ビッグマイナーチェンジしたスバル BRZ

アヘッド スバル BRZ

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シンメトリカルAWDを採用し、安定した走りを提供することが信条だったスバル。だからこそFRレイアウトを採用するBRZは異端児だった。トヨタとの共同プロジェクトでスタートしたFRスポーツカーは、今にして思えばスバルに新たなる風を吹き込んだ1台だ。

text:橋本洋平 [aheadアーカイブス vol.165 2016年8月号]
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ビッグマイナーチェンジした スバル BRZ

ビッグマイナーチェンジした スバル BRZ

およそ4年前に誕生したBRZは、年次改良を続け、これまでにA型からD型まで市場に排出してきた。だが、どのタイミングであっても変わらずにいたのは、リアのスタビリティをきちんと確保していたことだった。

AWDで培ってきた信条を曲げることなく、あくまでも安定した走りを提供しようという姿勢は変わらなかった。兄弟車でありライバルでもあるトヨタ86は、ドリフトを意識したセッティングをあえて行い、どちらかといえばオーバーステア傾向。BRZとは明らかに目指すところが違っていた。だが、今回のビッグマイナーチェンジでは、それぞれの方向性に変化が生まれている。

フェイスリフトを行い、灯火類はすべてLED化された後期型(新型の意・メーカー呼称)のBRZは、インテリアも大幅に変更され、ステアリングは小ぶりに、メーターはカラーTFT液晶が奢られるなど、明らかに上質に変化した。

しかし、ポイントはソコだけじゃない。ボディ細部は板厚のアップがフロントからリアまで行われ、さらに後輪のタイヤハウス内には当て板が加えられるというマニアックな進化を果たしている。そのボディに合わせて足回りのセッティングも変更。タイヤはこれまでと変わっていない。

また、エンジン細部のフリクションロスを低減したほか、インマニやエキマニを変更したことでパワーアップ。ファイナルギアもローギヤード化しており、より走りに振った仕上がりになっている。

走れば日常域からアクセルのツキが良く、低回転でダルかったイメージは払拭。リニアにいつでも吹け上がる仕上がりになった。シャシーもまた微操舵域からリニアに応答。乗り味にしなやかさが加わったところも見逃せない。

また、リアの安定感だけで終わらず、フロントの回頭性が向上し、グリップでもドリフトでもコントローラブル。レベルは数段上がったが、以前の86的な方向性へとスイッチ。後期型86は空力を武器にBRZ方向に寄ってきた。

安定性ばかりに終始せず、遊び心も入ってきたBRZ。これはクルマが成長したことで生まれた余裕のあらわれ。これまでのスバルの考え方に凝り固まることなく、開発陣の考え方に変化が出てきたといってもいいだろう。

4年の歳月を経て熟成したBRZには、スバルの未来像が凝縮されているのかもしれない。
●SUBARU BRZ
車両本体価格:¥2,970,000(S・6MT、税込)
全長×全幅×全高(㎜):4,240×1,775×1,320
車両重量:1,240㎏
エンジン:水平対向4気筒2.0ℓDOHC 16バルブ デュアルAVCS 
排気量:1,998cc
最高出力:152kW(207ps)/7,000rpm
最大トルク:212Nm(21.6kgm)/6,400-6,800rpm 
JC08モード燃費:11.8㎞/ℓ
駆動方式:RWD(後輪駆動)

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text:橋本洋平/Yohei Hashimoto
自動車雑誌の編集部在籍中にヴィッツ、フォーミュラK、ロドスターパーティレースなど様々なレースを経験。独立後は、レースにも参戦する“走り系モータージャーナリスト”として活躍している。走り系のクルマはもちろん、エコカーからチューニングカー、タイヤまで執筆範囲は幅広い。「GAZOO Racing 86/BRZ Race」には、84回払いのローンで購入したトヨタ86 Racingで参戦中。
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