直噴エンジンの燃費が良いと言われる理由とは?

三菱 GDIエンジン

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ガソリンエンジンは、シリンダー内にガソリンと空気が混ざった混合気を噴射し、圧縮。スパークプラグで点火するという形式を採用していました。その考え方を変え、空気を先に送り込み、その圧縮行程でガソリンをシリンダー内に噴射してスパークプラグで点火する直噴エンジンが市販されたのは、もう20年以上も前のこと。三菱自動車がリリースしたGDIエンジンや、98年にリリースされたトヨタのD4エンジンなど、各メーカーが直噴エンジンにトライし、失敗しました。しかし、ここにきて多くの車が直噴エンジンを搭載しています。直噴エンジンは、なにが良いのでしょう。
Chapter
ガソリンエンジンの構造と低燃費対策
圧縮比とノッキング対策
高圧縮比の実現
冷却問題も解決

ガソリンエンジンの構造と低燃費対策

一般的なガソリンエンジンでは、吸気した空気にガソリンを霧状にして噴射、混合します。この混合気は吸気バルブの直前で作られ、シリンダー内に吸い込まれた時には混合気になっています。

それを圧縮しスパークプラグで点火することで、混合気が爆発。ピストンが押し下げられ、エンジンパワー(トルク)が生まれます。これが、4ストローク・ガソリンエンジンの基本的な構造です。

低燃費エンジンを作るために、世界中の多くのメーカーが技術革新に挑んでいるわけですが、ガソリンエンジンの燃費対策として有効なものとしては、2つ挙げられます。

1、圧縮比を上げること
2、シリンダー内の冷却をきちんと行うこと

これらがなぜ必要なのかを見ていきましょう。

圧縮比とノッキング対策

まず”圧縮比を上げる”ということに関してですが、エンジンの圧縮比とは、ピストンの下支点(ピストンが一番下の状態)とピストンの上支点(ピストンが一番上の状態)で、内燃室容積の比率です。この圧縮比が高いことは、エンジンの熱効率が良いということに繋がり、同じ燃料でもよりパワーが稼げたり、燃費が向上したりします。

そのため、この圧縮比を上げることは燃費向上に役立ちます。一般的な自然吸気エンジンで10:1、ターボエンジンでは9:1以下となります。ちなみに、ディーゼルエンジンでは20:1というものもあるようです。

圧縮は高いほど良いのであれば、単純に圧縮比を上げたエンジンを設計すればいいように思えますが、圧縮された混合気は高温になり、自然発火してしまうことがあり、ノッキング(早期点火)が起こります。

もうひとつの”エンジン冷却”ですが、これもノッキング対策に必要になります。

高回転時においてエンジンは、それ自体の熱によって圧縮比が適正であってもノッキングを起こす可能性があります。エンジン内に水をかけるわけにはいきませんから、高回転時にはガソリンを余計に噴射してシリンダー内を冷やします。これによってノッキングを防ぐことが可能になるのです。

ノッキングを起こすとエンジンが不調になるだけでなく、ひどい場合にはエンジンブローを起こす可能性もあります。そのため、メーカー側は圧縮比も上げすぎず、冷却用の燃料噴射も安全マージンを十分に取ってエンジンを作ることになります。これにより、従来のエンジンでは燃費向上に一定の限度を迎えることとなります。

高圧縮比の実現

直噴エンジンの直噴とは「燃料を直接シリンダー内に噴射する」ということから直噴と呼ばれます。直噴にすることで、エンジンは圧縮比を上げることが可能です。なぜ高圧縮できるのでしょうか?

直噴の場合、吸気したときにシリンダー内に入っているのは、空気のみです。空気を圧縮すると温度はあがりますが、空気単体では高熱にさらされても爆発することはありません。そのため、どんどん圧縮できるわけです。圧縮したところにガソリンを噴射し、点火を行うのですが、制御系が進化したことにより、適切なタイミングでの点火が可能になっています。

これにより、熱効率は大きく上がりますので、燃費が良くなることに加えて、いわゆるダウンサイジングでもメリットを出すことが可能になります。

冷却問題も解決

直噴エンジンは、そもそも冷えたガソリンを直接、噴射する構造になっています。

あえて冷やすためにガソリンを噴射しなくても、通常のサイクルでガソリンを噴射すれば、シリンダー内の冷却に使えます。それため、冷却のためのガソリン噴射は非常に少なく済むのです。シリンダー内の温度が適切に保たれることは、燃費向上だけでなくパワーやトルクの向上にもつながるため、アクセルをより踏み込まなくても車は前に進んでくれることとなります。

これが直噴エンジンが燃費がいいと言われる理由でもあります。

しかし、当然メリットだけとは言えず、直噴により煤が付きやすくなったり、PM排出量が多くなるなどのデメリットがあります。当然、これに対応するために通常のガソリン車とは異なる触媒が必要になるなどしますので、別の対策にはコストを必要とする部分があります。

とはいえ、多くのメーカーでは環境問題という課題を突きつけられていますので、直噴エンジンにシフトするのはいたしかたないことなのかもしれませんね。

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