スピードメーターの値、実際の速度と誤差があるって本当?その要因とは?

ドライバーが運転中に意識すべきものの一つ、スピードメーター。しかし、スピードメーターの値は、実際の速度と若干の乖離があるのです。今回は、スピードメーターの誤差の要因、そして道路交通法において、その誤差をどう解釈し取り入れているのか、についてご紹介していきます。

文・わんわんエンジニア

スピードメーターの表示には許容誤差がある

メーター

スピードメーターの表示と、実際の速度の「誤差」は法規で規定されています。

「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第148条」で、スピードメーターの誤差範囲は、次の数式で定められています。

10(V1-6)/11 ≦ V2 ≦ (100/94)V1

V1:スピードメーターの表示速度
V2:実際の速度

スピードメーター上で 60km/hと表示される場合、実車速の許容誤差は49.1km/h~63.8km/hとなります。

注目点は、スピードメーター表示が、実速度より低めの誤差については厳しく、逆に高めの表示の誤差については、甘い規定になっていることです。言い換えると、スピードメーターは、実際の速度より高めに表示することを、法規で推奨しているといえます。

多くのクルマを調査すると、スピードメーターは、実際の速度より高めに表示することはあっても、低めに表示することはなかったようです。

では、なぜスピードメーターは、実際の速度よりも高めに表示することが推奨されているのでしょうか。

一つ目の理由は、実車速は高いのに、ドライバーが「スピードは高くない」と錯覚し、事故を起こしてしまう可能性があるため。またもう一つは、スピード違反で捕まった場合、メーターの表示で速度を確認し、法定速度を守って運転していたと主張するドライバーと、メーカー間でのトラブル回避のためです。

多くの方は後者を思い浮かべるかもしれませんが、より大事なことは、一つ目の運転ミスによる事故を起こさないことです。

ハンドル 運転

スピードメーターと実速度との乖離は、現在のシステムにおいては避けられないものです。そして道路交通法において、この誤差は、ドライバーをより安全運転に導くよう、いわば「利用」されているのです。私たちドライバーを厳しく取り締まる法規は、実はこんなにも私たちドライバーのことを考えて設定されているものなのです。

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文・わんわんエンジニア
某自動車メーカーで30年以上、エンジンの研究開発に携わってきた経験を持ち、古いエンジンはもちろん最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。EVや燃料電池が普及する一方で、ガソリンエンジンの熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きなクルマで、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ること。