【窓落ち】車の窓が閉まらない・上がらない!慌てないための原因と対処法

サイドガラス VW

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自動車のドアについているサイドウインドウ(窓ガラス)は、スイッチ操作やハンドル操作で上下に開閉できます。しかし突然「ストン」と窓ガラスがドア内部に落ちてしまい、そのまま動かなくなるトラブルが稀に起こります。この現象を俗に「窓落ち」と呼びます。窓落ちが発生すると、開け閉めの操作が一切できなくなり、窓が開きっぱなし(または閉じっぱなし)で固定されてしまいます。想像以上に困る故障で、「なぜ起きるの?」「起きたらどう対処すれば?」と不安になる方も多いでしょう。

CARPRIME編集部

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Chapter
サイドウインドウの仕組み(レギュレーターとは)
アーム式レギュレーター
ワイヤー式レギュレーター
手動式ウインドウの窓落ちの原因
レギュレーターのギア部分の故障・摩耗
窓ガラスを支える「窓受け」からガラスが外れる
パワーウインドウの窓落ちの原因
モーターやスイッチの故障
レギュレーターのワイヤー切断・外れ
窓受け(金具)からガラスが外れる
窓落ちが起きてしまった時の対処法
応急処置:安全確保と窓の保護
修理は早めに依頼を
DIY修理はできる?注意点
プロ(専門業者)に任せるメリット
的確な故障診断
確実な修理と保証
作業中のリスク回避
トータル点検
車両トラブルに関する記事はこちら
窓落ちを予防するための日頃の対策
無理な操作をしない
ゴムチャンネルのメンテナンス
定期点検を欠かさない
近年の車は窓落ちしにくい?最新事情
まとめ
その他の記事はこちら

サイドウインドウの仕組み(レギュレーターとは)

車のドア内部には、窓ガラス(サイドウインドウ)を上下に動かすための機構が組み込まれています。この仕組みは「レギュレーター」と呼ばれ、手動・電動を問わずサイドウインドウの昇降に欠かせない部品です。レギュレーターには大きく分けてアーム式とワイヤー式の2種類があります。

アーム式レギュレーター

テコの原理のような金属製の腕(アーム)でガラスを支える方式です。手動式ウインドウに多く採用され、シザーズ機構(ハサミ状のX字アームなど)でガラスを持ち上げます。

ハンドルを回すと歯車を介してアームが動き、窓ガラスを上下させます。電動(パワーウインドウ)でも車種によってはアーム式が使われます。

ワイヤー式レギュレーター

細長いレールとワイヤー(ケーブル)を使う方式です。電動式で多く採用され、モーターの回転によってワイヤーを巻き取り・繰り出しすることで窓ガラスを上下させます。

ガラスは「窓受け」と呼ばれる支持部品に固定されており、その窓受けがワイヤーに連動してレールに沿って動くことでガラスが昇降します。

要するに、手動式は人力でハンドルを回し歯車とアームでガラスを動かし電動式(パワーウインドウ)はモーターとワイヤー/アームでガラスを動かす、という違いがあります。

いずれの場合も、窓ガラスはレギュレーターによって支えられており、この部品の不具合が「窓落ち」の主な原因になります。

手動式ウインドウの窓落ちの原因

レギュレーターのギア部分の故障・摩耗

長年の使用で、ハンドルと連動する歯車(ギア)がすり減ったり欠けたりすると、他の部品とかみ合わなくなり窓ガラスを支えられなくなります。

ギアが空回りしてしまうため、ハンドルを回してもガラスが上がらず、場合によってはガラスが落下(窓落ち)してしまいます。この場合、根本解決するにはレギュレーター交換などの修理が必要です。

窓ガラスを支える「窓受け」からガラスが外れる

窓ガラス自体は下端が金具の窓受け(ガイドチャンネル)にボルト留めやはめ込みで固定されています。この固定が外れてしまうとガラスを保持できなくなり、ガラスがドア内部に落ち込んでしまいます。

昔は荒っぽいハンドル操作(勢いよく一気に回す等)で衝撃が加わり、窓受けからガラスが外れるケースが多くありました。また一昔前の車では、未舗装路を走行中にハンドルを回すとガタガタ揺れで窓が落ちるなんてこともあったようです。

なお手動式の場合、こうした不具合が起きると基本的には部品交換による修理が必要です。無理に放置すると走行中に窓がずれたり、ドア内部でガラスが割れてしまう危険もあります。

パワーウインドウの窓落ちの原因

モーターやスイッチの故障

窓を動かすモーターが焼き切れたり、開閉スイッチや配線が故障したケースです。厳密にはモーター不良でガラス自体が落ちる(脱落する)ことは稀ですが、モーターが回らず窓が下がったまま上がらない症状などを広義に「窓落ち」と呼ぶ場合があります。

この場合はモーター交換が必要になります。またスイッチ側の断線や接触不良でもモーターが動かず窓が上がらなくなるため、原因を切り分けて修理します。

レギュレーターのワイヤー切断・外れ

ワイヤー式レギュレーターでは、ワイヤー(ケーブル)が切れたり、巻き取り用のプーリー(滑車)が破損してワイヤーが緩むと、窓ガラスを支えられなくなって「ストン」と落ちてしまいます。

ワイヤーが切れる原因は経年劣化や過度の負荷です。例えば短時間に何度も窓を上げ下げするような無茶な操作は、想定以上の負荷がかかりワイヤー切断を招きかねません。

また、ワイヤーを固定している樹脂製の部品(クリップなど)が劣化で折れるとワイヤーが外れてしまうこともあります。結果としてワイヤーがフリーになりガラスが底まで落下し、二度と上がらなくなってしまいます。

窓受け(金具)からガラスが外れる

こちらは手動式と同様、ガラスそのものが窓受けから外れてしまうケースです。電動の場合も、窓ガラスはレギュレーターのガイドにボルト留め等で固定されています。

この固定部品(多くはプラスチック製クリップ)が劣化・破損して外れると、ガラスが支えを失い落ち込んでしまいます。開閉時に「ガタガタ」「ギシギシ」と異音が出始めたら要注意です。これは窓ガラスとガイドの連結部が緩んだり割れかけたりしているサインで、放置すると窓落ちに発展する恐れがあります。

窓落ちが起きてしまった時の対処法

応急処置:安全確保と窓の保護

まず最優先すべきは安全の確保です。走行中に窓落ちが起きた場合、驚いて急ハンドルを切ったりしないよう注意してください。可能であれば車を安全な場所に停車させ、状況を落ち着いて確認しましょう。

窓ガラスがドア内部に落ち込んでしまった場合、無理に手を突っ込んで引き上げようとしないでください。ガラスの角で手を切る危険があるほか、内部の破損部品で怪我をする恐れもあります。

ガラスが割れてしまっている場合は、破片で怪我をしないよう厚手の手袋を着用し、可能なら破片をそっと取り除きましょう。

窓が閉まらないままだと雨水の侵入など被害が拡大します。実際、窓落ちによって窓が開いたままになると、雨風やホコリの侵入は避けられません。そこで応急的にでも窓部分を塞ぐ処置が必要です。

手元にビニールシートタオルがあればドア枠に被せ、ガムテープなどで雨風の侵入口をふさぎましょう。多少みっともなくても背に腹は代えられません。窓枠にテープを貼ってビニールを張るだけでも、ないより遥かにマシです。

一時的な処置ではありますが、車内への雨水浸入や防犯上のリスク軽減に役立ちます。

もし窓ガラスが途中まで残っている場合は、二人がかりでガラスを手で持ち上げて所定位置まで戻し、テープで固定する方法もあります。

例えば養生テープや布テープでガラスとドア枠をぐるぐる巻きにして留めれば、簡易的に窓を閉じた状態にできます。ただしこの際もガラスを割らないよう慎重に扱ってください。

また強風時の走行ではテープ固定が外れる可能性もあるため、速度を出しすぎないようにしましょう

修理は早めに依頼を

応急処置ができたら、できるだけ早めに専門の工場やディーラーに連絡・修理依頼することをおすすめします。窓落ちは放置すると様々なデメリットがあります。例えば...

  • 車検に通らない
日本の保安基準では運転席・助手席の窓ガラスが正常に開閉でき、確実に閉まることが求められます。窓が閉まらないままだと車検では不合格になる可能性が高いです。

  • 修理費用が余計にかさむ
ガラスが完全に脱落・破損してしまうと、レギュレーター交換だけでなく窓ガラスそのものの交換まで必要になります。ガラス交換となれば部品代が上乗せされ、修理代はさらに高額になってしまいます。実際「窓落ちが起きると修理費用が高くなる」という指摘もあります。

  • 日常使用に支障が出る
窓が開かないと駐車券の受け渡しやドライブスルーで不便ですし、逆に閉まらないと雨風や虫の侵入、防犯面で大きな問題となります。そのままでは安心して日常利用できないでしょう。

DIY修理はできる?注意点

ある程度車いじりに慣れている方なら、「自分で直せないか?」と考えるかもしれません。窓落ちの修理はドアの内張りを外してレギュレーターや関連部品を交換する作業ですが、DIYでの修理には注意が必要です。

まず現状でどの部品が原因か適切に診断する必要があります。モーター不良なのか、ワイヤー切断なのか、ガラス外れなのかで作業内容が変わります。

部品を取り寄せるにしても故障箇所を特定しなければなりません。レギュレーターAssy(アッセンブリー)ごと交換となると、車種によっては新品部品代だけで1〜4万円程度はします。中古部品の活用で費用を抑える手もありますが、信頼性とのトレードオフです。

またドア内張の脱着やレギュレーター交換には工具と作業スペースが必要です。電装系の作業になるためバッテリーを外してから行うなど、安全手順も守らなくてはいけません。

最近の車はドア周りにエアバッグや配線が通っている場合もあり、下手にいじると二次トラブルを招きかねません。

さらにパワーウインドウのアンプ基板修理など電子工作の領域になると、専門知識やハンダ付け技術が必要で、一般の方にはハードルが高いでしょう。総じて、専門知識や十分なスキルがない場合は無理に自分で直そうとしないことを強くおすすめします。

プロ(専門業者)に任せるメリット

的確な故障診断

プロなら短時間で原因箇所を特定できます。モーター不良かレギュレーターか配線か、といった切り分けが的確です。無駄な部品交換を避けられます。

確実な修理と保証

正規ディーラーであれば新品部品で修理し、一定期間の修理保証も付きます。万一再発しても対応してもらえる安心感があります。自分で直した場合のような「ちゃんと直せているか不安…」という心配もありません。

作業中のリスク回避

ガラスの取り外し・取り付けや内張のクリップ外しなど、繊細な作業もプロに任せれば安心です。万一作業中にガラスが割れたりしても、プロなら適切に対処してくれます(自分で割ってしまうと自己責任ですが、プロの作業中なら通常補償されるでしょう)。

トータル点検

窓落ち修理のついでに他のドア機構やパーツも点検・調整してもらえる場合があります。例えば他の窓の動きもチェックし、予防的にグリスアップしてくれるなど、プロならではの気配りも期待できます。

車両トラブルに関する記事はこちら

窓落ちを予防するための日頃の対策

無理な操作をしない

パワーウインドウのスイッチを連打したり、閉まり切る前にまた開けるなどの乱暴な操作は避けましょう。特にモーター音が鈍い時に無理に動かそうとすると、ワイヤーやモーターに大きな負荷がかかります。また、悪路走行中はできるだけ窓の開閉を控えるのも有効です(振動による部品緩みを防ぐ)。

ゴムチャンネルのメンテナンス

窓ガラスがスムーズに動くためには、ガラス周囲の溝(ガラスランチャンネル)が重要です。ここが汚れて摩擦抵抗が大きくなると、開閉に余計な力が必要になりレギュレーターやモーターに負担をかけます。

定期的にシリコンスプレーを吹き付けて潤滑・清掃しましょう。シリコンスプレーはホームセンター等で数百円程度で買える手軽な潤滑剤ですが、効果は絶大です。ポイントは、ゴムを傷めない専用のシリコン系潤滑剤を使うことです。

浸透潤滑剤の有名どころ(いわゆる「クレ556」等)はゴムを劣化させベタつきを残すので避けてください。

シリコンスプレーを窓枠のゴム溝にシュッと一吹きし、窓を数回上下させるだけでOKです。やりすぎは逆に汚れを呼ぶので薄く均一に塗布しましょう。数百円の投資で数万円の修理代節約につながる可能性もあります。

定期点検を欠かさない

プロに車を診てもらう定期点検(法定点検など)を受けていれば、窓機構の不調も早期に発見できます。実際ディーラーでも「年1回の法定点検を欠かさないことが窓落ち対策になる」とアドバイスしています。愛車を長く使うためにも定期点検はしっかり受け、整備士に気になる症状を相談すると良いでしょう。

近年の車は窓落ちしにくい?最新事情

フォルクスワーゲン ポロTSI R-Line

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例えばパワーウインドウ用レギュレーターにはアーム式とワイヤー式がありますが、近年の多くの車種では軽量化や設計自由度の高さからワイヤー式が主流となっています。ワイヤー式は、過去にはワイヤー切断や樹脂部品の破損による窓落ちトラブルもありましたが、現在では素材の強化やクリップ部の改良が進んでいます。

例えば一部輸入車(フォルクスワーゲン等)では、2000年代前半に窓落ちが頻発したためプラスチック製クリップを金属製に変更するリコール対策が行われた例もありました。現在のモデルではこうした弱点は改善され、「最新モデルでは窓落ちはほとんど起きない」と言われるほどです。

さらに、挟み込み防止機構(パワーウインドウのオートリバース機能)の発達も窓落ち防止に寄与しています。これは本来は安全機能ですが、窓の動きに過負荷がかかると自動停止・逆戻りする仕組みで、結果的にレギュレーターやモーターへ無理な力が加わるのを防いでくれます。

メンテナンス面でも、サービス工場で窓周りの給脂(グリスアップ)や調整が定期的に行われるようになり、予防的ケアが徹底されるようになりました。

こうした背景から、新しい車ほど窓落ちは起きにくくなっています。

まとめ

最近の車では対策が進み昔より発生頻度は減っていますが、ゼロではありません。愛車のサイドウインドウがスムーズに動くか常に気を配り、少しでも異変を感じたら早期に点検・整備することが肝心です。

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