在は低迷し、コンセプトの変更や生産中止にまで追い込まれています。これは、なぜなのでしょうか?
文・赤井福
文・赤井福
ミニバンに求めるものが多角化した
ミニバンが日本で人気となったのは、1990年代からです。当時、3列シートで多人数が乗車できる車といえば、背の高いワンボックス系のクルマが大半でした。
それまでセダンやステーションワゴンなどに乗ってきたドライバーにとってワンボックスミニバンは、運転感覚や走行性能、デザインなどがネックとなり、販売を伸ばすことができませんでした。
そんななか、ホンダはステーションワゴンライクなデザインに3列シートを積んだオデッセイをデビューさせます。それまで、セダンやステーションワゴンに乗っていたドライバーにも受け入れやすいハンドリングと、スペースユーティリティで人気車種となりました。その後も、トヨタからイプサムやウィッシュ、ホンダ オデッセイなど、背の低いミニバンがヒットしました。
それまでセダンやステーションワゴンなどに乗ってきたドライバーにとってワンボックスミニバンは、運転感覚や走行性能、デザインなどがネックとなり、販売を伸ばすことができませんでした。
そんななか、ホンダはステーションワゴンライクなデザインに3列シートを積んだオデッセイをデビューさせます。それまで、セダンやステーションワゴンに乗っていたドライバーにも受け入れやすいハンドリングと、スペースユーティリティで人気車種となりました。その後も、トヨタからイプサムやウィッシュ、ホンダ オデッセイなど、背の低いミニバンがヒットしました。
しかし2010年頃から、ミニバンに求められるものが変化します。走行性能やデザインなどが良くなり、それまでの背の低いミニバンは影を潜め、代わりにワンボックス型のミニバンが主役に躍り出ます。
代表例は、トヨタ ノア/ヴォクシー、日産 セレナ、ホンダ ステップワゴンです。また大型化も進み、アルファード/ヴェルファイアも人気になります。
これらの車種に共通するものは、広々室内、しっかり座れる3列目、スライドドアという3点で、クルマに対して実用性・生活性を求めるようになったことも大きな要因でした。
お子さんが複数人いるファミリーでは、ワンボックス型ミニバンが生活の必須アイテムとなり、いいお父さん=ワンボックスミニバンの構図が出来上がりました。
代表例は、トヨタ ノア/ヴォクシー、日産 セレナ、ホンダ ステップワゴンです。また大型化も進み、アルファード/ヴェルファイアも人気になります。
これらの車種に共通するものは、広々室内、しっかり座れる3列目、スライドドアという3点で、クルマに対して実用性・生活性を求めるようになったことも大きな要因でした。
お子さんが複数人いるファミリーでは、ワンボックス型ミニバンが生活の必須アイテムとなり、いいお父さん=ワンボックスミニバンの構図が出来上がりました。
SUVが代わりを果たす
スライドドアのないミニバンは、もはやミニバンとしての魅力がなく、ヒンジドアで我慢するなら別車種へ乗り変えるという風潮が出てきます。そこで登場するのが、トヨタ ハリアーやホンダ CR-VといったSUVたちです。
ユーティリティも高く、荷物もしっかり積めて、2列目の乗り心地がいいとなると、背の低いミニバンにする意味合いがなくなってきたのです。さらに現在では、3列目シートを装備する車種も増えています。
用途や目的が完全にカブってしまい、背の低いミニバンはSUVに人気を奪われるかたちとなりました。
ユーティリティも高く、荷物もしっかり積めて、2列目の乗り心地がいいとなると、背の低いミニバンにする意味合いがなくなってきたのです。さらに現在では、3列目シートを装備する車種も増えています。
用途や目的が完全にカブってしまい、背の低いミニバンはSUVに人気を奪われるかたちとなりました。
中途半端だけど、それが良かった
スライドドアもなく3列目はエマージェンシー的もの。さらに取り回しが良いわけでもなかった背の低いミニバンたちですが、いま振り返れば、ある程度どんな要望にも答えられる中庸的なクルマづくりが日本らしさでもあったのではないでしょうか。
めっきり人気のなくなった背の低いミニバンですが、日本独自の文化が生み出した傑作と言えるクルマたちが多くあります。ブームの波に押され、消滅しそうなジャンルですが、今もなお、様々な満足に答えられるユーティリティプレイヤーであることを忘れてはいけないのだろうと思います。
めっきり人気のなくなった背の低いミニバンですが、日本独自の文化が生み出した傑作と言えるクルマたちが多くあります。ブームの波に押され、消滅しそうなジャンルですが、今もなお、様々な満足に答えられるユーティリティプレイヤーであることを忘れてはいけないのだろうと思います。
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文・赤井福
大学卒業後、金融業に従事。その後、6年間レクサスの営業マンとして自動車販売の現場に従事する。若者のクルマ離れを危惧し、ライターとしてクルマの楽しさを伝え、ネット上での情報発信を行っている。
文・赤井福
大学卒業後、金融業に従事。その後、6年間レクサスの営業マンとして自動車販売の現場に従事する。若者のクルマ離れを危惧し、ライターとしてクルマの楽しさを伝え、ネット上での情報発信を行っている。