日産「GT-R」とホンダ「NSX」を徹底比較 | 加速、居住性、普段の使い勝手の違いも紹介
更新日:2024.09.09
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現在の日本を代表するスポーツカーといえば、ホンダ NSXと日産 GT-R(R35)ではないでしょうか。この2台のクルマの特徴や違いについて、加速性能や居住性、使い勝手など、さまざまな角度から、比較してみました。
文・吉川賢一
文・吉川賢一
スペックは、ほぼ互角
2016年に国内で販売が開始されたホンダ NSXは、ミドシップレイアウトの2シーターのスポーツカーです。
パワーユニットには、3.5L V6 ツインターボエンジンに、フロントに2基とリアに1基のモーターを組み合わせたハイブリッドシステム「SPORT HYBRID SH-AWD」を採用。
エンジンとモーターを合わせた、システム全体の最高出力は427kW(581ps/エンジン単体では373kW)、最大トルクは646Nm(65.9kgm/エンジン単体では550Nm)を発生します。
車両価格は、2,370万円~となっています。
パワーユニットには、3.5L V6 ツインターボエンジンに、フロントに2基とリアに1基のモーターを組み合わせたハイブリッドシステム「SPORT HYBRID SH-AWD」を採用。
エンジンとモーターを合わせた、システム全体の最高出力は427kW(581ps/エンジン単体では373kW)、最大トルクは646Nm(65.9kgm/エンジン単体では550Nm)を発生します。
車両価格は、2,370万円~となっています。
対する日産 GT-Rは、2007年のデビュー。トランスアクスル方式を採用したAWDに、後列シートをもつ4人乗りのスポーツカーです。
発表時点で世界の「量産市販車」において、ニュルブルクリンク北コースの最速ラップタイムを記録して話題となりました。ほぼ毎年、車両装備やエンジンにアップデートを行い、モデルイヤーを重ねる毎に魅力的なクルマへと進化しています。
2017年モデルの3.8L V6 ツインターボエンジンは、最高出力419kW(570ps)、最大トルクは637Nm(65.0kgm)を発生。
車両価格は996万円~です。
発表時点で世界の「量産市販車」において、ニュルブルクリンク北コースの最速ラップタイムを記録して話題となりました。ほぼ毎年、車両装備やエンジンにアップデートを行い、モデルイヤーを重ねる毎に魅力的なクルマへと進化しています。
2017年モデルの3.8L V6 ツインターボエンジンは、最高出力419kW(570ps)、最大トルクは637Nm(65.0kgm)を発生。
車両価格は996万円~です。
中間加速はNSX有利か?
NSX最大の特徴は、ツインターボエンジンの高出力に加え、モーターアシストがあることです。
その出力は、エンジンの15%程度と決して大きくはありませんが、モーターは瞬時に最大出力が発揮できる利点があります。そのため、アクセルを踏み込んだ瞬間のターボラグを解消できるなど、優れたレスポンスが実現可能です。
その出力は、エンジンの15%程度と決して大きくはありませんが、モーターは瞬時に最大出力が発揮できる利点があります。そのため、アクセルを踏み込んだ瞬間のターボラグを解消できるなど、優れたレスポンスが実現可能です。
対してGT-Rは、大排気量エンジンのメリットを生かし、低速から力強いトルクを発生します。回転の上昇とともにターボの威力によってトルクが増大する、典型的な過給エンジンとなっています。
この2台の加速性能は、タイムからみるとわずかにGT-Rのほうが有利なようですが、出力や車重などのスペックから判断する限り、大きな差はありません。
ただし、追い越し時の加速レスポンスは、モーターアシストがあるNSXに分があると考えられます。
この2台の加速性能は、タイムからみるとわずかにGT-Rのほうが有利なようですが、出力や車重などのスペックから判断する限り、大きな差はありません。
ただし、追い越し時の加速レスポンスは、モーターアシストがあるNSXに分があると考えられます。
甲乙つけがたい運動性
NSXは、ミッドシップに加え、幅広で全高が低いといった、運動性能にとっての強みがあります。さらに、両前輪のモーターによって、応答良く駆動力が制御できるので、さらに高い操縦安定性、旋回性能を実現しています。
対するGT-Rは、フロントエンジンに、前後重量のバランスを適正化するトランスアクスル方式を採用しています。そのハンドリングは軽快というより、スポーツカーらしく、ずっしりとした安定感があります。
SH-AWDによる鋭い回頭性のNSXと、スポーツカーの王道を進むGT-Rのハンドリングは、優劣つけがたいレベルといえるでしょう。
SH-AWDによる鋭い回頭性のNSXと、スポーツカーの王道を進むGT-Rのハンドリングは、優劣つけがたいレベルといえるでしょう。
乗り心地と居住性
NSXのシートは、大型でホールド性に優れ、疲れにくい形状です。アクティブダンパーのモードを切り替えれば、凹凸のある路面でも不快な振動を取り除くことができます。
コックピットの広さは、大柄なドライバーでも十分な余裕がありますが、荷室はゴルフバッグが1つ収納できる程度で、広くはありません。
コックピットの広さは、大柄なドライバーでも十分な余裕がありますが、荷室はゴルフバッグが1つ収納できる程度で、広くはありません。
一方、GT-Rは、従来のスポーツカーに倣ったやや硬めのシートです。腰回りがしっかりとホールドされて、体がシートにがっちりと固定される座り心地です。
サスペンションには、NSXと同様、制御可変ダンパーを備えており、コンフォートモードにすれば、日常的な運転でもある程度ソフトな乗り心地を実現しています。
コックピットは、メーター、センターコンソール、シートがドライバーを囲い込むようにレイアウトされており、後席スペースも使えるので、高性能スポーツカーとしては比較的使い勝手が良い部類です。ちなみに、荷室はゴルフバッグが2セット収納可能な広さを確保しています。
サスペンションには、NSXと同様、制御可変ダンパーを備えており、コンフォートモードにすれば、日常的な運転でもある程度ソフトな乗り心地を実現しています。
コックピットは、メーター、センターコンソール、シートがドライバーを囲い込むようにレイアウトされており、後席スペースも使えるので、高性能スポーツカーとしては比較的使い勝手が良い部類です。ちなみに、荷室はゴルフバッグが2セット収納可能な広さを確保しています。
使い勝手はどちら?
NSXは、低いヒップポイントなのですが、前方視界も良く、運転がしやすい印象です。また、ハイブリッドの利点を生かし、「クワイアットモード」を選択すればバッテリーのみで静かに走行できますので、住宅街や街乗りも気にせずに使えます。
GT-Rは、ヒップポイントは低いながらも、ボンネットがある程度見えるため、運転はしやすいです。EVモードはありませんので、エンジン始動時や低速走行時に、豪快なエンジン音が周囲に響き渡ります。強みは後席があることですが、エマージェンシー的なものです。普段は、手荷物置きスペースとして重宝するでしょう。
GT-Rは、ヒップポイントは低いながらも、ボンネットがある程度見えるため、運転はしやすいです。EVモードはありませんので、エンジン始動時や低速走行時に、豪快なエンジン音が周囲に響き渡ります。強みは後席があることですが、エマージェンシー的なものです。普段は、手荷物置きスペースとして重宝するでしょう。
電動化技術を取り入れて進化したNSXと、伝統的なスポーツカーの概念を外さないGT-Rというように、目指す方向や実現手段に特徴があります。
どちらも簡単には手が届かない価格帯のクルマですから、今後も憧れの存在であり続けてほしいですね。
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。
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