意外に知らない!?マイナーチェンジの裏側を解説
更新日:2024.09.12
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一般的に、乗用車は7〜8年毎にフルモデルチェンジが行われます。それに対し、マイナーチェンジは2〜3年に1度、多い車だと毎年行われることもあります。バンパーやホイールのデザインがリファインされたり、専用装備品が追加されたりと、マイナーチェンジ前よりも魅力的な商品になって発売されますが、このマイナーチェンジには、ユーザーの知らない裏側があるのです。
文・吉川賢一
文・吉川賢一
マイナーチェンジはどうして行われるのか?
自動車の場合、発売開始した直後が、もっともたくさん車両が売れます。その後、販売台数は下降線をたどり、売れ行きは落ち着きます。モデルチェンジは開発の都合上、早くても5年、通常は7年程度はかかってしまいます。そのため、販売台数が落ち切ってしまう前に、定期的なテコ入れとして、モデル名はそのままで、新しい仕様や装備に改良するマイナーチェンジが行われます。
このマイナーチェンジは、モデルサイクル内で1回行われた場合、その前後のモデルを「前期型」「後期型」といい、2回行われた場合は「前期型」「中期型」「後期型」と呼ぶことが多いです。
ただし、日産 GT-R(R35型)のように、ライフスパンが非常に長く(デビューから2018年で12年目)、毎年のようにマイナーチェンジを行うクルマの場合は「年式+モデル名」で呼ばれています。特に、北米などの海外市場向けは、この形式が多く「FY18モデルの日産GT-R」といった呼ばれ方をします。
このマイナーチェンジは、モデルサイクル内で1回行われた場合、その前後のモデルを「前期型」「後期型」といい、2回行われた場合は「前期型」「中期型」「後期型」と呼ぶことが多いです。
ただし、日産 GT-R(R35型)のように、ライフスパンが非常に長く(デビューから2018年で12年目)、毎年のようにマイナーチェンジを行うクルマの場合は「年式+モデル名」で呼ばれています。特に、北米などの海外市場向けは、この形式が多く「FY18モデルの日産GT-R」といった呼ばれ方をします。
マイナーチェンジでこんなことが行われている
マイナーチェンジでは、エンジンの型式やプラットフォームはそのままに、バンパーやホイールといったエクステリアデザイン、インテリアの部分変更、エンジンの小改良などに留まります。
ただし、新エンジンを採用したグレードを追加するなど、通常のマイナーチェンジよりも大幅な変更が加えられた場合には、ビッグマイナーチェンジと呼ぶことがあります。
最近では、マツダ CX-3がディーゼルエンジンの排気量変更や、スマート・シティ・ブレーキ・アシストや夜間の歩行者検知サポートといった安全性能のアップデートを施した際にビックマイナーチェンジと発表されました。
ただし、新エンジンを採用したグレードを追加するなど、通常のマイナーチェンジよりも大幅な変更が加えられた場合には、ビッグマイナーチェンジと呼ぶことがあります。
最近では、マツダ CX-3がディーゼルエンジンの排気量変更や、スマート・シティ・ブレーキ・アシストや夜間の歩行者検知サポートといった安全性能のアップデートを施した際にビックマイナーチェンジと発表されました。
商品改良という名の原価低減
一部のクルマ好きには知られた話ですが、自動車メーカーは常々、部品の原価を低減する方法を模索しています。
たとえば、エンジンの異なる2つの車種に共用できる新型エンジンが開発されたとします。その場合、これまで2台がそれぞれバラバラに使っていたエンジン本体、エンジンマウント、排気系、補器類といった部品を、統合することができます。
すると、部品費が下がり、原価低減ができます。なぜなら、設備のなかでもっとも高いのが金型であり、同じ部品を沢山作るほど、部品ひとつあたりの単価が下がるためです。
マイナーチェンジでその新型エンジンを使う車種を、2台、3台と増やしていけば、そのたびに部品費が下がるため、自動車メーカーは”儲かる”ことになります。
また、部品の構造や素材を見直して、コストを下げる検討もされています。アルミで出来ている構造体を鉄に置き換えたり、ウレタンをゴムに置き換えたりと、目に見えない部分で原価を低減しているのです。
ただし、乗り心地やロードノイズといった性能が、目に見えて低下することが無いよう、検証実験が行われ、問題ないものだけが採用されていることは言うまでもありません。
しばしば「モデルチェンジ直前が完成度が高い」と言われますが、じつはもっとも贅沢な仕様は、モデルチェンジ直後なのです。
たとえば、エンジンの異なる2つの車種に共用できる新型エンジンが開発されたとします。その場合、これまで2台がそれぞれバラバラに使っていたエンジン本体、エンジンマウント、排気系、補器類といった部品を、統合することができます。
すると、部品費が下がり、原価低減ができます。なぜなら、設備のなかでもっとも高いのが金型であり、同じ部品を沢山作るほど、部品ひとつあたりの単価が下がるためです。
マイナーチェンジでその新型エンジンを使う車種を、2台、3台と増やしていけば、そのたびに部品費が下がるため、自動車メーカーは”儲かる”ことになります。
また、部品の構造や素材を見直して、コストを下げる検討もされています。アルミで出来ている構造体を鉄に置き換えたり、ウレタンをゴムに置き換えたりと、目に見えない部分で原価を低減しているのです。
ただし、乗り心地やロードノイズといった性能が、目に見えて低下することが無いよう、検証実験が行われ、問題ないものだけが採用されていることは言うまでもありません。
しばしば「モデルチェンジ直前が完成度が高い」と言われますが、じつはもっとも贅沢な仕様は、モデルチェンジ直後なのです。
燃費の良いエンジン、刷新されたカッコいいバンパーやホイールデザインなど、マイナーチェンジ後のほうが商品の魅力は高く見えますが、このような裏側があることを知ってしまうと、購入タイミングが悩ましくなります。
次回、愛車購入の際には、こうした背景も考えてみると、面白いかも知れませんね。
次回、愛車購入の際には、こうした背景も考えてみると、面白いかも知れませんね。
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。