バブル期が生んだ、遊び心満載なパイクカー5選

日産 Be-1

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パイクカーとは、バブル期に誕生、流行した、既存シャーシに特別個性の強いボディを架装した車両のことで、大量生産車にはない”遊び心”に満ちています。現在は下火になってはいるものの、復活を望む根強いファンも存在します。今回は、そんなパイクカーを5車ご紹介します。
Chapter
①日産 Be-1
②日産 エスカルゴ
③いすゞ ビークロス
④スバル ヴィヴィオ ビストロ
⑤ミツオカ ビュート

①日産 Be-1

1987年に登場した日産 Be-1は、日本パイクカーの先駆車。この車の登場と成功がなければ、日本にパイクカーブームは訪れなかったと言っても、過言ではありません。

初代マーチをベースに、レトロデザインのボディを架装したBe-1は、円形のヘッドライトにインパネ、ターンライトやリアコンビランプは楕円形で処理し、バンパーの角や車体側面にも丸みをもたせるなど、円がモチーフになっています。

初代マーチが室内効率の良いボクシーな車体で、実用車としてのデザインであったため、そのギャップに心を奪われたファンが続出。黄色いBe-1は、現在でも日産本社ギャラリーなどで見ることができます。

このBe-1の成功により、同じマーチのシャーシをベースにしたパオ、フィガロが登場します。そしてこのパイクカーブームは、商用車にまでおよぶことになりました。

②日産 エスカルゴ

1989年に登場した日産 エスカルゴは、当時の商用車(パルサーバン)のシャーシを使用した小型ボンネットバンです。国産商用車のパイクカーは、後にも先にもエスカルゴ以外存在しません。

エスカルゴの車名の由来は、フランス語でカタツムリを意味するエスカルゴから。これに貨物車のカーゴに意味も持たせ、"S-Cargo"としました。外観はひと目見てカタツムリとわかるくらいにカタツムリ然としています。

エスカルゴは1989年当時の商用車としては珍しく、変速機はATのみ(しかもインパネAT)。これにより前左右席足元がスッキリ。運転席側ドアが開かなくても、助手席側ドアへの移動がスムーズでした。

荷室部分のボディサイドには円形の窓が設置されますが、オプションにより未設置も選択できました。また、屋根は鋼板だけでなくキャンバストップも選択可能。この点で単なる商用ではなく、若者の遊び道具としての狙いもあったようです。

③いすゞ ビークロス

まだバブルの影響が残っていた1997年、いすゞからビークロスが発売されました。1992年に発表されたコンセプトカーは、FFジェミニのコンポーネントの使用を前提としてデザインされたもので、もし実現していたら、現代のトヨタ C-HRと似た車種になっていたかもしれません。

しかし実際に発売されたビークロスは、ビッグホーン(ショート)のシャーシに独特のデザインのボディを架装したものでした。都会的で未来的なデザインのボディとワイルドなオフローダーのシャーシの組み合わせで、トヨタ ハリアーよりも早く登場したクロスオーバーSUVでした。

ところが、複雑なボディパネルの製造工程と独特のデザインや2ドア車の使い勝手の悪さなどから販売台数は振るわず、国内販売は2年間でおよそ4,000台に留まることとなりました。

④スバル ヴィヴィオ ビストロ

軽自動車にもパイクカーに分類される車種がありました。それが1995年に登場したスバル ヴィヴィオ ビストロです。

ヴィヴィオは軽自動車としてオーソドックスなデザインで、奇をてらったものではありません。しかしヴィヴィオ ビストロは円形ヘッドライトと専用ボンネット、円形ターニングランプを採用。大型縦桟グリル、バンパー、サイドモールはシルバーメッキが施されており、どこかブリティッシュな印象を醸し出していました。

しかしそれは外観だけのこと。中身はヴィヴィオとほとんど変わらず、エンジンは直4SOHCのキャブとEMPI(電子制御式燃料噴射)、直4SOHC EMPI スーパーチャージャー、直4DOHC EMPI スーパーチャージャーの4種類を用意。

駆動方式はFF、ビスカスカップリング式フルタイム4WD、パートタイム4WD。変速機も、5MTとCVTを用意し、幅広いユーザーの嗜好に応えました。

⑤ミツオカ ビュート

ミツオカが1993年に発売したビュートも、マーチをベースにしたパイクカーです。ただし、こちらのベースは2代目のマーチです。

3BOXデザインで、特徴はクラッシックな装いであること。各電灯部は円形で、フロントグリルは縦長、フロントとリアのフェンダーラインは丸く、トランクリッドは丸い弧を描いて降下します。車体各部にメッキパーツが装着され、マーチの面影はキャビン周りに残るのみです。

ボディは、キャビン部のボディパネルを残し、フロント部とリア部をオリジナルに改修する手法で製作されます。そのためエンジンや安全装備などはマーチ同様の性能と安全性です。エアコンなど主要装備もマーチと同等、内装がオプションで本木目パネルや本革シートに変更可能です。

1993年に登場した初代ビュートは、2代目マーチをベースとしたため、2ドアと4ドアのセダン、3ドアと5ドアのハッチバック、2ドアのコンバーチブルの5タイプが用意されました。

2代目ビュートは3代目マーチ、3代目ビュートは4代目マーチをベースとしているため、4ドアセダンのみの設定となります。また3代目ビュートのハッチバックモデルは、『なでしこ』として独立車種になっています。
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